自社ブランドの認知度向上に展示会出展の活用を -助成事業を活用し、技術力、品質を効果的にPR-
企業名:扶桑精機株式会社 取材先ご担当者様:代表取締役社長 桑原健郎様、製造・開発部部長 綾辺孝一様、製造・開発部製品管理主任 長坂大様
限られた時間のなかで、期待以上の効果があり、現場を見直すよいきっかけとなったので、また、チャンスがあれば活用したいと言われたその中身は……
企業概要
扶桑精機株式会社(代表者:桑原 健郎)は、工業用自動スプレー装置の開発・製造・販売および関連製品の販売を営む、創業54年目の会社である。
主要製品の「ルミナ自動スプレーガン」は、塗装、潤滑、給油、離型剤の塗布、接着、マーキング、加湿、コーティング、消臭、消毒等といった幅広い用途に使用でき、それぞれ顧客のニーズにあわせた特注品の製作も可能である。
当社の強みとしては、顧客の様々な要望に対して、提案力、開発力、技術力で応えることができること、さらにエンドユーザーに対しても、直接商品・サービスを提供できることなどが挙げられる。
企業の悩み
昨今のような経済環境が厳しい時代においては、中小企業が価格競争力を武器にしていくのは容易ではない。そこで、当社では、標準品をベースにしつつ、顧客の使い方に合わせた仕様変更をきめ細かく行い、特注品に近い使い勝手を提供するといった「付加価値戦略」を重視してきた。
また、今後の検討課題としては、スプレーの噴霧機構部に特化するか、制御部にも取り扱いを広げていくかという事業範囲の設定についての問題が浮上していた。
このような当社の戦略や経営手法などについて、一度、第三者の眼によるチェックを受けることで、経営課題を検討したいと考えていた。
そんな折、桑原社長が「経営力向上TOKYOプロジェクトキックオフ大会」に参加し、本プロジェクトを知ったことがきっかけで、企業診断を申し込んだ。
導き出された課題
まず、業務全般において、遅れている文書化を進めることによって、業務上の問題点も明確になり、より的確な判断が可能になるということが指摘された。特に、品質管理面については、早急に文書化を行うことが望ましいとされた。
次に、事業範囲についての判断は、社員の意見を取り入れつつも、最終的判断は経営者が行い、拡張する場合には、慎重に投資余裕の範囲で行うことが挙げられた。
さらに、当社の製品は、生産設備の1部品であり、適用業種が多岐にわたるため、顧客になり得る企業の設備設計担当者や生産現場従業者、設備購買担当者に対して、社名やブランド名、機能などの認知度を高めていく必要があることもアドバイスされた。
提案された解決策
改善のための計画として、各種展示会へ積極的に出展することにより、効率よくターゲットとなる設備設計担当者や生産現場従業者、設備購買担当者に直接接触を図り、技術面や品質面のPRを行うことが提案された。
さらに、商工会議所のエキスパートバンク(3回)を活用することで、品質面の文書化や展示会におけるより有効なPRが図れるように相談することが提案された。
提案した中小企業支援施策
上記であげられた課題を解決するための中小企業支援施策として、以下の提案が行われた。
企業様の声
「従来、総合的な展示会に出展することはあっても、今回のように助成金を活用して“プレス・板金・フォーミング展”といった、分野を絞った展示会へ出展することは、従来はしていなかった。今回は、映像モニターを使いビジュアル面からも、より有効なPRができたため、出展して大変よかったと思っている。
また、エキスパートバンクを使い、主に品質管理に特化した研修を3回実施し、全ての回に、社長、経営幹部、現場の担当者を含め4名が参加し、社内の情報共有および意識の統一化を図ることができた。
さらに、中小企業診断士から具体的な工程表として、サンプルの提示をしてもらった「品質管理工程図」を今後、現場で品質管理の文書化を図る際に、参考にしていく予定である。
限られた時間のなかで、期待以上の効果があり、現場を見直すよいきっかけとなったので、また、チャンスがあれば活用したい。今後の希望としては、「海外向けの展示会」に対する助成制度を設けてほしい。
企業情報
企業名 | 扶桑精機株式会社 |
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代表者 | 桑原 健郎 |
創業年 | 昭和31年 |
業種 | 工業用自動スプレーガンの製造販売 |
所在地 | 〒113-0021 東京都文京区本駒込6-12-17 |
事業PR | |
URL | http://www.fusoseiki.co.jp/ |
取材日:平成22年2月10日
記事:西浦美智子