LTVを高めて売上を伸ばす「既存顧客対策」とは?
売上を伸ばすには新規顧客だけでなく、既存顧客に目を向けることが欠かせません。既存顧客への効果的なコミュニケーションを図り、ファンにすることは収益アップをもたらします。それでは既存顧客に対してどのような施策を打つべきでしょうか。ポイントは「LTVの向上」です。
(掲載日 2024/02/28)
顧客の心をつかんで収益アップ:ファンにさせる秘訣
「お店が賑わっているのに、なんで収益が伸びないの?」
こんな悩みを持っていませんか?
お店が常に忙しいにも関わらず、収益が期待通りに伸びていない原因は、既存顧客への対策が不足していることかもしれません。既存顧客対策を行うと来店する顧客がさらに増えたり、客単価が向上するなど、収益の改善につながる可能性が高まります。顧客と良好な関係を築き、お店の収益を伸ばすためのコツをご紹介します。
1.収益アップのための既存顧客対策
事業を行っていると、新規顧客が増えても収益が伸び悩むことがあります。実は、この背景として、「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」の重要性を見落としている可能性があります。LTVとは、一人の顧客がその事業にもたらす総収益のことで、顧客が初めて購入してから最後に購入するまでの期間全体を考慮します。例えば、一人の顧客が初回に1,000円の商品を購入し、その後1年間に10回来店して同じ金額を使った場合、その顧客のLTVは11,000円となります。つまり1回だけの購入なら、その顧客から得られる売上は1,000円ですが、リピート購入してもらうことで、売上を11,000円まで伸ばすことができます。
既存顧客は、新規顧客よりも自社の製品やサービスを気に入っているので、新規の顧客よりもリピート購入してくれたり、高価格商品の購入につながる可能性が高いです。さらには、新規顧客を紹介してくれるかもしれません。既存顧客対策を行い、自社のファンになってくれる顧客を増やせば、収益の拡大と安定につながるのです。
2.顧客を分析してみよう
既存顧客対策を始める前には、まずは、現状の自社の顧客を分析することが重要です。ここで、役立つのが「RFM分析」です。これは、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの要素を分析する方法です。Recency(最終購入日)
「Recency(最終購入日)」は、顧客が最後に商品やサービスを購入した日です。最近購入した顧客は引き続き自店への関心が高く、今後も継続的な購入が見込める顧客です。一方、長期間購入がない顧客は、関心が薄れている可能性があり何らかの施策が必要です。
Frequency(購入頻度)
「Frequency(購入頻度)」は、特定の期間内に顧客が何回購入したかを測定します。高い購入頻度は、顧客が自社のファンになってくれている可能性が高いことを示しています。低い購入頻度の顧客は、より強い関係を築くための何らかの施策が必要になります。Monetary(購入金額)
「Monetary(購入金額)」は、顧客が特定の期間内にどれだけの金額を消費したかを表します。高い購入金額は、自社にとって重要な顧客であることを示します。一方、低い購入金額の顧客は、消費を増やすための追加施策が必要かもしれません。これらの指標に基づいて、顧客をランク付けします。例えば、最終購入日が近い顧客をAランク、頻繁に購入する顧客もAランク、高額購入顧客もAランクとし、最近購入してくれていない顧客をCランクとするなどです。
RFM分析を行うことで、顧客の価値を正確に把握し、それぞれに合った戦略を展開することが可能になります。この分析に基づいて、既存顧客対策を行っていきます。
3.データ分析後に具体的な戦略を練ろう
顧客のデータを分析した後は、その結果を使って具体的な行動に移しましょう。ここでは、顧客のランクに合わせた対策を紹介します。「(R)最終購入日」のランクが低い顧客への対策
①メールやSNSのメッセージを活用する「(R)最終購入日」ランクが低い顧客に、メールやSNSでメッセージを送ります。顧客が店を訪れなくなる理由として、サービスや商品に不満を持ったからではなく「なんとなく行かなくなった」という可能性もあります。顧客にメールやSNSでメッセージを送り、自店のことを思い出してもらうことで、再来店を促します。件名やタイトルなど、目に触れやすいところに店名を記載し、顧客に自店のことを思い出させることが重要です。
また、メールやメッセージを送る際は個々の顧客に合わせた内容にすると、さらに効果的です。例えば、メールを送る際のあて名を顧客の個人名にしたり、彼らが過去に購入した商品に関連する新商品の情報を提供したりすることで、顧客は自分のことを大切にしてくれていると感じ、再来店する可能性が高まります。
②限定特典を提供する
「久しぶりの特別割引」といったプロモーションを通じて、再来店を促します。期間限定を打ち出すとさらに効果的になる可能性があります。例えば、「4月限定のカムバックキャンペーン」など特典の時期を限定することで再来店の動機づけとなります。
「(F)購入頻度」をAランクにする施策
①ポイントカードや会員カードを発行もはや定番になった施策ですが、それでも効果があるのが、ポイントカードや会員カードの発行です。リピーターに対してポイントや特典を提供することで、継続的な購入を促すことができます。また、いつも来てくれている会員には、特別なイベントやセールを行うことで、購入頻度を増やせるだけでなく、顧客は特別扱いされていると感じ、常連客となる可能性が高くなります。
②メンテナンスを活用する
商品を販売した後のメンテナンスを1回は無料で行うことで、再来店を促し、関連商品を提案することで、「購入頻度」のランクを上げていきます。例えば、美容室でパーマをかけた後、1か月後のメンテナンスは無料であるという施策です。この例だと関連商品としてトリートメントを販売することができたり、次回の髪のカットやパーマの予約につなげられるかもしれません。メンテナンスが無料なため顧客満足度を高める効果も期待できます。
「(M)購入金額」がCランクの顧客への施策
①高価な商品の提案商品の価格設定をグレード別に行うことで、顧客が商品の価値をより理解しやすくし、高価な商品への購入を促す効果があります。例えば、一番安いものは入門編ということで、買いやすい価格にし、次のグレードも少しがんばれば買える価格であり、その次のグレードも「これくらいの価格差なら買ってもいいかな」というように、商品のグレードの違いに対して価格を設定します。グレードによる品質の違いを顧客にしっかりと説明することで、顧客は高価な商品に価値を感じやすくなり、購入金額を上げられる可能性が高いです。
②関連商品の提案
顧客が購入する商品に合わせて、ほかにも使える商品をおすすめすることで購入金額を上げていきます。例えば、楽器の購入を検討している顧客に楽譜や防音マットなどの関連商品を提案すると購入金額が上がる可能性があります。さらに、防音にまで気を使ってもらえると顧客が感じることで、顧客満足度が上がって、自社のファンになってもらえる可能性が高まります。
4.施策をさらに効果的にするためのポイント
既存顧客対策を成功させるには、顧客との関係をさらに深くしていくことが不可欠です。以下に、施策の効果を最大化するための戦略を紹介します。