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3 人材・組織(組織運営)

業務分担などの社内体制は、柔軟に変更し改善を図っている

時代とともに変わる組織の階層構造

 米国の商務省、教育省、労働省などが「21世紀のスキルと仕事」と題して、組織や管理、仕事の変化についてまとめたレポートがあります。先進国に共通の現象としてみられることなのですが、経済のグローバル化が進み、技術革新の進展、業務革新の影響などから従来の組織間や職務間の境界が不明確になり、各人の役割間の境界もハッキリしなくなってきています。固定的で厳格な職務範囲に各人が閉じこもっていては、スピードの求められる現代では仕事がうまく回らなくなってきています。M&Aなどによる事業の再編が急速に進んでいることも、この傾向に拍車をかける要因となっています。

 ITの利用によって組織の内外での情報流通が大きく変化しており、各人の仕事はより専門的で、複雑化する傾向にあります。当然、その担い手であるサービス部門やスタッフ部門で役割を担う人員が増える傾向にあります。対人折衝能力を備えた人材や高度な専門知識に裏づけられた人材へのニーズが高まっています。大きな組織であっても市場の変化への対応でスピードが求められ、柔軟な対応が迫られているので、組織の階層構造はピラミッド型からフラット型へと変化しています。コミュニケーションのかたちもトップダウン型から、双方向・拡散型になり、あわせて個人への権限委譲を進めることになります。

常に組織を見直し、柔軟に対応

 競争が激しくなるなかで、製造業の付加価値部分が他社では真似のできない特殊な加工方法や加工ノウハウ、デザイン能力などのソフト的な部分に集中してきていますが、それはとりもなおさず、このような組織編成原理の変化につながっているのです。従って、社内組織の見直しを常に行い、必要に応じて柔軟に対応していくことが求められるのです。

Case Study

大胆な組織変更で顧客に近づけ

 大切なのは従業員が自分の仕事に対する反応をダイレクトに感じることだというF社。生産やソフトウェアの担当者が客先の現場に行くことはもちろん、間接部門で働く従業員にもリアリティーが重要であると指摘する。そのため、かなり大胆なジョブローテーションを行う。一般にローテーションは生産性を落とすといわれるが、同社はそれにより失うものより、そこから得られるものに注目している。
(自動外観検査装置製造・60人)

 G社はもともと研究開発部門が社内にあった。営業担当者が問題を抱えてくると、開発部門が解決していたため、開発部門の仕事はトラブル処理になりがちであり、本来の開発活動が十分にできない状態であった。そこで研究開発部門を本社から切り離し、技術者だけの集団である別企業を立ち上げた。研究は「何をやってもいい」という方針に技術者は奮起し、先端的な研究開発に専念することができた。従業員数は10人ほどであったため、社内の決めごともスピーディになり、それが困難な新製品の開発につながったという。
(土木関係の各種計測機器の開発・136人)

Step Up

(1)複数の職務ができる多能的な人材を育成すると同時に柔軟な応援体制が組めるようにしている

 ISO9001を取得した企業では、品質の維持が目的ですが、それを日常的に達成するためには人材の育成が条件となります。それぞれの職場で必要とされる能力や技能を一覧にして、各人がどのような能力、技能をいくつ持っており、それがどのレベルかを一目瞭然にし、スキルアップをめざしています。求められる目標を明確にしたうえで、たえず進捗状況を確認しながら、一人ひとりが自律的にひとつずつ能力を身に付け、あるべきレベルに到達することをめざすわけです。

 改善活動など、その先の部分では知恵をつくり出す能力が求められています。若いうちから難しい問題にチャレンジし、それを一つひとつ解決した経験が優秀な人材へと育てるのです。小さな改善の積み上げの経験が思いがけない成果にもつながるのです。

(2)従業員は自分の仕事について、計画と実績を比較して問題点を把握し、改善を実施している

 若手だけに任せているだけでは企業は回りません。中堅従業員や管理・監督者層の従業員も一体となって、難局を乗り切らなくてはなりません。営業であれば、企画提案型の営業でなければ新規開拓は難しいでしょう。こうすれば顧客にとってメリットがあるということを織り込んで提案をつくることが必要です。新製品の開発であっても、マーケットのニーズ、市場が求めている物を的確につかむ必要があります。需要にあわせて柔軟に動く必要があるのです。課題は次々に出てくるものです。これに自ら企画し、提案し、実際に業務も処理する。PDCAサイクルを自ら回せる中堅従業員や管理・監督者層の厚さが企業の競争力を形成します。大きな方針は経営者が示しますが、それを受けて、各人がチャレンジ精神を発揮する組織へと変えていくことが求められます。

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