オンライン教室開講 チョークアートの魅力を全国へ
企業名:RIE’s ART FACTORY 取材先ご担当者様:代表:髙岡理恵氏
新型コロナウイルスの影響で飲食店の営業自粛やイベントの中止が相次ぎ、作品制作の受注が減少。チョークアート教室も、感染拡大防止のため営業を自粛することになったが…
企業概要
RIE’s ART FACTORY(代表:髙岡理恵氏)は、福生駅西口から徒歩約7分、商店と住宅・マンションが密集する商店街で、近隣住民向けのチョークアート教室事業と、飲食店やイベント向けの作品制作事業を行っている。
チョークアートはオーストラリア発祥の近代アートで、黒色のボードに「オイルパステル」という専用の画材で色を重ねて描く作品である。カフェのメニューボードや結婚式のウェルカムボードで目にすることも多い。
幼少のころから油絵を描いてきた髙岡氏は、チョークアートのポップな雰囲気に惹かれ、子育ての傍ら、チョークアートの講師資格を2014年に取得。カルチャーセンターでの講師や飲食店の看板制作などで事業基盤を固め、羽村市内と福生市内にチョークアート教室を開設した。
教室事業では、一人ひとりの個性を生かすことをモットーとし、生徒がイメージする作品の制作に必要な技法を丁寧に教え、完成までフォローしている。作品制作事業では、依頼者の要望や好みに合った制作物を納品するため、作業前に徹底した打ち合わせを行い、依頼者の考えやこだわりを把握するようにしている。
企業の悩み
教室事業と作品制作事業は順調に拡大し売上も安定していたが、新型コロナウイルスの影響で飲食店の営業自粛やイベントの中止が相次ぎ、作品制作の受注が減少。チョークアート教室も、感染拡大防止のため営業を自粛することになった。事業の二本柱が大きな打撃を受け、髙岡氏は早急に手を打つ必要に迫られた。
そこで、羽村市商工会の経営指導員に相談した。髙岡氏自身も同商工会の青年部で活動していたこともあり、以前から経営上の悩み事を商工会に相談し、さまざまな情報や助言を受けていた。今回、「コロナに対応した事業構造に変えていきたい」と相談したところ、専門家による経営診断と実行支援が受けられる本プロジェクトの利用を勧められた。
導き出された課題
経営診断で導き出された課題は、①ウィズコロナ・アフターコロナに対応した非接触型のサービス提供、②3か年程度の中期的な事業計画策定、③短期的な売上計画の設定と進捗管理である。
まず、コロナ禍の収束が見通せない状況のため、単に既存事業の回復を待つのではなく、新たに「オンラインのチョークアート教室(リモートレッスン)開講」を目標に設定した。リモートレッスンは非接触型のため感染症対策になるだけでなく、これまでの西多摩地域から全国へ商圏を広げられるからだ。商圏拡大に伴い、新規顧客獲得を重点に置いたホームページ改修も必要とされた。
オンラインのチョークアート教室という未経験の事業を成長させるには、PDCAを回すことが不可欠である。そこで、スケジュールや実施体制を含む中期的な事業計画を、作品制作事業とのバランスも考慮して策定することになった。
こうした目標や計画を実現するために、年次・月次・日次の具体的な売上計画の設定と進捗管理が必要とされた。
髙岡氏はこれらの課題を解決するため、引き続き本プロジェクトのアシストコース・フォローアップコースを活用することにした。
提案された解決策
まずは、専門家の指導を受け現状を客観的に把握したうえで、事業計画を策定した。事業計画では、当面は作品制作事業を中心に経営を安定させ、リモートレッスン開講後は教室事業にも注力し、事業の二本柱を再構築してゆく方針となった。同時に、子育ての中の髙岡氏のワークライフバランスを考慮しながら、年次・月次・日次の売上計画へ落とし込んでいった。
リモートレッスンの開講に向け、ホームページと連動した独自の顧客管理システムを開発した。チョークアート教室のシステムは一般的な顧客管理機能では足りず、生徒による作品画像のアップロードや画像管理にも対応する必要があるためだ。
システムの導入は、当面1人で業務を行う髙岡氏の負担軽減のためでもある。たとえば、リモートレッスンでは画材を生徒の自宅へ事前送付する業務が発生するため、システム上で申込み受付から画材発送までの作業を一元管理でき、発送完了メールなども自動発信されるようにした。こうしたオペレーションの構築や効率化の検討は、髙岡氏と専門家、商工会の経営指導員、システム開発事業者が連携し、それぞれの視点でアイデアを出しながら進めた。
さらに、オンライン会議システム(Zoom)をホストとして操作しながらレッスンを進行し、生徒のトラブルにも対応できるよう、髙岡氏へ操作方法のレクチャーが行われた。
こうした実行支援は順調に進み、2021年末にはリモートレッスンの募集を開始した。
提案した中小企業支援施策
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その後の状況
本プロジェクトを通じて、副業的に行われていた事業が本格的な個人事業として確立した。
髙岡氏自身は、事業計画・売上計画の策定や進捗管理を通じて、帳簿のつけ方や売上管理の方法、目標の定め方などについて専門家から丁寧な指導を受け、PDCAを意識した経営を実践し始めている。また、リモートレッスン開講を機に、曜日や時間帯で受講が想定される生徒層を考慮してオンライン・オフラインのレッスンを設定し、ターゲットの明確化にも努めている。
コロナ禍を機に、業務のシステム化やレッスンスケジュールの見直しを進めて教室運営を効率化するとともに、リモートレッスンの特徴を生かして、これまでの西多摩地域に加え全国から生徒を獲得する準備を整えることができた。
企業様の声
「リモートレッスンでコロナ禍を乗り越えたい」という思いを、本プロジェクトで専門家のサポートを受けることで、形にできました。基本的な売上管理の方法やターゲット設定、ホームページ改善の視点など多くのことを学び、手ごたえを感じています。専門家の方と一緒になって考え、アドバイスを実行することで結果がついてくるので、コロナには負けないと自信もつきました。
リモートレッスンで様々な地域の皆様とお会いするのが、とても楽しみです。今後は、教室の生徒様と作品制作のお客様を大事にしながら、「チョークアートといえばRIE’s ART FACTORY」と言われるよう精進してまいります。
(代表:髙岡理恵氏)
経営指導員の声
髙岡様は、「コロナのピンチをチャンスに変える」という意欲にあふれています。オンラインのチョークアート教室ができないかと思い立ってから、本プロジェクトを活用してリモートレッスンに対応したシステムや教室運営を一から検討し、作り上げてしまう行動力は髙岡様ならでは。もともと教室事業も作品制作事業も、地域では大変人気がありまた。本プロジェクトを利用して策定された計画を実行し、コロナ禍のピンチを乗り越えてほしいと思います。
(羽村市商工会:市川哲史氏)
企業情報
企業名 | RIE’s ART FACTORY |
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代表者 | 代表:髙岡理恵氏 |
創業年 | 2014年 |
業種 | サービス業(チョークアート教室業、作品制作業) |
所在地 | 東京都福生市本町9 レクセルマンション福生606号室 |
事業PR | |
URL | https://ries-art-factory.com/ |
中小企業診断士 箱山 玲