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ボードゲームで人と人とのつながりをつくる

企業名:株式会社ソリスト合唱団  取材先ご担当者様:代表取締役:沖井広行氏

幼いころからの想いをカタチにすべく、会社と共に成長

当社には自社開発ゲーム制作事業と代理店事業の2大事業があるが、今までどおり2つの事業に力を注いでいくべきか、あるいはどちらかに注力すべきかどうかを決めきれずにいたが…

企業概要

株式会社ソリスト合唱団(代表取締役:沖井広行氏)は知育ゲームやボードゲーム、ゲーム制作者向けのキットを制作・販売しているほか、中国の大手ゲームメーカーの日本総代理店業務をおこなっている。

小学生の頃から自らボードゲーム制作に没頭し、同級生を楽しませていた沖井氏は、大手ゲームメーカーでのサラリーマン経験を経て、「人と人とのコミュニケーションの手助けになるゲームを作りたい」という理想を実現すべく、2015 年に当社を設立した。

一見、業種と関係なさそうに見える社名は、会社を合唱団に、ユニークで個性豊かな人材をソリスト(独唱をする個性豊かな歌い手)に例え、人材を束ねてよい作品を創り出すという社長の想いに由来している。

ゲーム開発は、「まず手に取ってもらえないと売れない」との考えにより、「写真に撮って映えるか」「簡単そうに見えるか」といったデザイン面からスタートする。さらに、購入したユーザーを後悔させないように、ゲームの内容を入念に作りこんでいる。

企業の悩み

沖井氏は、サラリーマン時代には企画提案も行う等、ゲームに関する造詣が深く、商品開発力には自信があった。デザイン面では、立体感があるコマや穴のあいたコマ等、コストがかからず目を引くものを用いてインパクトを高めている。これまで様々なゲームを開発してきた経験から、内容の作り込みも得意中の得意と自負している。デザインの良さと中身の面白さの両面を兼ね備えた当社のゲームは、ゲームグッズ専門店だけでなく、今では大手総合雑貨店でも取り扱われ、ヒット商品も多く出るようになった。

商品開発や販路開拓において強みを発揮する一方で、沖井氏には悩みもあった。当社には自社開発ゲーム制作事業と代理店事業の2大事業があるが、今までどおり2つの事業に力を注いでいくべきか、あるいはどちらかに注力すべきかどうかを決めきれずにいた。また、財務や運営の知識が不足しており、それぞれの商品について採算性の管理が曖昧になっていると自覚し
ていた。
しかし、日々の業務に忙殺される中で、事業計画づくりやバックオフィスの改善は、どうしても後回しになりがちだった。そこで、今後の方向性検討と経営改善について商工会に相談したところ、本プロジェクトの経営診断を紹介され、利用することになった。

導き出された課題

経営診断の中では、自社開発ゲーム制作事業と代理店事業のどちらかにシフトすべきかどうかは、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと比較検討したうえで決めるのが妥当という結論になった。仮にいずれはどちらか一方に絞るとしても、あらかじめ筋道を考えてからシフトしていかないと、リスクが大きくなってしまう。

また、沖井氏自身が認識していたとおり、経営診断で利用されるチェックシートの回答とヒアリングから、運営管理と財務管理に関する課題も浮かび上がってきた。具体的には、①取扱先別・品目別の販売状況把握、②商品の在庫状況把握、③適切な値付けをするための品目別原価計算実施の3点である。

提案した中小企業支援施策

当社からの要望により、本プロジェクトの成長アシストコースを利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、課題解決を進めていくことになった。

まず、事業の方向性については、専門家から2つの事業についてより詳細にヒアリングを行う中で、それぞれのメリットとデメリットを明確にしていった。自社開発ゲーム制作事業は、利益率は高いものの、開発に時間がかかるため、着手から代金の回収まで時間がかかる。一方、代理店事業は、売上が原則全額前金で受け取れるため、運転資金の面では安定するが、利益率が低い。

利益率を向上させる観点から考えると、今後は自社開発ゲーム制作事業に注力した方がよい。しかし、運転資金の面ではゲーム開発事業を補う効果もある。専門家のアドバイスを参考にした結果、代理店事業についてはすぐに完全に廃止するのではなく、徐々に縮小しいくという結論に至った。

また、原価計算については、外注費用や材料費等の目に見えるものだけでなく、自身のゲーム制作にかかる労力等、目に見えないものも含めて考える必要があるとの指摘を受けた。その助言をふまえて原価をチェックすることにより、実質的に利益が出る商品と利益が出にくい商品の整理ができた。

その後の状況

最も大きな変化は、原価管理の方法を具体的に教わり、実践できたことである。簡易で自身でもできる内容だったため、商品ごとに利益を考えた値付けができるようになった。原価を見直しても利益が出ないと判断した商品については生産を中止し、商品の絞り込み行うこともできた。

また、事業の方向性についても、上述のシナリオに沿って、自社開発ゲーム制作の割合を徐々に増やし、利益率を改善しつつある。

2017 年には、売上高約1,400万円と対前年比4倍に伸びた。ゲーム愛好者だけでなく、一般の方にも楽しめるゲームを制作したいと考え、自社制作ゲームとして、最近増加しているゲームカフェ向けや、企業研修等のビジネスにも使える商品の開発も進めている。

企業様の声

ずっと悩んでいたことや疑問点について、専門家から具体的なアドバイスを受けられたことは、自社の今後を考えるきっかけになりました。事業の方向性を明確にして、自社の強みを十分に活かした事業領域を確立することで、今後の飛躍につながると確信することができました。

当社は、これからも人と人とのコミュニケーションを楽しくとれるゲームや教育サービスを提供していきます。また、中国のゲーム印刷工場WinGOの代理店として、日本に特化したローカライズを行い、リーズナブルな印刷代金でサービスを提供していきたいです。中国で印刷することで日本の半分以下のコストでボードゲームを生産することができます。将来的にはスマホを使ってプレイできるセミ・アナログゲームも提供したいと考えております。

経営指導員の声

中小企業に限らず経営者の方は多くの悩みを抱えておられ、時には一人で悩まれることもあるかと思います。本プロジェクトでは、専門家と経営指導員のチームによる支援で、その悩みに応えていくことができます。経営診断・計画策定・実行支援とステップを踏みながら支援ができることで、問題と課題の整理ができ、経営者の悩みを軽減できるのではないかと考えます。

今回の支援では、企業様が悩んでおられた今後の方向性を明らかにできたこと、また実行支援中に新しいゲームを開発されてそれがヒットしたこと等がうれしい成果でした。
(コーディネーター:中辻一裕氏)

企業情報

企業名 株式会社ソリスト合唱団
代表者 沖井広行
創業年 2015
業種 製造業(ボードゲーム、ガードゲームの企画・製造・販売) 
所在地 東京都国立市中2-17-7
Le Chat Gris 101
事業PR
URL http://sorisuto.com/


中小企業診断士 筑間 彰

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