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社員30人超えたらもっとITを使おう!

 今回のテーマはITの活用です。会社が成長するにつれて様々な業務で自動化や効率化、つまりITの活用が重要になります。今回はそのポイントを見ていきましょう!

(掲載日 2018/11/30)

社員30人超えたらもっとITを使おう! ~クラウドサービス導入5つのポイント~

1.必ず当たる社員30人の壁!


(1)IT使っていますか?

 社長:「うちの社員、みんな忙しくて時間がないんだよね。もう少し効率的にできないものかねぇ…?」
  私 :「いまITシステムはどんなもの使っているのですか?」
 社長:「いやー、システムって、重要そうなんだけど、うちはそういうの苦手なんだよねぇ……。」


 最近、こんな会話をすることが何度かありました。

 スピードが求められる世の中になりつつも、多くの会社では人材は不足し現場はバタバタと働きなかなか楽になりません。よくよく見てみると本業の仕事以外の業務に時間がとられていることも多いのが実情です。少子高齢化や働き方改革などを背景に少ない労力で高い付加価値を出す力はますます重要になっています。

 その手段としてITの活用は非常に重要なテーマといえます。


(2) 規模が大きくなればIT化も必須!

 そもそも、ITの活用はいつ検討すべきなのでしょうか?

 その答えは「いつでも必要」なのですが、私は特に会社の「社員数」に着目しています。

 IT活用というと、ホームページやメールなどをすぐに思いつく方も多いかもしれません。しかし、ITというのは本来もっと広い分野で使えるのです。特に、会社の規模が大きくなるにつれてITの必要性は非常に高まるものです。

 私は色々な企業の規模とIT事情を見ていてある法則を発見しました。

それは、

「社員30人超えたら積極的なIT活用が必須!」

ということです。


 もちろん、業種業態によりますので、絶対的なことは言えませんが、30人を超えたタイミングで様々な作業が手作業では難しくなる現場を見てきました。

 例えば、社員の勤怠管理と給与計算。

 15人程度であればエクセルに入力したものをそれぞれ計算して、処理することも可能でしょう。しかし、30人となると、だんだん嫌になります。半日以上の作業になるだけでなく、給与や会計のためミスが許されません。さらに、単純事務作業で担当者のモチベーションも下がります。

私がこの数字にピンときたのはある企業の出勤予定表を見たのがキッカケでした。

 社長が社員全員の1ヶ月スケジュールを一覧で見たいとのことで、縦に社員、横に日付にした表を見ていたのです。しかし、10人程度ならまだしも30人を超えると字も小さく、限界に達していました。さらに、日数と社員数の数、タテヨコが逆転したのです。

つまり、「横長の表」が「縦長の表」になったのです。

あるひとつの分岐点を見た瞬間でした。

 もちろん、これは単純な例ですが、他にも給与計算、コミュニケーションの密度、様々な観点で多くの会社のケースを思い浮かべてみると、およそ社員30人を超えたタイミングで規模の弊害が出ていたことが思い出されたのです。

 以降、私は会社のIT化の検討には社員数30名をひとつの目安にしています。





2.どんな業務をIT化すべきか?


 では、具体的にどのような仕事に対してIT化を考えるのが良いのでしょうか?

 ここでIT化には大きく2つの分野で考えてみると分かりやすいと思います。

●まず、ひとつめはバックオフィス業務です。

 バックオフィス業務とは、多くの企業で共通的にある事務的な仕事です。

 例えば、経理処理、会計、人事労務管理、顧客管理など多くの会社で必要な業務は共通で単純化しやすいため、何かしらのITシステムサービスが提供されていることが多くなっています。そのため活用の選択肢も多く、効率化が期待できます。


●もうひとつはコミュニケーションの分野です。

 メールや電話だけでなく、社員同士の連絡や報告書で密な連携をとったり、スケジュール管理なども共有することで、メンバーが集まれる会議時間を設定・把握することができます。


 一方、バックオフィス業務やコミュニケーション以外である、その会社オリジナルの業務のIT化には大きなコストがかかることが予想されます。専門的な検討になりますので、ソフトウェア会社や専門家に相談すると良いでしょう。




3.IT導入の3つの形を理解しよう


 次に導入するITの形について考えてみましょう。

 ITシステムにはいくつか形があります。ITを適切に導入するには最低限次の3つの形は押さえておきましょう。


(1) クラウドサービスの利用

 まずはクラウドサービスの形です。

 インターネット経由で様々なサービスを利用することができます。ハードウェアを買わずに導入することが可能で、コストは月額利用料として支払うのが一般的です。ハードウェアがない分、初期投資費用が低く抑えられ、バックアップなどが不要です。
 また、インターネット経由ですので、パソコンだけでなくスマートフォンなどどこからでも使えることが特徴です。

 デメリットではインターネット回線が必要な点と、カスタマイズ性が低い点があげられます。


(2) パッケージソフトの購入

 次に従来からの方法であるパッケージソフトウェアの購入です。

 店舗で購入したり、ダウンロードして使うものです。仕組みが分かりやすく、1回購入すれば買い切りですのでランニングコストがかからないメリットがあります。
 しかし、インストールしたパソコンやサーバーでしか使えない点や、データのバックアップなど自分で運用するデメリットがあります。


(3) 専用のシステムの開発

 3つめに、ソフトウェア会社に頼んで専門のシステムを作ってもらう方法です。

 どのようなシステムでも作ることができますが、専門業者に委託する必要がありますので、時間と費用がかなりかかります。特に、開発するだけでなく定期的なメンテナンスやバージョンアップにも費用がかかることを理解しておきましょう。


 これら3つの特徴を表にまとめてみると次のようになります。

 ここでの結論として、最近のITシステムでは、よほどの理由がなければまずはクラウドサービスが最も利便性も高くお勧めです。

 まずはクラウドサービスから検討し、無い場合にパッケージソフトや専用システムの開発などを検討するのが良いでしょう。



4.クラウドサービス導入5つのポイント


 最後に、クラウドサービスを導入する時の5つのポイントをご紹介します。

(1) 大手にこだわらない

 まず、クラウドサービスは大手にこだわる必要はありません。

 ITの世界では昔ながらの有名なソフトや大企業が提供するサービスがある一方、知名度の低い会社のサービスもあります。まさに玉石混合の状況ですが、使いやすいサービスが大手サービスとは限りません。むしろ、ゼロから新しく立ち上げたベンチャー企業のサービスの方が使いやすいケースが多々あります。

 知名度や歴史にこだわらず選ぶようにした方が良いでしょう。


(2) データ連携に気を付ける

 システムで重要なのはデータ連携です。例えば、勤怠システムのデータが給与システムに連携することができるかなどです。
 せっかくITシステムを入れてもデータを2回入れるような作業は無駄が生じます。会社で使うシステム全体を勘案して連携を考えながら導入を検討しましょう。


(3) 会社の目標と合わせて考える

 ITシステムの導入には目標を想定しましょう。

 例えば、社員20名で使うのか、あるいは100名で使うのかによって検討するポイントは大きく異なります。クラウドサービスの多くはアカウント数によって月額利用料が変わるものが多いものです。今の社員数だけでなく、3~5年後に会社がどのくらいの規模を想定しているか。目標を想定してシステムを選ぶようにしましょう。


(4) データの取りだしができるか?

 データをCSVファイルなどで抽出できるかは重要な点です。
 データをファイルとして抽出できなければ、いざという時に乗り換えることができません。最悪、手作業で再入力が必要になります。システムによりますが、データが取りだせるかどうかもチェックしましょう。


(5) 必ずテストする

 ITシステムは一度導入すると後から変えにくいものです。クラウドサービスを導入する場合には複数のものをテストしてから選定して使いましょう。

 クラウドサービスではハードウェアの購入が不要で無料試用期間があるものが多いのでテストが容易なものが多いです。実際に使ってみると、ボタンの位置がいまいち、必要な機能ができない、など細かい問題が発生します。必ず複数のITシステムをテストしてから導入を決定しましょう。



5.まとめ


 今回、IT導入の観点と基本的なポイントを解説しました。ぜひ、社員が増えそうになったら早目にIT化の検討してみましょう。特に社員30名を超えた会社ではぜひ、業務全体を見ながらIT化を積極的にすすめ効率的な経営を目指していきましょう。

著者プロフィール

安藤 準(安藤中小企業診断士事務所 代表)

NECのシステムエンジニアとして様々な企業のITシステムに携わる。プロジェクトマネージャーや管理職を経験後、中小企業専門のIT経営コンサルタントとして独立。
業務効率化のITツールやWebシステムの導入など年間30社以上を支援。会社の状況に合わせ親身に考えることがモットーで、セミナー講師としても積極的に活動中。

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