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6 危機管理・知財・CSR(地域社会)

地域社会に貢献する取り組みを積極的に行っている

CSR(企業の社会的責任)が求められる理由

 中小企業は地域社会と密接不可分の関係にあります。地域がよくなれば、自社の経営環境の向上にもつながります。だとすれば、地域社会に貢献する取り組みは重要です。もちろん、雇用創出や納税を通じて地域社会に貢献しているという考え方もできます。しかし義務である納税などによって地域貢献を果たすことだけで満足するのではなく、もっと積極的に取り組みたいものです。地域にとって必要な企業だと思われることで、おのずと企業経営にも好影響があるでしょう。

CSRの内容と留意点

 日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、小企業(平均従業者数8.5人)の44.6%が、企業として地域貢献活動に取り組んでいます。その活動内容を見ると多岐にわたります(下表参照)。「祭りや伝統行事の開催や維持」(26.6%)や「商店街の活性化」(10.4%)などのように古くから取り組まれている活動もあれば、「職場体験・インターンシップの受け入れ」(6.9%)、「ニート・フリーターの雇用・就業支援」(1.5%)などのような比較的新しい取り組みもあります。

 地域社会で何が求められているのか、そしてそれに対して自社はどのような貢献活動を行えるのかを自問し、自社の本業との関わりで身の丈にあった貢献活動に取り組むことが重要です。

 貢献活動に取り組むうえで留意しなければならないのは、従業員の理解を取り付けることです(下図参照)。地域貢献活動は経営者の思いだけで取り組みがちです。全社的な取り組みにするためには、従業員に対して、なぜ地域貢献活動を行うのか、そうすることで地域にはどのようなメリットがあるのかを説明するべきでしょう。

Case Study

地域住民から慕われる企業になる

 D社の幹部は東北の工場へ単身赴任しても、従業員と同じ寄宿舎で生活する。立ち上げには寄宿する従業員の食事作りをなんと社長と会長が担当した。朝早く起きてしたくをする間、幹部や従業員はぎりぎりまで寝ている。会長が従業員の食事作りがうまいことは、地域において評判にすらなった。会長が食材を買出しに行くと、町なかで女性から「子どもを企業に入れてほしい」と声をかけられることすらあったという。地域に入り込むことで、いろいろな人が自社のことを宣伝してくれる。
(金属精密加工・67人)

Step Up

(1)コミュニティ組織やNPOなど、地域貢献活動を行う団体に所属し活動している

 地区の自治会や商店街団体、商工団体、NPO(民間非営利組織)など、さまざまな団体が地域貢献活動に取り組んでいます。1社の取り組みでできることには限度があります。そうした団体に加入して地域貢献活動に取り組むことも重要です。その結果、企業としてのネットワークに厚みが増し、本業にも何らかの好影響が期待できるのではないでしょうか。

(2)従業員が地域貢献活動に取り組むことを推奨し、その活動を支援する体制も整えている

 従業員が地域貢献活動に取り組むことを推奨し、支援する体制を整えることにも力をいれたいものです。しかし、中小企業はボランティア活動に対する支援・援助制度を設けている割合が大企業と比べて低いのが現状です(下図参照)。だからこそ、こうした制度を整えることで、企業にとっても人材を確保しやすくなるというメリットがあるものと思われます。

 中小企業が相対的に取り組みやすい支援策は、「勤務時間内の参加の許可」(従業員30~99人で支援・援助制度を設けている企業のうち53.8%が実施)、「休暇の付与」(同36.0%)です。

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