3 人材・組織
労働者派遣と請負の区別の基準をご存じですか?
- 当社は、主として業務用ソフトウェアの制作やシステム運用の支援を行っている企業です。
数年前から顧客であるA社と請負契約を結び、当社従業員を常駐させてもらっています。
その方の業務は、A社の情報システム部門担当者の指示にしたがって行われています。
先日、A社の情報システム担当者より、「うちの内部監査室から派遣として契約を結び直すように指示されたので、そのように対応してほしい」と言われました。
どうしてもその通りにしなければならないのでしょうか。 - 労働者派遣と請負は、次のように法的性質が異なります。
労働者派遣とは、派遣元事業主が、自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために、労働に従事させることです。
一方、請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的とするもので、労働者派遣との違いは、請負には注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じない点にあります。
A社の内部監査室が言っているのは、実態が労働者派遣であるため、労働者派遣契約を結び直してほしいという趣旨であり、A社の担当者の指示で業務が行われているというお話からは、その要請に応える必要があると判断できます。
A社と労働者派遣契約を結ぶに先だって、労働者派遣事業者として許可ないし届出を済ませておく必要があります。
労働者派遣事業は、常用雇用労働者だけを労働者派遣の対象として行う「特定労働者派遣事業」と、登録型や臨時・日雇の労働者も派遣する「一般労働者派遣事業」に分かれます。
このうち、「一般労働者派遣事業」の方は要件がより厳しく、財産的要件(基準資産額や自己名義の現預金額)等を満たし厚生労働大臣の「許可」を受ける必要があります。
御社の場合、常用雇用労働者のみが対象なのでしたら「特定労働者派遣事業」がお勧めです。
「特定労働者派遣事業」の場合は、管轄労働局への「届出」で足り、財産的要件もありません。
詳しくは下記リンク先(厚生労働省)のPDFファイルをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/tekisei.pdf