3 人材・組織
みなし残業代に関する法律の規制をご存じですか?
- 当社は飲食店を複数店舗経営する中小企業です。昼から夜まで営業しており、朝からの仕込みや夜の掃除などで残業が多いため、収益を圧迫しています。
残業代を抑制するため、一定時間数を決めて「みなし残業代」を設定し、それを残業代の上限にしたいのですが、問題はありますか?
- 「みなし残業代」とは、賃金や手当の中に、例えば「月30時間の残業を含む」等とし、その時間数分の残業代を賃金とは別に支給しない賃金体系を指します。これには一見して賃金が高く見えるメリットがあります。
そもそも、残業代(時間外手当)は、実際に行った時間数分だけ支払うのが原則です。
しかし、労働者の同意を得て就業規則または個別の労働契約で定めた場合には、月の平均残業時間の見込みに基づいた毎月定額の「みなし残業代」を支払うことができます。
(ただし、上述のように、「みなし残業代」が何時間分にあたるかを明示しなければなりません。)
一方、雇用主は労働者に対し、法定時間外労働、休日労働、深夜労働について法令で定められた割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条)。
これらの時間数と割増率をもとに計算した実際の残業代が「みなし残業代」の範囲を超えた場合、雇用主は超えた分の残業代を追加で支払わなければなりません。
そのため、「みなし残業代」の制度を残業代の上限として用いることは違法ということになります。
さらに、労働者の退職後に未払残業代の請求訴訟を起こされるリスクも生じます。
逆に、「みなし残業代」に相当する残業時間を大幅に下回る状態が続く場合、会社は労働者に未実施分の残業をさせるという「繰り越し」の定めをすることが可能です。
ただし、就業規則または賃金規程の中で「繰り越し」について定め、従業員に説明したうえ、同意を得ておく必要があります。詳しくは所轄の労働基準監督署にご確認ください。
詳しくは下記リンク先のホームページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_22.html