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6 危機管理・知財・CSR(知財・知識・マネジメント)

自社および競合相手の知的財産を把握・整理している

自社に固有の知的財産は何か?

 知的財産を自社の競争力の源泉として活用するには、そもそも自社に固有の知的財産とは何かを把握する必要があります。では、自社にある知的財産を把握するにはどうすればよいのでしょうか。まず自社の経営活動をプロセスごとに細分化してみます。そして、それぞれのプロセスが外注(アウトソース)できるかどうかを考えます。もし外注できそうにないのであれば、そのプロセスには競争力の源泉となる経営資源が存在する可能性が高いといえます。

 こうしてある程度自社の優位性が特定できたら、それがどのような知的財産に当たるのかを2つの質問によって考えます(下図参照)。第1の質問は「その優位性は技術的要素か」です(ここでは設計やデザインなども技術と考えます)。答えがNOであれば、優位性の源泉はブランド力である可能性が高く、「営業標識についての権利」に相当すると思われます(6-8②参照)。答えがYESの場合は、第2の質問「他者に模倣されている事実を検出可能か」に移ります。「検出可能」とは、競合相手の製品を調べて、自社が保有している技術が使用されているかどうかを判断できることを意味します。答えがYESであれば多くの場合、「特許」として管理することが適当です。模倣を制限することが参入障壁になるからです。逆にNOであれば多くの場合は、営業秘密である「ノウハウ」として管理することが適当でしょう。検出が困難な技術について特許権を取得し、ノウハウを含む技術の詳細を公開すると、競合相手による権利侵害を突き止めにくいことから自社の優位性が失われるおそれがあります。

他社の知的財産を把握して権利侵害を防ぐ

 自社の知的財産がどのようなものが把握・整理できたら、次は競合相手など他社の知的財産について把握する必要があります。競合相手の特許権などを正確に把握しないまま自社製品を市場に投入した場合、他社が保有している特許権などを侵害してしまい、訴訟に発展するおそれがあるからです。このような事態に陥らないためには、日ごろから主要な競合相手の特許権などの取得状況を把握することが望ましいといえます。

Case Study

ブランドを育て、採用の武器にする

 J社の社長は、企業ブランドや商品ブランドの確立のために、各地の商工会議所関係に、忙しい日々の合間を縫って、講演に出かけている。区の「経営品質大賞」も受賞した。今後とも「学生向けに、どうやって自社をアナウンスするか、それを考えていきたい」としている。
(包装機械製造・38人)

外部との特許手続きも考えておく

 K社の水分率調節器の開発は、ある大企業と組んだ共同開発である。先方の開発部長がインターネットで同社を見つけて、相談を持ちかけてきた。水分率調節器は、1つ当たり数万円のコストを予定した製品となり、安売りする物は作らないという同社の開発方針と合致したため、開発に取り組むことになった。今回の製品化にあたり、共同特許を取得している。先方からは小型の水分率調節器を同社で開発する了解を得ているので、製品ラインアップに加えていく考えだ。
(各種サーモスタット製造・36人)

Step Up

(1)特許調査を行っている

 自社の優位性を特許として管理することが適当だと判断される場合、過去の関連特許を調査する必要があります。特許調査を行うことで権利関係を把握し、新規性のある技術かどうかを判断し、特許権として権利化できるかどうかを判断します。さらに、特許調査を行えば業界全体の技術動向を把握できます。その結果、自社の技術が占める位置を確認するとともに、競合相手の技術動向を把握することもできます。

 特許調査を行う場合、無償のデータベースとして「特許情報プラットフォーム」が一般に開放されており、簡便な調査に向いています。詳細で漏れのない特許調査を行うのであれば、弁理士や専門の調査会社に依頼することになります。

(2)特許権の審査における判断基準を知っている

 中小企業が特許を出願する場合、8割以上が弁理士を利用しているといわれます。出願書類の作成が専門的で煩雑であるのがその大きな理由だと思われます。しかし弁理士に依頼する場合でも、特許として成立する見込みがあるかどうかを自社で事前に検討しておくべきでしょう。それには、特許権の審査における主な判断基準を知っていると便利です(下図参照)。さらに、依頼する弁理士に対して、自社の技術が新しいものであることや容易に考えられないものであることなどをわかりやすく説明できるように準備しておくべきでしょう。

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