労働生産性
限られた人数でどれだけの価値を創出できたかチェック
「生産性」とは、インプット(投入)の量とアウトプット(産出)の量との関係を示すものです。企業でいえば、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を投入して、どのくらいの成果(付加価値)が得られたかということであり、経営資源の有効活用度合いを示す重要な指標であるといえます。基本的な算式は、「アウトプット(産出)÷インプット(投入)」で表すことができ、この値が大きければ大きいほど生産性が高い、つまり経営資源を有効に活用していることになります。
生産性を示す指標にはいろいろとありますが、ここでは、「ヒト」という経営資源に着目した「労働生産性」を把握します。
限られた人員で、どれだけの付加価値が創出できたのか?
労働生産性(1人当たり付加価値額(円))=付加価値÷従業員数
つまり、1年間に従業者1人当たり、どれだけの付加価値を生み出したかを測る指標というわけです。
ここで、「付加価値」をどのように計算するかが問題となってきます。付加価値とは、企業が新たに生み出した価値であり、企業が生産あるいは販売した額から、それに関して消費された外部からの購入した価値を差し引いたものです。
ここでは、簡便に計算するため、付加価値を、製造業の場合は「加工高(売上高から材料費および外注費を差し引いた額)」、非製造業の場合は「売上総利益」としています。
製造業の場合(建設業、運輸・情報通信業を含む):
労働生産性(1人当たり加工高)(円)= (売上高-材料費-外注費)÷従業者数
非製造業の場合:
労働生産性(1人当たり売上総利益)(円)= 売上総利益÷従業者数
生産性指標の基準値は一概にはいえませんが、目安として、中小企業の場合1,000万円を超えていれば生産性が高い、つまり人的資源を有効に活用できているといえます。
生産性を上げるためには、機械化や自動化も必要ですが、人材のやる気やチームワークが生産性に大きく影響するのです。また、社内調整など、直接付加価値を生まない仕事が多いと、生産性も上がりません。まさに、「ヒト=人的資源」の活用度合いによって、成果が大きく違ってくるのです。
Step Up
労働生産性さらに深く分析する
労働生産性をさらに深く分析するには、労働分配率をみるとよいでしょう。労働分配率とは、付加価値のなかからどのくらいの割合で人件費に回されているかを示すもので、業種などによって差異がありますが、これが60%を超えると、企業の収益は厳しくなるといわれています。
この指標は、企業からみた良否と従業員からみた良否が違ってきます。すなわち、企業の収益を考えれば労働分配率が低いほどよく、逆に従業員からみれば、高いほどよいことになります。しかし、お互いが対立するものではなく、労働生産性を向上させることで人件費の絶対額を確保しながら労働分配率の低下をめざすことが、企業および従業員の双方にとって最善の道なのです。
労働分配率(%)=人件費÷付加価値額×100
設備投資の生産性
ヒトではなく、設備の生産性をみることもできます。設備の生産性を測る指標としては、設備投資効率(機械投資効率)があります。
設備投資効率(機械投資効率)(回)=付加価値÷設備資産