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人の成長が企業の成長に変わる、品質のスペシャリスト

企業名:有限会社マニファクチャリング  取材先ご担当者様:代表取締役:幸田典子氏

強みの磨き上げと従業員の協力体制の構築

コロナ禍の影響で取引先であるテーマパークの営業自粛、イベントの中止などが相次ぎ、受注数が大幅に減少して業績が悪化した。段ボール、フィルム、アルミ、手袋などの資材価格や電気代の高騰なども収益悪化の要因となったが・・・

企業概要

有限会社マニファクチャリング(代表取締役:幸田典子氏)は、現代表の母である先代が1971年に設立した、菓子セット加工品及び販促品セット加工品の製造業である。
当社は、大手菓子メーカーや食品輸入商社からの委託による菓子の小分け包装を主たる事業としている。幸田氏は先代から経営を引き継ぐ前、当社の取引先に就職して品質管理の仕事をしていた。東日本大震災が発生して当社が窮地に立たされたのをきっかけに、会社の存続を使命として経営を承継することを決めた。創業からの企業理念である「正確」「誠実」「信頼」の3つに「サスティナビリティ」を加えた“4つのS”に基づき、品質管理を徹底することで顧客の要望に正確に応え、信頼される企業づくりを進めている。
あわせて、毎月リーダー会議を開催し、年に一度は個人面談も実施するなど、現場の声に耳を傾けて従業員を大切する経営を実践している。

企業の悩み

幸田氏は、専務から社長になる際に、経営者としての知識(特に財務面)が十分ではないと思い、その点を補うべく、町田商工会議所を活用し始めた。以後、長きにわたり、本プロジェクトの前身事業など各種の支援を利用してきた。
2020年以降、コロナ禍の影響で取引先であるテーマパークの営業自粛、イベントの中止などが相次ぎ、受注数が大幅に減少して業績が悪化した。また、段ボール、フィルム、アルミ、手袋などの資材価格や電気代の高騰なども収益悪化の要因となった。当社はパートを募集すると応募があり、人材採用に問題はなかったが、人件費ベースアップの流れなどへの対応も必要であった。
幸田氏は、上記の経営環境の変化への対応に当たり、改めて本プロジェクトを活用することとした。

導き出された課題

経営分析の結果、指摘された課題は、まず売上を回復させることであった。方策として以下の3点が提案された。①既存顧客および過去の顧客回りを強化する、②品質管理の高さを維持・周知し、品質管理に厳しい顧客の受注を狙う、③「菓子セットアップ」のホームページ検索で上位に来るようにし、問い合わせを増やす、である。
また、定期的に試算表を入手し、売上だけでなく収支についてもタイムリーに把握することと、現状の生産性を分析してコストを削減することも課題とされた。幸田氏は、これらの課題を解決するため、本プロジェクトのアシストコースを利用することにした。

提案された解決策

アシストコースでは、各分野の専門家からアドバイスを受けながら課題解決に向けて取り組んだ。
当社は、今回の支援を受ける前に取得したJFS-B(食品の安全管理について第三者機関が認証する規格)の運用を通じて、強みである徹底した品質管理に磨きをかけている。その強みを活かすべく、ITの専門家からアドバイスを受け、ホームページを改訂した。具体的には、品質管理体制における細かなプロセス、衛生的な環境作り、専任者による管理体制などを詳細に掲載し、取引先に安心して任せてもらえるようPRした。さらにはSEO対策により、検索で上位に表示されるように改善した。
これらの取り組みによりアクセス数が増加し、新規の問い合わせも増えた。コロナ禍明けのイベント回復の基調も相まって、改めて顧客の掘り起こしを実施するまでもなく、同業からの新規紹介や既存顧客からの発注増により、仕事量が回復していった。
収益管理の強化については、顧問税理士と連携し、四半期毎に収支状況をチェックできる仕組みを整えた。以前は売上高だけをタイムリーに追っていたが、試算表から期中に収支をチェックできるようになった。結果、必要な改善策が期中に計画・実行でき、速やかにリカバリーできるようになった。
生産性の分析とコスト削減については、案件ごとに利益が出ているのか、適正人数で加工が行えているかについて、データを取って検証し、必要な改善を行った。
また、資材高騰や人件費増の影響による収益性悪化から脱却すべく、取引先との価格交渉に臨んだ。専門家からは、正確にデータを取り、誠実に会社の状況を伝える言い方をするようにとアドバイスを受けた。価格交渉の結果、一部は安価な同業他社に移ったが、大半の取引先には価格改定にご協力いただくことができた。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

幸田氏が本プロジェクトで最も実感しているのが、従業員との協力体制を構築できたことである。支援前は現場の課題共有が中心であった従業員とのミーティングを、支援後は専門家や先代の助言により、幸田氏一人で悩んでいた経営状況を共有する場にもした。会社の状況をより正確に理解することで、全員で協力して窮地を乗り越え成長していこうという企業風土が醸成された。従業員から「資材等の準備は作業員ではなく物流担当が行い、始業時に作業員がすぐに加工開始できるようにする」など、具体的な業務改善のアイデアも出されるようになり、経営への意識が高まっている。
幸田氏は、創業者のマインドを受け継ぎ、「年齢に関係なく活躍できる場所を提供したい」という思いがある。当社が従業員の定年制度を設けていないのもその現れである。従業員の成長とともに会社も成長できる、そんな企業を目指している。

企業様の声

専門家に当社を診てもらうことで、今まで気づかなかったことが多く見えてきました。特に収支管理面においては、売上は下がっても収益はプラスを目指すことも考えられるようになりました。また品質への信頼感から評判をいただき、新規取引の予定も入って、様々な要望も増えてきました。今では従業員の協力を得ながら新たに小ロット製造ラインの取り組みも開始しています。収益面、営業面、管理面などあらゆる部分で改善、成長できた点が大きな変化です。
(代表取締役:幸田典子氏)

支援者の声

幸田社長は先代から引き継いだ会社の存続に、並々ならぬ覚悟をもって経営に臨まれています。その覚悟は周りにも伝わり、社長にかかわる人すべてが前向きな気持ち、やる気をもらえるようなお人柄で、いつも元気をもらっています。本プロジェクトの魅力の1つである様々な専門家を派遣できる点を活用し、これまで人材管理のプロ、品質管理のプロ、財務管理のプロと段階毎に合った専門家と協力してご支援をしてまいりました。ご支援に関らせていただき、感謝いたしております。これまでのご支援により、花が開くことと信じております。
(町田商工会議所:日下啓太氏)

企業情報

企業名 有限会社マニファクチャリング
代表者 代表取締役:幸田典子氏
創業年 1971
業種 製造業(菓子セット加工品、販促品セット加工品)
所在地 東京都町田市忠生2-28-8
事業PR
URL https://manifu.jp/


中小企業診断士 須藤弘幸

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