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3 人材・組織(評価・処遇)

賃金制度や人事・評価制度を明確にしている

同一労働・同一賃金が基本

 特徴・メリハリのある人事制度が企業の魅力を高めます。例えば、成長している、ある中小企業の人事制度では、以前から能力主義管理が徹底されていました。

 とはいえ、社長から見て優秀に思えるからといって、あまりにも情意考課を重視しすぎては、他の従業員からの公平性、納得性の面で同意が得られません。また、客観的に見て一番優秀な人材であるからと抜擢すると、2番手、3番手がやる気をなくしてしまいます。あまりにも大きな差がついてしまい、2番手、3番の従業員が辞めてしまうといったことになってはもとも子もないのです。

 下図のように、賃金水準は公平性を基準に決められます。それは、社外の同業他社との比較とか、地域内の同レベルの企業との比較といった外部公平性と、社内での担当職務の格付や、職能、社内資格などによる内部の公平性とからなります。とはいえ、支払い能力からみても、全員を大企業と同じように処遇するわけにはいきません。コアになる人材を核として、担当職務や貢献度をもとに賃金水準を決めていくことになります。

納得性や、非金銭的な報酬もポイント

 このような公平性に加え、納得性も重要です。いくら社長がよいと思っても、世間相場をまったく無視したものであったなら、よい人材は集まりません。

 しかし、従業員が納得できる賃金を出したくても、支払い能力から出せないという現実も少なくないでしょう。こういった場合にも、一定水準のスキルを身に付ければこのように処遇されると理解させたり、OJTが教育の中心であっても、いろいろなことを勉強させてくれているということを理解させたりすることが重要です。このほか、納得性という観点からは、表彰プラス副賞のような非金銭的な報酬も処遇のカギを握っています。これであれば、縁の下の力持ち的な役割の人にも、一生懸命によい仕事をしたケースにも、きちんと対応できます。

 こういった取り組みにより、若者の定着も改善していくと思われます。

Case Study

努力には公平に報いる

 能力主義を徹底するU社では、業績評価のランクに中間があると皆が中間に寄ってしまうので、中間の評価をなくした。処遇に関して年功序列、性別、国籍などは一切関係なく、実力のある者がそれに応じた給料をもらうという考え方だ。評価基準は組織レベルも個人レベルも中間がないので、よいほうか悪いほうのどちらかに必ず分かれることになる。具体的には、評価のランクは部課レベルでAからDまでの4段階、個人レベルでAからFまでの6段階に分かれている。
 この業績評価は年2回行われ、その結果は給与体系に反映される。また、ボーナスの査定でも評価ランクに応じた支給率がかけられる。こうしたきめ細かい評価制度により、従業員に緊張感を持ってもらうのと同時に頑張りにも報いている。
(スクリーン印刷機製造・74人)

Step Up

(1)総額人件費が経営を圧迫しない範囲内で各人を実力主義で優遇している

 リストラというと、総額人件費の抑制だけが注目されがちですが、本来は事業構造の再構築のことをいいます。事業内容の見直しによって資源を再配分し、選択と集中を進めることで、競争力を高めようとの考え方です。

 実力主義というと短期的な成果を強く反映させることを考えがちです。緊急対応時にはそれでも通りますが、あまりにも個人の成果要素を強めすぎると、職場内がギスギスして、チームワークへの弊害が大きくなります。つまり、中長期にわたって企業の競争力を高める実力主義でなくては長続きしませんし、納得性や公平性を維持することが難しくなって、意味がありません。このような所与の条件のなかで、各人の実力を明確に評価して、優秀な人材には処遇で報いる仕組みにする必要があります。

(2)業績と成果配分の仕組みを従業員に公開している

 アメリカと日本の成長型中小企業を調査した結果によると、業績と成果配分方式について従業員に公開している企業では、従業員数の伸び率や利益率の伸び率は統計的に意味のある有意差がみられました。大手ファスナーメーカーでは以前から売上や利益の伸びに合わせて、設備導入の基準や従業員への成果配分の式があり、全世界の子会社の社長を日本の工場に集めた大会議でそれを報告しています。生産性を向上させて売上も伸びれば、成果としてこの程度還元されるとの数式ができているとのことでした。

 賃金だけがインセンティブとなるわけではありませんが、少なくとも、頑張れば賞与がこうなるのだといったことが見えていることが励みになります。

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