社員の自主性が生み出すアイデアで、無線機ビジネスの先端を拓く
企業名:株式会社オンザウェイ 取材先ご担当者様:代表取締役:野中元樹氏
他社との競争過熱により、オフィス通販の代理店事業の業績の落ち込み、減収が続いていた。無線機の保守メンテナンスにあたっては、数万点もの膨大な部品を管理しなければならないがどうするのか…
企業概要
株式会社オンザウェイ(代表取締役:野中元樹氏)は、主に業務用無線機のリース、レンタル・保守メンテナンスを行っている。
野中氏は、かつては父親が経営する通信システム会社で働き、大手電機メーカーからの脱下請けを目指し奔走していた。あるきっかけで周囲から促され、無線機の販売部門を分離させる形で当社を設立することとなる。
当社設立後は携帯電話の普及により、多くの販売先が無線機から離れていく苦しい時期はあったが、レンタル事業により息を吹き返した。現在は全国各地の事業所との取引網を構築し、常時1万台以上の無線機を貸し出すまでに成長している。
同社は「共に育つ」という経営理念の下、人を育てることに力点を置いて事業を伸ばしている。なかでも創業以来30年間休まず続けている朝礼では、スタッフの間で活発な意見交換が行われており、日々課題や情報が共有され、スタッフの現場判断力を高めている。
企業の悩み
同社には大きく2つの悩みがあった。
第一の悩みは、オフィス通販の代理店事業の業績の落ち込みである。同社は無線機のリース・レンタルで培った顧客基盤をもとに、大手オフィス通販会社の代理店業務を展開してきたが、他社との競争過熱により減収が続いていた。それまでも無線機のお客様にオフィス用品を使ってもらうにはどうすればいいのかという問題意識はあったものの、具体的なクロスセルの実施策を打ち出せずにいた。
第二の悩みは、無線機事業での在庫管理の煩雑さである。特に無線機の保守メンテナンスにあたっては、数万点もの膨大な部品を管理しなければならない。順調に受注を伸ばしていく一方で、リース・レンタルの各部門が別のシステムを使っていたため、顧客対応に手間取り、スタッフは常に忙殺されていた。
野中氏は、こうした悩みを解決するために、創業30年の節目に事業計画を練り直す必要を感じていた。そこで、町田商工会議所への相談を通じて、本プロジェクトの経営診断を利用することになった。
導き出された課題
経営診断では、大きく2つの課題が上がった。
第一の課題は、無線機ビジネスとオフィス通販ビジネスを連携するための、全社のマーケティング戦略の立案である。拡大するオフィス通販需要を取り込むため、顧客管理システムを導入してスタッフ間で情報共有を進め、両事業の顧客対応を有機的に結びつける必要があった。
第二の課題は、無線機事業で生じている煩雑な在庫管理業務を、ITシステム導入により効率化することである。在庫管理を効率化できれば、それまで管理業務に忙殺されてきたスタッフの労働環境が改善され、お客様の声を聴いてそれに応えていく余力を生み出せる。お客様の声が集まれば、自然と活発で前向きな議論が生まれる。このように、単なる効率化に留まらず、仕事の質を高めていけると期待できる。
提案された解決策
引き続き、本プロジェクトのアシストコースを活用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら課題解決に向けて取り組むこととなった。
まずは創業30周年に向けた、3か年の事業計画を立案することとなった。計画のなかでは、新商品・新サービスを生み出すためのプロジェクトチームも組成された。当社には、スタッフからのボトムアップで自発的な提案を生みだす社風がある。さっそく付箋を使って自由に意見を交わす、ブレーンストーミングの場が設けられることになった。
また、IT導入補助金を活用して、顧客・在庫の管理システムを導入することとなった。システムは、無線機・オフィス通販等の商材、販売・レンタル・リースの取引形態を問わず、顧客ごとの受発注・修理内容・問い合わせ履歴等がデータベース化され、全社員が閲覧できる設計とした。
さらに、マーケティング戦略を再構築するプロジェクトチームも立ち上げた。専門家の監修のもと、他社の事例研究やお客様の要望を踏まえて今までの営業方針を見直し、オフィス通販と無線機サービスとを融合した新たなマーケティングを行うこととなった。
提案した中小企業支援施策
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その後の状況
ボトムアップで事業計画を策定したことにより、スタッフそれぞれが当社の目指すべき目標を明確に意識することができた。新型コロナにより計画見直しが必要となったが、テレワークでの無線機活用等、新たな需要に応えるための取り組みが続いている。
計画を策定するプロセスは、スタッフ自ら創意工夫する力を育み、大きな環境変化を乗り越える柔軟さを生んだ。今後も専門家のアドバイスを受けながら、事業展開する予定である。
企業様の声
このプロジェクトによる支援を受けて、本当によかったと思っています。支援を受けることが決まってからは、当社担当のディレクターの内田さんにすぐに朝礼に参加していただきました。スタッフと一緒に事業計画づくりに取り組むことで、より一体感が高まったと思います。
(代表取締役:野中元樹氏)
ITシステムの課題をはっきりと認識できました。お客様に喜びを届けるために、導入したシステムをさらに更新していきたいと思います。
(情報システム担当マネジャー:飯尾真弓氏)
事業計画での施策を発展させ、各部門のお客様のニーズをもっと有機的に結び付けていくためにRPAの取組みを進めていきたいです。
(事業推進担当マネジャー:増田知美氏)
支援者の声
初めて訪問した時から、社員の皆さんが明るく活発で、雰囲気の良い社風が伝わってきました。
本プロジェクトでは、主に主力商品の無線機の販路拡大、顧客へどのように活用方法を提供するか、補助金の情報提供の方法、自社製品の特徴と顧客のベネフィットのマッチング等、専門家の内田先生を中心に課題の抽出、今後の展開の方向性の整理、事業計画に取り組みました。参加された社員の方々の問題解決意識が高く、経営計画策定に意欲的に臨む姿勢が印象的でした。
今後も経営に関する相談役として、商工会議所や専門家をぜひ活用いただければと思っております。
(町田商工会議所:三嶋沙織氏)
企業情報
企業名 | 株式会社オンザウェイ |
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代表者 | 代表取締役:野中元樹氏 |
創業年 | 1991年 |
業種 | 卸売業(業務用無線機のリース、レンタル・保守メンテナンス) |
所在地 | 東京都町田市原町田5-14-18 |
事業PR | |
URL | http://www.ontheway.co.jp/ |
中小企業診断士 大関 仁