「 世界に一つだけの愛犬・愛猫のあみぐるみ」を 世界中の人へ届ける

企業概要

monpuppy もんぱぴ（ 代表：眞道美恵子氏）は、「あみぐるみ」（編み物の技法で作られたぬいぐるみ）のオーダー制作や教室の運営を行っている。
代表の眞道氏は多摩美術大学の出身で、大手繊維会社のホームインテリアデザイナーとして勤務した経験を持つ。出産を機に退社し、子育てと介護に専念していたが、その間にボランティアで小学校の放課後支援の造形教室を10年運営し、子ども達にモノづくりの楽しさを教えていた。子育てと介護の手が離れたところで、犬を飼い始めたことをきっかけに、趣味だった編み物で愛犬のあみぐるみ制作を開始した。そして、同じく犬を飼う友人にプレゼントした際にとても喜ばれたことから、「オーダーメイドでの愛犬・愛猫のあみぐるみ制作・販売」に事業としての可能性を感じ、受注制作を開始した。そして、販売した顧客からリピート注文を受けるようになり、徐々に事業を拡大していった。
編んだベースの形に毛を植え込むことにより、それぞれの愛犬・愛猫の再現性を高めるという、眞道氏の個性ある技法は注目を集め、編み方を紹介した実用書がこれまで3冊出版されている。現在はあみぐるみのオーダー制作の他、吉祥寺と銀座での少人数制の教室やオンラインでのレッスンを行っている。

企業の悩み

愛犬・愛猫のあみぐるみ制作は、顧客の思い入れが強く、完成度を高めるためにやり取りを何度も繰り返すため、受注から完成までに約1.5か月を要する。また、他にはない再現性の高いあみぐるみは高い付加価値があるという自負もあった。一方で、その手間や付加価値に見合った価格設定ができているのか、という悩みを持っていた。そのような悩みを含め、眞道氏は個人事業として一人で制作・教室・編み図販売・収支管理等を行っていたことから、より多くの人にあみぐるみを届けるために、何が課題で何を解決すべきかということに考えを巡らせる余裕もなかった。
そのような中で、補助金申請や青色申告の際に日ごろから支援を受けていた商工会の経営指導員から、本プロジェクトでの専門家による経営分析と実行支援を受けることを勧められた。

導き出された課題

経営分析の結果、専門家から指摘された課題は、①事業計画を策定し、制作時間や付加価値に見合った価格設定の見直しを行う等、利益の計画を立てること、②新規顧客獲得のための販路開拓を行うこと、の2点である。
経営指導員と専門家は、ペット関連市場の拡大、コロナ禍での在宅時間の増加による手芸のニーズ向上という機会に対し、独自性の高いあみぐるみの技法という強みを持つ同社に事業拡大の可能性を感じた。そこで、まずは経営戦略や事業計画を策定し、眞道氏が漠然と考えている課題と、それに対するアクションの「見える化」が重要となると考えた。
また、前述の悩みのとおり、あみぐるみの制作時間や付加価値に対して販売価格や教室の受講料が安く、事業の採算性が低いと感じ、見直しの必要があると考えた。そして、新規顧客を獲得し、収益力を高めるには、既存のHPやSNS運用以外の販路開拓の取組が必要であると考えた。
眞道氏は、専門家から提示されたこれらの課題の解決に取り組むため、本プロジェクトのアシストコースを申し込むことにした。

提案された解決策

アシストコースを利用し、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、それぞれの課題解決に向けて取り組んだ。
まず、現状分析と目標設定を行い、それに基づく事業計画を策定した。その中で、ハンドメイド業界の外からの目線で、事業拡大の可能性について客観的な評価をもらえたことが眞道氏の自信になった。また、漠然としか見えていなかった悩みや課題が、整理されて「見える化」したことで、不安が解消されて事業に集中できるようになった。
次に、制作時間や付加価値について客観的・定量的な評価を行った。結果として、付加価値に見合うように単価を見直しても顧客はついてくる、という後押しをもらえた。このことが自信にもなり、単価アップに踏み切ることができた。
また、教室については、これまで新型コロナの影響もあり単発の講座のみであったが、半年間の継続コースの教室開講を提案された。加えて、集客状況によって単価や教室数を柔軟に増減させてもいいというアドバイスを受けた。これまで教室数を維持することを前提に考えていた眞道氏にとって、新たな視点を得ることができた。
販路開拓については、補助金を活用したハンドメイド関連の展示会への出展をすすめられた。これまでは、自分は見る側としか考えていなかった大規模な展示会にも、出展すれば販促効果があるというアドバイスを受けて、まずは2023年春の出展に向けた準備を進めている。

提案した中小企業支援施策

• アシストコース（中小企業活力向上プロジェクトネクスト）
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その後の状況

アドバイスを踏まえ、オーダーメイドあみぐるみ制作の単価を見直したこと、オンラインも含めた教室の稼働率が向上したこと等により、2022年は開業以来で最高の売上高となった。専門家からの事業に対する客観的評価を受け、収益も向上したことにより自信がつき、今後さらに広く事業展開したいという想いが芽生え、次の一歩を踏み出している。
具体的には、眞道氏の持つあみぐるみ制作技術・ノウハウを一から学び、広めたいという要望を受け、指導者育成のための教室を開講すべく準備を進めている。また、SNSやHPを通じて海外からも問い合わせを受ける機会が増えたことから、海外在住者向けのオンライン教室も挑戦したいと考えている。またYouTubeでの制作動画の配信は以前から行っていたが、展示会や海外展開を見据え、さらに投稿を増やしていく予定だ。そうして、眞道氏がここまで作り上げてきた「世界に一つだけの愛犬・愛猫のオーダーメイドあみぐるみ制作」をより多くの人に知ってもらい、届けていきたいと考えている。

企業様の声

今回のプロジェクトを通じて、専門家とお話しさせていただくことで、この事業を大きく育てていける自信を持てたことが一番大きな成果でした。ペットには不思議な力があると思いますし、私の作るあみぐるみをお迎えいただいた方からはペットと同じような価値を感じていただけているので、この輪をより多くの人に届けていきたいです。手芸仲間や友人の個人事業主の方は、商工会・商工会議所に縁のある方が少ないように思いますが、相談に乗っていただけたり、情報をいただけたりするので、特にお一人で事業をされている方は一度ご相談されるとよいのではと思います。
（代表：眞道美恵子氏）

支援者の声

眞道さんは以前から事業に対して前向きで、色々なアイデアをお持ちの方でしたので、今回のプロジェクトを通じてその想いを交通整理させていただきたいと思っていました。お一人で事業をされていると経営資源は限られているので、優先順位を決めて効果のある施策を選択して実行するために本プロジェクトを活用してもらいました。眞道さんは足元の課題を一つずつクリアし、その先の指導者育成や海外進出といったビジョンを描いているので、その姿を見ると支援してよかったと感じています。
（小平商工会：岩撫高明氏）

企業情報

中小企業診断士　勝田 慶