5 財務管理
役員退職金の損金算入についてご存じですか?
- 当社は個人宅の新築やリフォームなどを請け負う工務店で、株式会社の形態をとっています。
社長の私は現在60代半ばです。
同業の大企業に勤めている30代の長男が、これから当社に戻って後継者となる予定です。
ある年度に自分に役員退職金を支払い、あえて赤字にして会社の1株あたりの価値を下げてから株式を後継者に贈与すれば、贈与税が安くなると聞きました。
税務上役員退職金が損金として認められる限度額や必要な手続について教えてください。 - 社長等の役員に支払う役員退職金は、原則として損金に算入されます。
ただし、同族会社では、役員退職金が利益調整に使われる場合が多いことから、損金算入が制限されています。
損金算入が認められる限度額は、一般的には以下の式によります。
退職時役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率
つまり、退職時の役員報酬月額が少なければ、損金算入が認められる役員退職金の金額も少なくなります。
かといって、退職の直前に役員報酬を増額すると否認される場合があります。
なお、上の式の功績倍率は、社長の場合通常「3倍」とされます。
手続としては、定款に役員退職金に関する定めがない場合は株主総会の決議を要する点と、取締役会で役員退職金規定を決議しておくべき点が、主な注意事項です。
「株主総会議事録」「役員退職金規程」「取締役会議事録」等の証拠書類が整っていないと、税務調査で役員退職金の損金算入の否認につながりますので、必ず作成しておきましょう。