電話営業・訪問営業で新規顧客獲得を!テクニックとツールを紹介
営業力の強化を課題に挙げる小規模事業者や中小企業が多い中、「営業のやり方がわからない」と悩む企業も少なくありません。今回はプッシュ型営業(テレアポや訪問営業など)のプロセスやテクニック、成功に導くツールを紹介します。新規顧客獲得の参考になれば幸いです。
(掲載日 2024/12/11)
超アナログ!プッシュ型「攻めの営業」のすすめ
【序】はじめに~ザ・昭和!な話をします。
このコラムでお話しするのは、飛び込み電話や訪問で伝手(ツテ)なき相手企業の懐に忍び込む営業手法です。デジタルマーケティング全盛期の今日、既に社名も製品名も世に知れ渡っている会社ならプル型セールス(待ちの営業)も可能です。しかしそうではなく、またSEO対策費や広告資金もない場合には、相手企業に押しかけてプレゼンテーションのチャンスをつかむ方が早道かもしれません。こちら側の「商品を売りたい」でなく相手の「課題解決」の観点で。時間の有効活用のために、訪問だけでなく電話アプローチも適宜併用で。読者の中には、金融機関への経営改善計画を策定する中で、実現可能な売上増大アクションを求められている経営者もいるでしょう。そこに自ら率先垂範、試行錯誤してつかんできた販路拡大策を組み込めるなら真実味もあり金融機関の心を打つでしょう。
以下、プッシュ型営業でキーパーソンに行き着く知恵・工夫、そして辿り着いたその先で用いるプレゼン資料づくりのコツ等をご紹介します。
【1】プッシュ型営業(攻めの営業)とは
業種・業態や製品・サービス内容にもよりますが、自社製品に誇りを持ち、顧客の課題解決に役立つと信じ、相手からみた「しつこい人」と「熱心な人」の境界線を意識しながら、伝道師のごとく奮い立ってそれを相手に伝える・・・これがプッシュ型営業です。【2】ターゲットのリストアップ
商圏・地域に応じたターゲットが決まっていない場合には3ワードのネット検索で「会社一覧 ○○業 (所在エリア)」と検索すれば色々なまとめサイトや同業団体から企業名が割り出せます。例えば「会社一覧 精密金属加工業 東京都」など。さらにその会社のホームページも閲覧して選別します。【3】いくつかのテクニック
まずは相手企業のホームページを隈なく閲覧
相手企業の課題につながりそうな材料を探しましょう。さらに、購買担当部署の直通番号を探しましょう。記載がなければ代表番号にかけるわけですが、それはたいてい総務部です。最近は電話番号を載せたがらない企業も大手を中心に増えていますが、ネット検索で「相手企業名 事業所名 電話番号」と3ワード検索をすればたいてい出てきます。または、電話番号の記載ある別事業所に電話すれば教えてもらえるでしょう。中には「協力会社募集」や「商品のご提案はこちら」的なフォームがあることも。ただ、相手企業の購買担当者がよほど興味を持たない限り、向こうから連絡がくることはありませんので、エントリー入力したら1週間以内にフォロー電話すべきです。そのまま購買担当につないでもらう交渉をしましょう。
「ご用件は?」「商談のオファーにまいりました」
電話にせよ訪問にせよ、冷たく「ご用件は?」と聞かれて、「あのオ・・・営業に来ました」ともじもじ下手(したて)に出てしまっては応対相手にマウントを取られてしまいます。先方にも役立つ提案をしようとしているのですから、ここは堂々と「商談のオファーを希望します」と伝えれば、不思議と相手にも対等意識を持たせられます。あらかじめキーパーソンの名前で呼び出せないほとんどのケースでは「セールス電話(訪問)」扱いにされてしまいます。そんな時でも、○○の商談をしたい旨伝えて、担当部署名(できれば担当者名も)を教えてもらいましょう。
それは時間と労力の無駄です!
訪問時の場合、単なる受付応対役の人に商品説明を長々としても無駄です。それよりは、真のキーパーソンにその資料(後述【4】➀の初動ツール等)がわたるように仕掛けることが大切。見てほしい資料を封筒にいれて、取次者が中身を覗き見できない形に糊付けし、名刺とともに手渡します。むき出しのチラシでは安っぽく映り、即ゴミ箱行きです。取り次ぎ役として目の前で受け取ったその人の名前を聞いておくと、かなりの確率で渡してくれて、ごみ箱行きのリスクを減らせます。そして資料が渡るべき相手の名前を聞きましょう。ただし、このご時世ですから、教えてくれるケースは1~2割です。その場合、部署名や連絡がつきそうな日時・時間帯だけでも聞いておき、後日架電の参考にしましょう。「断りマシーン」みたいな「あの人」・・・
セールス電話(訪問)は一律にお断りとしている会社もあり、下位者が出てくるたびに機械的にお断り。この場合、時間帯や日を変えると「断りマシーン」みたいな「あの人」(いつも出てくる若手や事務員)をかわせるかもしれません。山に登るルートは一つとは限らない
例えば、工場の購買部門でうまくつながらなくても、本社の資材部に電話で聞きまわれば、ポロリと当該工場のキーパーソン名が聞けることがあります。相手が百貨店ならハードルの高い常設売り場の他に、催事コーナー、その他こだわり商品の特別な常設スペース(例「○○屋ファーム」「○○百選」)もあり、それぞれバイヤーが相互連携なく別個だったりしますので、「捨てる神あれば拾う神もあり」も期待できます。ターゲットの属する業界団体へのアプローチもひとつの選択肢
1社に足掛かりができれば、ヨコ展開の可能性もさぐれます。役員企業と親密になって、団体の会議でPRさせてもらうと網掛けができて近道です。役員企業は業界団体のホームページにたいてい掲載されています。【4】ツールの作り方
➀初動ツールの作り方
口下手な社長のために、最初のアプローチで用いる「飛び道具」です。挨拶文+商談したい内容のサマリーで1~2枚物。そこに1、2枚程度の簡潔な商品パンフレット。メールで送ると、後々の連絡が楽になるので極力メールアドレスと携帯番号も聞きます。商談に前向きになると、たいてい教えてくれるはずです。教えてもらえないならFAX番号でもやむなしです。ここで、「プロダクト・アウト」(商品ありきの「ひとりよがり」)ではダメです。「マーケット・イン」(相手の課題解決ニーズ)の観点で作りましょう。「面白そうだ」「いずれ役に立つかもしれないな、一度話を聞いておくか」と思わせる「つかみ」が物を言います。
➁本番のプレゼン資料
うまくキーパーソンにたどり着けたら、いよいよ商談。本番資料の出番です!ここはFABE(ファブ)の4要素でコンパクトに作成します。Feature(商品の特長)、Advantage(強み・優位性、競合品との差別化ポイント)、Benefit(採用メリット、効果)、そしてできればEvidence(科学的証拠※)
※科学的根拠は「50人中47人がおいしいと評価」(当社調査による。)といった簡易な実証知見でもかまいません。
なお、商談相手が会社や部門のトップでもない限り、社内稟議もあって上席の決裁が必要でしょう。そんな相手の意思決定プロセスや立場を考慮した商談をするべきです。
FABE項目 | FABEに応じた記載例(オゾン発生消毒装置の場合) |
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Feature | 小型・軽量でおしゃれな外観デザイン |
Advantage | 業界トップクラスのパワフルな噴流発生量で部屋の隅々までオゾンが行きわたる |
Benefit | オゾンは時間とともに酸素に戻り、無害化するので拭き取り要らず、手間要らず |
Evidence | 公設試験研究機関○○センターで毎秒●単位のオゾン発生量計測済み |
【5】こちらのホームページの重要性
相手が多少でも関心を持つと、必ずこちらのホームページを閲覧しに来ます。昨今、怪しい勧誘電話・訪問も多い中で、あらぬ不審容疑をかき消すために自社ホームページは重要です。中小企業ながらも従業員を大切にして健康経営に取り組み、SDG’sメッセージも記載、きちんとした企業として好感度を高めましょう。【6】おわりに
社長ご自身で要領をつかめたなら、部下におろす。おろせる部下がいなかったら副業サイトで募集すれば月額数万円ほどで、営業代行をしてくれる副業人材も探せます。販売増強活動にパンフレットやチラシのデザイン・印刷経費、ホームページの構築や改定経費が必要なら国の小規模事業者持続化補助金や県・区市町村の販路拡大系補助金も活用しましょう。
いかがでしたか。知恵と工夫、少しの勇気で「取引したい相手企業の懐に忍び込みに行く」プッシュ型営業のお話でした。是非とも新規取引の糸口をつかみ取ってください。