顧客ニーズに真摯に応える ものづくり企業
企業名:株式会社ハイメックス 取材先ご担当者様:代表取締役 中島俊英氏
液晶ブームが落ち着くと、当社製品の市場にも陰りが見えてきた。既存顧客の要望に沿った製品づくりを行うだけではなく、自ら積極的に新規顧客を開拓することも必要となったが…
企業概要
株式会社ハイメックス(代表取締役:中島俊英氏)は、1985年に現代表の父が創業した、コンバーティング関連機器の製造業者である。
コンバーティングとは、紙やプラスチックフィルム等の素材を、接着剤やコーティング剤で加工し、ラベルやテープ等の製品を作ることである。当社では、コンバーティング機器の駆動部の機械部品を製造している。
現代表は大学卒業後に入社し、その後、2000年以降の液晶ブームに乗って会社が急成長を遂げる中、父から経営を承継した。
「顧客第一主義、オンリーワン探求、現場力を育む、夢と共生」という企業理念のもと、顧客からの依頼に対してヒアリングを行い、ニーズを満たすモノづくりを行ってきた。現在では、本社以外に、本社第2・技術センター、武蔵村山市に村山工場、群馬県に安中工場と、国内4拠点で事業を展開している。
企業の悩み
液晶ブームによって事業が急拡大していた頃は、毎年2~3人の従業員を新規に採用していた。創業当初のように少人数であれば、意思疎通は容易に行えるが、従業員数が30人を超えるようになると、プロジェクトをいかに運営していくか、いかに全員を巻き込んで経営していくかという悩みが出てきた。
一方で、液晶ブームが落ち着くと、当社製品の市場にも陰りが見えてきた。既存顧客の要望に沿った製品づくりを行うだけではなく、自ら積極的に新規顧客を開拓することも必要となった。新規顧客開拓の手始めとして、展示会に出展することとし、展示会出展の助成金を申請しようと考えた。そこで、身近な商工会の経営指導員に相談し、当事業を利用することになった。
導き出された課題
経営診断に先立ち、「中小企業活力向上チェックシート」には、代表取締役の中島氏だけでなく、部長を含む従業員10人ほどが記入した。
チェック内容の分析から、経営管理能力の強化と販路開拓の必要性が再認識された。また、具体的な販路開拓の取り組みを進める前提として、経営者だけでなく、社員一人ひとりが会社について考える当事者意識の醸成と組織の再編成が必要であるという指摘もなされた。
提案した中小企業支援施策
当社の希望により、中小企業活力向上事業(成長アシストコース)を利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、上記の課題解決に向けて取り組んでいくことになった。
成長アシストコースでは、ディレクターが初回に支援のロードマップを提示し、当事者意識の醸成と組織の再編成について、毎回宿題を出しながら具体的な検討を進めた。回を重ねるにつれてミーティングに参加する社員が増え、全社的な問題意識の共有が促進されていった。
また、エキスパートバンクを利用して、展示会の活用についても指導を受け、当初の狙いであった「多摩ものづくり発信事業」を利用した2017年の展示会出展に向けて、ツールとなるパンフレット等を整備することもできた。
その後の状況
前述のチェックシートの記入と従業員の成長アシストコースのミーティング参加により、社内で「会社を変えなければ」との意識の醸成が促進された。
この意識改革が功を奏し、事業計画の策定と組織の再編成につながった。新たに「営業技術部営業推進課」を作り、広報活動、展示会、広告の担当者を専任で配属した。
さらに、各部署の業務内容を明文化し、職務分掌の整理と協力体制づくりが進んでいる。例えば、今までは展示会出展の準備は1か月前から始めていたが、今では半年前から社内全体で取り組むようになった。
販路開拓についての具体的な戦略立案はこれからではあるが、社内の取り組み姿勢が確実に変わったことから、成長分野の新規顧客開拓を着実に実行していける土壌は整った。
企業様の声
成長アシストコースでは、担当ディレクターが一般的な内容を当社に落とし込んで話をしてくれた。自社の課題をコンサルタントの視点で整理して話してもらえるのが興味深く、社員と共有しながら話をまとめていくことができた。
社員同士のミーティングでは、目先の業務の話になりがちだが、専門家に引っ張ってもらうことで社内が結束できたように思う。自社の経営課題を「見える化」し、まとまった文書をもとに従業員に今後の自社の方向性を理解してもらえるなど、様々なよい影響が出ている。
今後は、ベテラン・中堅社員だけでなく、20代から30代の若手社員も自主的に仕事ができる、活力のある会社にしたい。役員同士も経営について話し合い、新規顧客を開拓しながら自社を発展させていきたいと考えている。
経営指導員の声
当商工会へのご相談のきっかけは、展示会出展の助成金申請についてであった。助成金を受けるためには販路開拓の支援も必要である。
ヒアリングを行ったところ、専門家派遣や中小企業活力向上事業を利用することが適切と判断した。元々自社の課題についてはしっかりと把握されており、成長アシストコースの利用で全社的に課題を共有していったように思う。
当商工会の中でも事業規模の大きな会社であり、今後さらなる発展を遂げて、東久留米を代表する会社になることを願う。
(東久留米市商工会:岩崎哲二氏)
企業情報
企業名 | 株式会社ハイメックス |
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代表者 | 中島俊英 |
創業年 | 1985 |
業種 | 製造業 |
所在地 | 東京都東久留米市八幡町1-3-34 |
事業PR | |
URL | http://www.himecs.com/ |
中小企業診断士 川崎朋子