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BtoB中小企業の変革を成功に導くポイントと具体策<前編>

外部環境が激しく変化する昨今、時代の流れに応じた変革が求められています。過去の成功にすがった経営では現状維持はおろか、生き残ることさえ難しいかもしれません。いかに荒波を乗り越えるべきか。BtoB(法人向けビジネス)企業の変革を後押しするポイントを紹介します。

(掲載日 2024/03/01)

“Change or Die”~変化を成功に導く営業プロセスマネジメント<前編>

Change or Die…ちょっと刺激的なフレーズですね。

これは、あの”マネジメントの父“ ピーター・F・ドラッカーが、変革の大切さを説いたフレーズの一つです。

新型コロナ禍、ウクライナや中東での紛争、資源供給リスクに伴うインフレや金利上昇、円安…ここ数年でビジネス環境は大きく様変わりしました。一方で、DXの進展や生成AIの登場など、テクノロジーは益々進化してきています。

変化や進化が加速する中、企業が成長を遂げていくために経営者に求められることとして、

①変化に対応していける“ビジョン”を再構築し、それを実現する新しい戦略を立案すること
②人材確保のための賃上げと、その原資を捻出するために生産性を向上させること

などが挙げられます。つまり今こそ“変革”の重要性が増してきている、と言えるのではないでしょうか。

当コラムでは、BtoB中小企業経営者のみなさまに向けて、変革の重要性と、そのために必要な事業基盤の再構築のポイント、そして日々の活動をビジョン実現に繋げるために不可欠な「営業プロセスマネジメント」の具体的な方法についてご紹介いたします。


変革の重要性

ビジネス環境が大きく様変わりする一方で、チャンスでもありリスクでもあるのが「テクノロジー進化の加速」です。AI、RPA、DX…新たなテクノロジーにいち早く取り組めば、新商品・新サービスの開発や、組織・業務プロセス・企業文化・風土の変革を通じて競合他社との差別化が図れ、商談機会は拡大し得ます。一方、取り組みが遅いと、逆に差別化されてしまい、既存の顧客や新たな商機を失いかねません。

図1は、世の中に登場した新たなテクノロジーが5,000万人のユーザーを獲得するのに要した時間です。Facebookは1,325日、twitterは1,096日、LINEは399日…どんどん短くなっていますね。そして今話題のChatGPTは、何と僅か2か月で2倍の1億人のユーザーを獲得しました。まさにテクノロジーの進化は加速の一途を辿っています。

【図1】

出典:「LINE」、登録ユーザー数が世界5,000万人を突破(NHN Japan株式会社、2012年7月26日発表 ※Facebook、twitter、LINEについて)https://linecorp.com/press/2012/072619、UBSのアナリストノート(2023年2月1日 ※ChatGPTについて)をもとに筆者作成

そのような環境変化やテクノロジーの進化に対応するため、実際に多くの企業は、変革に向けてDXに取り組みつつあります。

図2は、日本能率協会による「DXへの取り組み状況」についての過去3年分のアンケート調査結果です。「DXにすでに取り組み始めている」と回答した企業の割合は、2020年から年ごとに29%→45%→56%と増加を続けており、「検討を進めている」という回答を含めると、2022年では77%の企業が「DXに取り組みつつある」状況にあります。

【図2】

出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2022」P31 【図1-1】DX への取り組み状況(過去 3 年の推移)をもとに筆者作成

多くの企業がDXを通じた変革に取り組みつつある中、中小企業における「5年後の課題」を、同じ日本能率協会が調査しています。図3は、中小企業が「5年後の課題」として回答した内容の、過去3年分の1位から3位 の推移です。

【図3】

出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2022」P11【図1-6】「5年後」の課題(上位項目)の過去3年間の推移をもとに筆者作成

「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」、その具体策としての「新商品、新サービス・新事業の開発」、そして「人材の強化(採用、育成、多様化への対応)」が、高い順位を占めています。

もしこれらの課題への対応が遅れると、
 ●環境変化への対応が遅れる
 ●人材が確保できない
 ●売上が増えない
というリスクが発生し、経営の問題にも繋がりかねません。課題にしっかり取り組むためには「DXなどの新たなテクノロジー」を活用した「事業基盤の再構築」が急務、つまり「変革待ったなし!」と言えるのではないでしょうか。

BtoB企業における事業基盤の再構築ポイント

変化や進化が加速する中で、変革は待ったなし、そのためには「事業基盤の再構築」が急務である、と言及しました。では、再構築したい事業基盤とは何でしょうか?

私は「“経営ビジョン”を起点にすべてを繋げること」がポイントである、と考えています。図4はそれを具体的に表したものです。

【図4】

※筆者作成


「ビジョン」は社長の想い、つまり会社のありたい姿と、その財務目標(KGI*1)が該当します。

「戦略」はビジョン実現のために向かうべき方向であり、その方策です。そして戦略は、施策として具体的に実行すべきです。「施策とそのKPI*2」は戦略に基づく具体的な施策であり、そのKPIとして「活動と案件の“目標”」を設定することが望ましいです。


<用語解説>
*1 KGI:Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)の略。重要目標達成指標のことで、売上高や成約数などが該当。
*2 KPI:Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)の略。重要業績評価指標のことで、KGIを達成するための活動の回数などが該当。


KPIを定めたら欠かせないのは、それを目標としてマネジメントすることです。活用ツールを含めたマネジメント方法&ルールを決めて、組織的に実行していく必要があります。

つまり、戦略に基づく施策のKPIを目標としてマネジメントすることで、ビジョン実現に繋げる…これが「ビジョンを起点に全てを繋げる」ということです。そして「事業基盤の再構築」とは、この“繋がり”を明確にすること、とご理解下さい。
(後編に続く)

著者プロフィール

倉岡 悌二(中小企業診断士、公認内部監査人(CIA))

OA機器販売会社にて38年間、BtoB営業関連業務を担当。うち20年間はマネジャーとしてチームのパフォーマンス最大化に従事。最近6年間は中小企業の「ビジョン構築」「戦略立案」支援に取り組んでいる。「経営計画立案」「マネジャー育成」「SFA/CRM導入~活用定着を通じた営業チーム生産性向上」の各種支援が得意分野。

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