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“流体で自然科学にアプローチする”個性あるオンリーワン製品

企業名:株式会社ユニフローズ  取材先ご担当者様:代表取締役:森川秀行氏

事業承継と新規事業に向けて

子どもの理科離れが叫ばれ、当社の基礎技術である理科学分野の人材が少なくなっていることに、危機感を持っていた。また、後継者が既に取締役として在籍はしているが、身内だからこその承継の難しさを感じていた…

企業概要

株式会社ユニフローズ(代表取締役:森川秀行氏)は、理科学機器、医用機器、検査機器向けの計量・送液ポンプ、脱気装置、切換バルブ等の開発、製造、販売を行っている。特に医用機器については創業直後から力を入れ、医療機器製造業許可、第二種医療機器製造販売業許可を取得している。

また「医用機器」という特性から、同社は「社会的な供給責任」にも早くから着目し、BCP(事業継続計画)を策定している。その一環である拠点分散として、2011年の東日本大震災以降、宮崎県に工場を設立し、災害時にも供給を継続できる体制を整えている。

企業の悩み

森川氏は、主に2つの悩みを持っていた。

1つは、事業承継である。後継者の内山章氏(長女の夫)と内山道子氏(長女)が既に取締役として在籍はしているが、身内だからこその承継の難しさを感じていた。そこで、信頼のおける第三者の専門家に間に入っていただくことで、円滑な事業承継を行うべく早期に具体的な計画を作りたいと考えていた。

もう1つは、新規事業についてである。近年「子どもの理科離れ」が叫ばれ、当社の基礎技術である理科学分野の人材が少なくなっていることに、森川氏は危機感を持っていた。そこで、理科学に興味を持つ子どもを増やしていきたいと考え、飲み物や食べ物等の成分量を短時間で簡単に測ることができる、教育用の小型高速液体クロマトグラフ「e-HPLC ことり」を自社開発した。しかし「e-HPLCことり」は、これまで当社が事業展開してきた分析機器分野とは異なる「教育分野」への新たなチャレンジであり、新規の販路開拓が必要であった。

森川氏はこれらの2つの悩みを自社内だけで解決することは難しいと考え、本プロジェクトの経営診断を利用することにした。

導き出された課題

中小企業活力向上チェックシートの内容をもとに、当社の事業分野に豊富な知見を持つ中小企業診断士が経営診断を実施し、現状把握と課題抽出を行った。

経営診断の結果、①具体的な事業承継計画の策定、②そのために必要な事業計画の策定、③新事業「e-HPLC ことり」の販売促進と販路開拓、の3点が重点課題として挙げられた。

専門家からは、「経営権と資産を後継者に承継するだけでなく、中長期的な事業計画を立て、それを踏まえて具体的な事業承継計画を策定することが大切である」という説明があった。

森川氏はそれを聴いて、「これまで心血を注いできた事業を次の世代に継承・発展させ、従業員が安心して働き続けられるようにするためにも、事業計画と事業承継計画の策定に取り組まねば」と思いを新たにした。

提案した中小企業支援施策

本プロジェクトのアシストコースを利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、上記の課題解決に向けて取り組んだ。

事業計画策定にあたって、まずは経営理念の可視化に取り組んだ。これまでも森川氏から経営陣や従業員に対して、当社の信条やモットーは発信されていたが、この機会に一度整理し、全員で共有できるようにしようという趣旨である。これには多くの時間を要したが、創業の思いや社名に込めた願い等、森川氏と後継者の2人が認識を共有するための大変有効な場になった。内山章氏は「会社は今後何を目指して進むのか、皆がベクトルを合わせるための指針が必要だった。その土台ができたことは、大きな一歩であった。」と語る。

事業計画書には、主要製品別の売上目標や、事業別の人員計画等も盛り込まれた。また、現状と目標のギャップから「取り組むべき具体的な課題」を抽出し、実行プログラムをスケジュール化した。今後はスケジュールに基づき、確実な実行を推進するためのPDCAを回していくつもりである。

新規事業の「e-HPLC ことり」の販売促進と販路開拓も計画に組み込まれ、専門家からアドバイスを受けながら、展示会「JASIS2019」への出展、子ども科学教室の実施、新聞・他メディアへの掲載等のプロモーション活動が実施された。

事業承継計画についても、専門家の支援を受けながら具体的な内容を固めていき、完成させることができた。

その後の状況

本プロジェクトの支援をきっかけに、毎月定例で経営会議を実施するようになり、より事業計画の計画的な遂行を意識するようになった。

新規事業の「e-HPLC ことり」についても、展示会来場者へのコンタクトや出張デモの実施等、積極的な営業活動が始まり、今後の取引先拡大に期待が持てる。

企業様の声

技術屋の特性なのか「言わなくてもわかるのではないか」と思い、自分からはなかなか後継者に話ができていませんでした。中小企業診断士の先生に間に入っていただいたことで、後継者へ伝えるべき様々な想いを引き出していただくことができました。

また、一連の支援の中で、今まで知らなかった新しい情報を得られたことも成果として大きかったと感じています。中小企業は大企業に比べて情報量が少ないです。情報が増えれば、そこから次につながる枝葉を増やしていけます。今後も、ここで得られた情報を活用し、新規事業である「e-HPLCことり」の販売拡大等に役立てていきたいです。

経営指導員の声

どこまでも奥深い森川社長の知識・経験・発想力をいかに“目に見える形”として引き継いでいくか、それが今回の支援の最重要テーマでした。川本先生独特のやわらかな雰囲気に良い影響を受けながら、実効性のある支援が出来たと思っております。後継者の内山さん、幹部の皆さんも、毎回川本先生から出される宿題を、お忙しい中で見事にクリアされました。虎の子とも言えるこの事業計画書に沿って、さらに事業拡大されることを祈念しております。
(あきる野商工会:山口純氏)

企業情報

企業名 株式会社ユニフローズ
代表者 森川秀行
創業年 1985
業種 製造業(理科学機器、医用機器、分析機器等の製造)
所在地 東京都あきる野市山田405-3
事業PR
URL http://www.uniflows.co.jp/


中小企業診断士 徳田友美

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