売上高経常利益率
収益力のある事業の仕組みができているかをチェック
「売上が上がっても儲けが出ない」・・・こうした悩みのある企業は少なくありません。「暴利をむさぼる」必要はありませんが、よい商品を適正な価格で販売し、適正な利益を得なければ、売上が上がっても企業の存続 ・ 成長は望めません。企業が存続・成長を図るための適正な利益を上げられているかどうかを示す指標として、利益額を分子、売上高を分母として算出する「売上高利益率」があります。
ここでは、企業が、本業を含めて普段行っている継続的な活動から得られる利益である「経常利益」を分子、「売上高」を分母として、「売上高経常利益率」を算出します。
売上高経常利益率(%)=経常利益率÷売上高×100
「売上高経常利益率」は、本業と財務基盤を含めたその企業の総合的な収益力を示す数値です。この率が高ければ高いほど、収益を得るための事業の仕組みが良好であることを示しています。
中小企業約80万社の財務データを分析した中小企業庁の「中小企業の財務指標(2005年決算期)」によれば、「売上高経常利益率」の平均は、下表のとおりとなっています。
Step Up
収益低迷の原因をつき止める
「売上高利益率」は、「売上高経常利益率」以外でも、以下のよう なものがあります。
❶「売上高総利益率」
売上高から売上原価を差し引いた、商品 ・ サービスの粗利である「売上総利益」を分子とした指標
❷「売上高営業利益率」
「営業利益」を分子として本業での収益力をみる指標
❸「売上高当期純利益率」
最終的な儲けである「当期純利益」を分子とする指標 これらの指標を活用して、収益低迷の原因を大枠でつき止めるこ とができます。
「売上高経常利益率」が低い場合、まず、「売上高総利益率」の変 化をチェックしてみましょう。
「売上高総利益率」が低い場合、低い 販売単価、相対的に高い売上原価などがその原因として考えられま すので、商品力の再検証やコストダウン策が必要です。
一方、「売上高総利益率」がそれほど低くないのに、「売上高経常 利益率」が低い場合には、販売費、一般管理費、支払利息などの経 費による「高コスト体質」が考えられますので、不要不急な経費の 削減などを検討する必要があります。