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自作がおススメ!企業PR動画制作が成功するポイント

動画を活用したプロモーションを実施する企業が増えています。文字や画像では伝えきれない情報を届けられる動画は、訴求力向上を後押しするコンテンツです。ただし、動画の内容次第では期待する効果が得られないことも…。はたして、どのような点に留意して制作すべきでしょうか。

(掲載日 2022/09/30)

効果的な企業PR動画を自作するポイントとは?

企業PR動画を作って「自社をアピールしたい」「ブランドイメージを高めたい」と思っている経営者の皆様も多いのではないでしょうか?コストを抑えることができ、かつ、効果的な企業PRをするための方法として、自作動画がおススメです。スマートフォンの登場により誰でも簡単に動画を制作することができるようになりました。このコラムでは、企業PR動画を自作するポイントをお伝えします。

自作する企業PR動画のメリット


1)動画は記憶に残りやすい


例えば、「好きなドラマの1シーンを思い出してください」と言われたら脳裏で鮮明に思い出されませんか?アメリカ国立訓練研究所の「ラーニングピラミッド*1」によると、文字を読んだ際の記憶定着率が10%なのに対し、動画視聴した場合の記憶定着率が20%にもなるということです。印象に残る企業PR動画を作成できれば、効果的に顧客を獲得できる可能性が高まります。

*1 ラーニングピラミッド: アメリカ国立訓練研究所から出された学習モデル。「講義」「読書」「他の人に教える」など7つの学習方法を平均的な学習定着率で序列をつけたもの。

2)自作だからこそのメリット


企業PR動画を自作することのメリットは以下の理由が考えられます。

①コストを抑えられる
映像制作会社に企業PR動画の制作を依頼すれば、当然費用が発生します。自作する場合は機材にこだわらなければ、ほとんど費用をかけずに企業PR動画を作成することができます。

②自社のことを知っているのは自社の人間である
企業PR動画の目的は自社をアピールすることです。自社のことを一番よく知っている専門家は、自社の人間です。自社の専門家が制作するからこそ、他者に伝わりやすく、より効果的な企業PR動画になりやすいのです。

③制作スケジュールなど融通をつけやすい
同じ人やモノに接する回数が増えるほど次第にその対象に対して好印象を持つ「単純接触効果」という心理現象があります。企業PR動画も同じで、相手に好印象を持たせるためには、動画の定期的かつ継続的な発信が効果的です。それには複数の動画投稿が必要になりますので、自作の方がコスト面やスケジュール面で融通をつけやすいといえます。

目的を明確にしよう


動画を自社ホームページ(HP)で活用するのか?展示会で使用するのか?SNSに投稿するのか?その用途によって企業PR動画での伝え方が変わります。まず、企業PR動画を制作する目的を明確にしましょう。

「自作」に向くのは、SNSへの投稿です。SNSの種類によって視聴者の年齢層が違う他、投稿するSNSによって動画サイズは縦がいいのか?横がいいのか?など、撮影方法も変わります。自社のターゲット層が多く利用しているSNSへの投稿を検討しましょう。どうしても選ぶことができなければ、普段から自分が慣れ親しんでいるSNSへの投稿を考えてもいいかもしれません。

効果的な企業PR動画の内容は?


企業PR動画を自作する際にまず必要なことは、動画の内容をどうするかを決めることです。特に初心者のうちは、一見するとカッコよくても中身の薄いVTRを制作してしまうことがよくあります。しかし、企業PRで大事なことは、相手に響く内容にすることです。そのためにも、内容を決める際は、自社の強みと弱みを、しっかりと分析するのが効果的です。

1)自社の強みを訴える


企業PR動画で、一番王道なのが自社の強みを訴えることです。例えば、自社が製造業なら加工技術の正確さを伝えてもいいですし、自社の社員の結束力やチームワークをアピールしてもいいと思います。

成功している企業PR動画の実例を見ると「美容室を展開する企業が流行の髪型について」「葬儀会社が葬儀のマナーについて」などを発信しています。両例とも自社の専門性と信頼性を強みにした動画を制作し、企業PRに成功しています。自社では当たり前になっている知識でも、他者から見ると新鮮な驚きがあることが多いのです。

自社の強みが見つけられない際は、商工会議所などの経営相談を利用して、第三者の視点を参考にしてもいいと思います。「中小企業活力向上プロジェクトアドバンス」の専門家による経営分析でも、強みと弱みの分析項目があるので参考にしてみたらいかがでしょうか。

一点、注意点を挙げるとすれば、自社の強みが「高級感」である場合です。例えば、宿泊施設の部屋の内装など、高級感を訴求した方が顧客に自社をPRできる場合があります。「高級感」は自作動画では、訴えることが難しいケースが多いので、映像制作会社に発注することを検討してもいいと思います。

自社の強みをアピールしやすい動画制作例(建設・不動産関係の場合)※筆者作成


2)自社の弱みを逆手に取る


いわゆる自虐プロモーションと呼ばれるものです。人間は「アンダードッグ効果(判官びいき効果)」と呼ばれる心理現象のため、弱い立場に立たされていたり、不利な状況に追い込まれている人やモノを見ると、応援したくなるといいます。この状況を活用し、弱みをポジティブに転換するPRを行います。

例えば、あるレジャー施設では、知名度がないことを逆手にとったPR展開を行い、知名度を上げることに成功。あるファミレスでは高級感が無いことをあえてアピールすることで、手軽さをアピールすることに成功しています。自社の強みだけを発信しているとネタ不足に陥りやすいので、弱みを効果的に活用することも検討してみると、企業PR動画の幅が広がります。

誰が制作するのか決めよう


企画立案や被写体決めやロケハン*2も含めた具体的な撮影準備に編集と、動画制作には思ったよりも手間と時間がかかります。特に社員数が多くない会社だと、動画制作を重荷に感じてしまうこともあるかと思います。担当制で制作するなど、続けられる仕組みを作ることが重要になります。

*2 ロケハン:撮影に適した場所を探すこと。ロケーション・ハンティングの略語で和製英語。

動画制作に必要な機材


企業PR動画を自作する工程は「撮影」→「編集」という流れです。撮影にはビデオカメラやスマートフォンなどのカメラが必要で、編集するには編集用のアプリケーションが必要になります。
 
①カメラ
現在では、スマートフォンが気軽に、しかも、高画質で撮影できるカメラといえます。今すぐ撮れて、細々した操作を覚えなくていい手軽さが魅力です。最近は「スローモーション撮影」など、今まではプロ仕様のカメラにしか付いていなかった機能がスマートフォンでも多く取り入れられていて、機能面でも大きな進化を遂げています。

また、カメラが趣味でデジタル一眼カメラを持っている場合は、デジタル一眼カメラで動画を撮影するのもおススメです。露出やシャッタースピードなどの知識が必要ですが、プロのカメラマンでもテレビCMなどの撮影で使用しており、より本格的でプロ仕様の仕上がりが期待できます。

②編集アプリ
動画編集はスマートフォンやパソコン(PC)で可能です。スマートフォンの方が操作は簡単ですが、慣れるとPCの方が自分の思い通りに編集ができるようになるメリットがあります。スマートフォンの場合はアプリケーションストアで「動画編集」と検索すると様々なアプリが出てくるので、評価などを参考に自分に合うものを探してみましょう。PCの場合はCPUやGPU、メモリなどPCのスペックがある程度必要になりますが、最近では、無料のものでもハリウッド映画で使用しているほどの高性能な編集アプリもあり、動画編集の敷居がかなり低くなっています。

③三脚、マイク、照明
企業PR動画を作成する上であると便利なのが、三脚とマイクと照明です。三脚は見やすい動画を撮影するための便利アイテムです。撮影に自信がない時は三脚を使用するだけでも、手振れなどを防げてクオリティが格段に上がります。マイクがあると、よりクリアな音源が収録できますし、照明があると十分な光が届かないような悪環境でもしっかりと、撮影できるようになります。

また、最近は「スタビライザージンバル」という手振れを起こさない機材も安価で購入できます。この機材を使用すると、スマートフォンでもまるで映画のように撮影することが可能になります。

効果を測定しよう


SNSだと「再生数」「いいね」「チャンネル登録者数」「フォロワー数」などの数で分かりやすく、反響を測定できます。展示会用の動画ですと、その場で反応をもらえるかもしれません。数字が伸びた動画はどこが良かったのか?伸びなかった動画は何が足りなかったのか?などを分析して、次回に活かしていきましょう。

まとめ


企業PR動画を制作したからといって、すぐに効果が出る確率は低い場合が多いかと思います。それでも、定期的に制作し、SNSなどに投稿を重ねていくことで、思いがけないことで人気を博して注目を集めることになったり、例えそうでなくても、少しずつ自社のファンを増やしていくことにつながります。特に数字が伸びない時は、モチベーションを保つのが難しくなるかもしれませんが、前向きに「続ける」ことが一番大事なポイントです。

著者プロフィール

藤岡 洋(中小企業診断士)

専門は、マーケティングとインサイドセールス支援、映像を駆使したオウンドメディアのコンテンツ制作支援。テレビ番組制作、SNS運用、社内ベンチャーにおいての営業ノウハウを基に事業者の販路開拓を支援しています。特に企業の広報・PRを含めた「企業の発信力」を高める支援を得意としています。

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