中期事業計画を策定し新たな企業のステージへ ~課題を社員と共有し進み出す~
企業名:株式会社K-relations 取材先ご担当者様:代表取締役 小林 健太郎 様
もともと個人事業の延長として会社を捉えていた社長であったが、会社のさらなる成長を目指して従業員を増員するにあたり、組織をまとめ導いていかなければならない責任を実感したが…
企業概要
株式会社K-relations(代表取締役:小林健太郎 社長)は、従業員2名の映像制作会社である。もともと企業向けのビデオパッケージを制作するフリーランスの映像ディレクターとして、一次、二次の下請け制作業務を引き受けていたのがはじまりである。取引先からの業務依頼が増加してきたため、知人を従業員として雇用し、平成19年に法人成りした。
その後、取引先からの信頼はさらに厚くなり、売上は倍増した。もともと個人事業の延長として会社を捉えていた社長であったが、会社のさらなる成長を目指して従業員を増員するにあたり、組織をまとめ導いていかなければならない責任を実感した。
企業の悩み
会社組織の舵とりを行うため、「誰も見たことがない映像を作る」ことを経営理念として掲げることとした。知人の会社員を引き抜いて採用してみたところ、自ら仕事を積極的に作り出すことができず「どうしてよいかわからない」と言って1年足らずで辞めてしまった。そこで人材紹介会社を利用して多数の応募の中から未経験者2名を雇用したものの3カ月で辞めてしまった。やはり「どうしてよいかわからない」ということが理由だった。その次に雇ったアルバイトも自分の映画を撮りたいと2年未満で辞めてしまった。
定休日もあり残業もないのに長く続かないのは、仕事に課題を与え、段階的にクリアさせることで従業員のモチベーションを高めていく取り組みがおろそかになっているのが原因だと考えた。今度は3年間かけて育成しようと新たに1名の未経験者を採用した。従業員は楽しく与えられた課題をこなしていた。ところが多忙な業務のなか、短期的な課題を与え続け人材を育成していくことが社長にとって過度の負担になってしまった。今度は社長が音を上げ、1年で会社都合により退職勧奨することになってしまった。
そのような状況の中、商工会議所に加入したことをきっかけに、経営指導員に無料で経営診断が受けられる当事業について聞き、受診することとなった。自分の会社を客観的な視点でどのような状況なのか把握してみたいと興味を持った。
導き出された課題
中小企業診断士による企業診断の結果、3つの課題があげられた。
1つめは「人材の確保・育成」である。すでに人材確保・育成に取り組んではいるが、長期で働く人材を確保できないことを弱みとして指摘された。必要な人材は、経営ビジョン(会社の将来あるべき姿)に賛同する人材でなければならず、数年の育成計画を立てながら採用・育成しなければならないということが明らかになった。
2つめは「経営者の成長」である。もともとフリーのディレクターであった社長が個人事業の延長として経営を始めたため、会社組織を成長させる必要性を感じているものの、事業拡大などの明確な会社の将来像を描いているわけではなかった。従業員が共感・賛同する会社の将来像を明確にし、従業員を導いていくためのリーダシップを身につけるため経営者として成長していくことが課題としてあげられた。
3つめは「利益の体質化」である。映像制作管理システムを社長自ら開発し、制作フローを効率化することにより、低価格案件においても利益を確保できることを強みにしている一方で、業務委託費の割合が高く、利幅が少なくなってしまっていることが指摘された。業務委託費をわずか数%抑えるだけでも、年間の営業利益が増加することを具体的な数値とともにアドバイスされた。
提案した中小企業支援施策
中小企業診断士からは、課題解決に役立つ以下の支援施策の紹介を受けた。
人材を確保し育成していく課題については、「新卒者就職応援プロジェクト」を紹介された。最大6カ月のインターン期間があるため、経営ビジョンを十分に理解してもらい長期で働く人材を確保するのに役立つということがわかった。
経営者の成長という課題については、派遣された専門家のアドバイスによってさまざまな問題解決に役立つエキスパートバンクの活用や、経営の知識を高めたり経営者同士の交流ができるセミナー・イベントへの参加をすすめられた。
新卒者就職応援プロジェクト 全国中小企業団体中央会
卒業後3年以内の新卒者(第2新卒)に対して、最大6カ月のインターンとして受け入れを促進する施策。
エキスパートバンク(専門家派遣) 東京商工会議所
無料で3回まで専門家の支援を得られる制度。今回の場合は、中期事業計画の策定においてアドバイスを受けることを希望している。
経営者向けセミナー・イベント 東京商工会議所
東京商工会議所が主催する会員向けセミナーやイベント。東京商工会議所ホームページより、セミナー・イベント情報を検索することができる。
その後の状況
中小企業診断士から課題として示された業務委託費の削減については、具体的な数値を示されたこともあり、積極的に取り組んだ。可能な限り内製化を行うとともに、業務委託先と交渉を行うことで、外注費の削減を10%程度実現した。これまで業績評価指標をもとにした業務改善についてアドバイスを受けたことがなかったが、今回の診断を機に顧問税理士へ相談するなど積極的に経営管理に取り組んでいきたい。
これまで社長一人の頭の中で考えていた会社の現状や課題を、第三者の視点で診断報告書にまとめてもらうことで、社員全員で共有することができた。今後は、経営ビジョンを明確化し、社員と共有したうえで、中期的な事業計画と人事計画を立案し、具体的なアクションプランと数値的な目標の設定を行っていきたいと考えている。
企業様の声
経営診断を受けるのは初めてだったので、会社の状況を網羅的にチェックすることができ有益であったが、自社の経営ビジョンの明確化についてもっと重点的に相談をしたいと考えていた。無料セミナーや、中期的な事業計画策定のために、専門家の支援も無料で受けられる制度があると聞き、ぜひ活用していきたい。
将来的にプラモデルのコマ撮りによるアニメーション制作を事業化したいという考えを持っていたが、社員一丸となって取り組むための具体的な計画づくりへと踏み出すことができるのではないかとワクワクした気持ちを抱いている。
企業情報
企業名 | 株式会社K-relations |
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代表者 | 小林 健太郎 |
創業年 | 平成19年 |
業種 | 情報通信業(映像情報制作・配給業) |
所在地 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目18番3号 |
事業PR | |
URL | http://www.k-relations.com/ |
平成26年1月16日
服部 智行