ネット時代に、あえて実店舗による接客で女性の心をつかむ

企業名：株式会社トランスコード　　取材先ご担当者様：代表取締役:高橋学氏

レンタル衣装で非日常をリーズナブルに提案

社長として日々業務を行っていると、入ってくる情報が膨大であり、その取捨選択に多大な時間が消費される。しかし、そこにはわずかとはいえ必要な情報も含まれることも確かであり、取りこぼさないためには…

企業概要

株式会社トランスコード（代表取締役：高橋学氏）は渋谷で女性向け衣装のレンタルを行うサービス業である。高橋氏はもともとヨーロッパで建築業に携わっていたが、帰国後は建築業のほか飲食店も手がける。さらに「衣食住」のすべてに関わりたいと、「衣」の事業としてトランスコードを立ち上げた。起業当初はスタイリストなどプロ向けに衣装を貸し出す事業を営んでいたが、女性がパーティーや結婚式など華やかな場所に行くときの衣装に困っていることを知り、一般向け事業を開始。渋谷駅徒歩30秒の立地に、リーズナブルな料金でトレンド感のある衣装を貸し出す「my closet」を展開している。

企業の悩み

近年のレンタル衣装業界は、実店舗を持たずにWebサイトのみで衣装を貸し出すサービスが増加している。当社は実店舗を持っているため、顧客は実際に店舗で試着することができ、また経験豊富な店員から着こなしのアドバイスも受けることができる。そこにWeb専門の事業者との差別化があると考えている。しかし店舗運営には敷地面積という制約があり、一度に対応できる顧客の数や、配置可能なアイテム数に限界がある。そのため大規模なイベント開催等による特需が発生した際、その一部を取りこぼしてしまう。また、店舗を持っていることで、その店舗面積の範囲にとらわれた思考やアイデアが中心となってしまいがちで、新たなビジネスの着想が得にくいのも悩みだ。

社長として日々業務を行っていると、入ってくる情報が膨大であり、その取捨選択に多大な時間が消費される。たとえば営業の電話は毎日何本もあり、その98％は当社にとって不要な情報だ。しかし、そこにはわずかとはいえ必要な情報も含まれることも確かであり、取りこぼさないためには時間をかけて情報を吟味するしかない。また、新しいアイデアは一見不要と思われる情報から生まれることも多い。新たなアイデアの着想と検討、その実施を図るため、本プロジェクトを利用するに至った。

導き出された課題

「中小企業活力向上チェックシート」に基づき経営診断を行った結果、企業の悩みを克服するための課題として、①顧客データベースの整備、②全社員の経営戦略の共有、③ SNS の有効活用といった課題が導き出された。

高橋氏はこれら課題についてかねてより認識していたものの、今回改めて専門家からの指摘を受け、課題解決に向けた取り組みとそのための第三者からの意見の必要性を感じた。

提案した中小企業支援施策

続いて、成長アシストコースを利用して、専門家のアドバイスを受けながら、ブレインストーミング形式で自らのアイデアを形にしていく取り組み行った。「数回にわたり専門家と打ち合わせの機会を設けることで、日々の業務をこなしつつも、新たなビジネスの構想を練るための時間を意識して捻出するようになったことが良かった」と高橋氏は語る。

当社の現在の事業はB to Cが中心だが、高橋氏にはB to Bで成功させたいという想いがあった。その一つとして、表彰式や10周年記念パーティーといった、企業が大手ホテルなどで開催するイベントで、オシャレを楽しみたいという女性の需要にアプローチする案を持っていた。この実現に向けて専門家との対話を重ね、構想を具体化し実際に行動を起こすことができたのも、“考える時間”を捻出したからこそであろう。

「初めての試みにしては満足のいく結果が出せた。背中を押してもらえたのが大きかった」と高橋氏は振り返る。

その後の状況

専門家との対話を重ねる中で、豊富なアイデアの収斂と具体化を進め、なすべきことの優先順位を明確にしていった。現在、お客様が楽しむ・喜ぶ姿を想像し、顧客ニーズに先回りしてサービスを提供していくことをモットーに、限りある経営資源を最大限に活用しながら、新サービスの展開に取り組んでいる。

企業様の声

起業当初は事業の構想を形にしていく、いわばクリエイティブな作業に従事している時間が多かったのですが、社長として会社を運営していると日常業務に忙殺され、クリエイティブな作業を行う時間の確保が難しくなってきました。経営の方向性を決めたり、新しいことを始めたりするときは、日常から離れなければ良い着想は得られないものです。今回の成長アシストコースでは、9回にわたり専門家と対話する場を設けていただいたおかげで、やるべきことの優先順位をつけることができ、必要なことを先延ばしにせずに済みました。日々の業務をこなしながらも、振り返りのための時間を作り出せたことは大変意義のあることだと思います。

経営指導員の声

初めてお会いした時、この素朴な雰囲気の方が、渋谷で女性向けのレンタルドレス店を経営されていることに驚きました。話してみると、様々なアイデアを持っていらっしゃって、更に驚きました。「アイデアを形にして実行策を提示してあげられたら、自分で成長していくのではないか！」。そのような気持ちで、一緒にアイデアを出しては揉む、出しては揉むというプロセスで支援を進めました。お客様は単にドレスを欲しているのではなく、「より素敵な自分」になりたかったり、TPOをわきまえた服装を知りたかったり、映えるメイクや髪形を求めたりしています。そのようなニーズに寄り添う問題解決型の店づくりが必要とあらためて感じました。支援が進んだ今、企業向け提案、着せ替えごっこなど、アイデアが形になりつつあります！　素朴な雰囲気は変わらないまま、中身がぐっと成長されています。
（ディレクター：石井照之氏）

企業情報

企業名	株式会社トランスコード
代表者	高橋学
創業年	2009
業種	サービス業(服飾レンタル)
所在地	渋谷区渋谷1-24-15 FPG渋谷宮益ビル9F
事業PR
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