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2023年に海外展開を強化したい経営者がまず考える3つのこと

事業を海外展開している、またはこれから展開するときに、海外の現況調査は欠かせません。経営者は海外展開の開始・強化にあたり、どのような戦略を立て、いかなる施策を打つべきでしょう。海外展開を強化したい経営者がまず考えるべき「3つのこと」について解説します。

(掲載日 2023/03/15)

海外展開で先駆者的ポジションを得る、またと無い機会にするために

こんにちは。国際スペシャルアドバイザーの有吉啓介です。

この2023年の年始または前年末に、経営者の方は、会社の経営や事業について新年の方針や目標を立てられたと思います。

その際に過去に思いを巡らせ、昨年2022年にあった、地政学的な思惑から海外で生じた戦争や紛争、その影響で生じた石油など原材料と食糧の世界的な価格高騰、また円安などを想起された方は多いでしょう。

また過去3年間のコロナ禍によって海外渡航が難しくなり、それまでに事業の海外展開をした会社の経営者の方は、現地などで孤立した事業に気をもんだこともあったかと思います。

2022年10月、日本政府はコロナ水際対策の緩和を行い、海外との往来がまた始まりました。

よって、この2023年は事業の海外展開を強化すべき重要な年になると考えます。

すでに事業を海外展開している経営者の方、これから海外へ商品・サービスを展開したい経営者の方は、この2023年に海外展開の事業強化に向けて、どんな手を打つべきでしょうか。

日本の輸出や海外投資で上位にある、アジアの国々における現況も念頭において、「2023年に海外展開を強化したい経営者がまず考える3つのこと」を一緒にみていきましょう。

海外との往来が再開。海外展開を強化するうえで重要な時期にいよいよ突入しました



1.現地で状況把握を行う

まず現場の変化した状況を把握し、そして先駆けた対応をとることです。

なぜなら、現地の人たちは、日本と違ったコロナ禍からの隔離体験を通じて、我々がコロナ前に見た現地、そして彼らの行動や生活スタイルに変化が生じたはずで、それらへの対応を要するからです。

これまでの3年間に海外との往来が激減し、ほとんどの国の方は海外からの来訪を待ち望んでいます。よって今、現場へ行くことは、先駆者的なポジションを得る、またと無い機会になる可能性があります。

また、中国のこの数年間の浮き沈みが、特にアジア諸国の社会や経済に様々な影響を与えています。それにより現地での経済活動の様式が変化したことが、わかるかも知れません。

それ以外では、富裕層のライフスタイルの変化、中産階級へ勃興した人々の動向、若い人たちによるスタートアップ・ブームに乗った活躍、新しい技術の社会や生活への素早い浸透、などもあります。

現場での状況の把握は、もちろん現地へ行けば良いということではありません。大切なことは、「現状の把握として、現場で必ず市場のリサーチと分析を行う」ということです。

私どもは、海外展開に関して「標準プロセス」*1を持ち、それを活用して海外展開を支援しています。

海外展開前に、ターゲットとする「市場の状況、需要、競合他社、法律・制度、の調査」というプロセスがあります。

海外展開後にも、この2023年にコロナ禍や戦争などを通じて変化した、これら4つのターゲットに関わる現況を理解するため、次の現状把握の調査をお勧めします(特に大事な3つを記します)。

(1) 「インターネットリサーチ」
インターネットにある情報、オンラインデータベース、市場調査レポートなど。

(2)「競合他社を調査」
競合他社の業績、マーケティング戦略、製品ラインアップなど。

(3)「法律専門家のアドバイス」
法律に関わるアドバイスを行う弁護士やコンサルタントなどから聞く。

直近の数年で、社会や経済に加えて政治環境が変わった国も多く、法律専門家には「法律と制度」「日本からの投資と現地での会社設立」「法的な問題点に対する解決方法」に関する変化を尋ねてください。

特にアジアでは「国内外の労働力の調達」「外国の投資」がコロナの影響で、国内や外国から来る労働力と投資の流れが滞ったため、対応で法改正をした国々があり、改正の内容を理解しておく必要があります。

例えば、インドネシア共和国では、国内の労働力や外国からの投資に係わる法律として、2020年11月に「オムニバス法」*2を施行しました。その後に追加や改正があり、まだ変わる状況にあります。


*1 標準プロセス…当コラムでは、事業の海外展開を行う手順について経営と実務の経験知も含め纏めたものを指します

*2 オムニバス法…インドネシアが国民に雇用機会を与えるために制定・施行した法律。法的手続き等の見直しに伴うビジネス環境の改善により、他国企業の誘致や新規事業展開の促進を図るもの

コロナ禍を経て海外の状況は大きく変わりました。リサーチや分析を通じて、その変化をしっかりと把握しましょう。



2.事業戦略、および事業戦略に基づいた施策の状況を確認する

経営者の方は、会社全体の経営戦略に基づいた、海外展開の事業戦略を立案しています。

一方、海外では過去3年間のコロナ禍対策に変化が生じたことから、外部環境に変化が起きています。

経営者が考えるべき2つ目は、施策までを含めた事業戦略の確認です。これはすでに海外展開を行い事業戦略を持っている会社だけでなく、これから海外展開する会社の経営者にもおすすめします。

なぜなら、事業の海外展開を支える、さらにその確保が大切な経営資源について、前段の調査で分かった変化に対する新たな施策や施策の変更が必要になると予想されるからです。

事業の海外展開に関わる「標準プロセス」には経営資源の配分に関わる決定などを含んだ、「事業戦略の立案」があります。ここに事業戦略を立てるときの大切なポイントをあげます。(特に大事な3つを記します)

(1)「市場調査ベースの立案」
展開する地域、市場の状況、顧客の需要、競合他社の存否、法律やルール(先述)の調査を基に戦略を立てます。

(2)「販売チャネルに関わる立案」
現地での販売方法、代理店、ダイレクトセールス、越境ECなどのチャネルを再確認して、販売に関わる戦略を立てます。

(3)「経営資源の割当てに関わる立案」
必要な人材、お金、技術、時間(軸)などの経営資源の見直し、割当てる戦略を立てます。

コロナ前に策定した事業戦略のままでは通用しないおそれも。現在に合った事業戦略への見直しが不可欠です。



3.パートナーシップの確立又は再確認を行う

海外で事業を成功させるため特に大切なことに、信頼できるパートナーと協力関係をしっかり持つことがあります。また、しっかりと関係性を維持するように常に確認することも必要です。

3つ目は、パートナーである現地に根付いている生産・販売の代理店、有力顧客、関係深いサプライヤーの方々に、しっかりと信頼関係が維持されていることを確認します。

これらがパートナーシップの確立や再確認を行う方法です(特に大事な3つをあげます)

(1)「関係性の高度化」
現地で事業に関わる人たちとランチをしたり、お土産を持っていき様子を伺ったり、会話を通じパートナーの考えを確認し、交流を深め、互いに信頼するパートナーとして関係性を高めます。

(2)「パートナーに適材か確認する」
パートナーシップを結んでいる会社、これから結びたい会社、競合他社、そして現地の知り合いから、それぞれの動向や評判を確認します。

(3)「イベントへ一緒に参加する」
現地企業などが催すイベントや展示会にパートナー(候補)をお誘いして参加し、そこでパートナーの考えを確認したり、将来的な事業への方向性について意見交換をします。

パートナーとの関係性が維持できているか確認することも大切です。



4.身近なところで専門的なサポートを受ける

海外展開に取り組む経営者の方は、気軽に相談できたり、専門的なサポートを受けたりしたいときがあると思います。東京商工会議所をはじめとした支援機関では、海外展開の専門家が対応する各種支援を提供しています。

次のURLから詳しい情報をご覧いただき、ご活用ください。

東京商工会議所・海外ビジネス無料相談
https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/globalsupport/

東京都中小企業振興公社・海外展開支援
https://www.tokyo-kosha.or.jp/TTC/

日本貿易振興機構(ジェトロ)・海外進出支援
https://www.jetro.go.jp/services/fdi_guide/

著者プロフィール

有吉 啓介(AHAマネジメント 代表)

総合商社に30年以上勤め、海外約30カ国(アジア、欧米、中東、アフリカ等)に赴き、様々な業界で事業提案や業務効率化に従事。米国、英国で現地法人勤務、インドネシアでIT会社を経営。2022年独立起業。

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