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東京蒲田名物 本物の甘納豆一筋 ~老舗企業の新たなスタート~

企業名:有限会社 谷口商店  取材先ご担当者様:代表取締役 谷口 中 様

テレビに取り上げられる中小企業はこんなことをしています。

「出没!アド街ック天国」、「旅サラダ」、「ちい散歩」等のTVメディアにも多数取り上げられている。その企業の改善のポイントとは……

企業概要

昭和2年に創業し、甘納豆一筋。伝統の味を脈々と受け継ぎながら新商品も次々と生み出してお客様を魅了する。
3代目になる谷口氏の職人技と長年のプロの勘から生まれる極上の「泣かない」甘納豆。「泣かない」とは「濡れていない」という意味である。水分が多い濡れ甘納豆や水分をとばして作るしぼり豆と違い、谷口氏が作る甘納豆は水分と糖分が絶妙なバランスででき上がっている。豆の中の糖分が水分より多くなるタイミングまで煮詰めることで、ふっくらと柔らかく、噛むほどに豆のうまみと甘味が口の中いっぱいに広がる。


企業の悩み

3代目の谷口氏が継いだとき、過去からの営業成績不振等により財務体質が不健全な状況であった。過去には「中小企業金融円滑化法」の制度を活用して資金のやりくりをしてきた。この制度が平成25年3月末に期限を迎え、資金繰りについて再度検討の必要があったときに、信用金庫の方が相談にのってくれた。経営に関して、見直しや計画策定を考える中で、当プロジェクトの紹介を受け、中小企業診断士にアドバイスを受けることとなった。

導き出された課題

中小企業診断士の企業診断の結果、①資金繰り及び資金の管理②IT化の推進③支援機関や外部専門家の活用の3項目が提案された。

①売上の拡大により、財務状況は以前に比べ改善されてきているが、健全性が高い状態とはいえず、経営改革や設備投資のための資金の余裕が乏しい状態といえる。また、売上高や利益等についての具体的な数値目標や計画は策定されているが、資金繰り表が作成されていない。「いつの時点で、どれくらい資金が必要なのか」ということを常に把握しておくことが重要である。売上債権の早期回収や適正在庫管理の徹底、遊休資産の整理等にも留意して策定する必要性がある。
企業経営を維持していくための運転資金確保のため、資金繰り表を作成し、財務状況を正確に把握するようにアドバイスを受けた。

②家族中心の少人数体制であり、店主が甘納豆の製造から販売、経営等全ての業務を中心となって行っているため、非常に多忙であり、経営計画策定等に取り組む時間の余裕がない。業務の効率化や事業の拡大のためにも、ITを積極的に活用するように助言を受けた。

③様々な分野の外部専門家を活用して、売上拡大策・財務体質改善・IT利活用について助言や支援を受けるようにアドバイスを受けた。

提案された解決策

当面取り組むべき課題は以下の3点である。

(1)顧客情報の管理。商品に顧客がどれだけ満足をして、どのように感じているかはある程度把握している。今後は、データとして顧客情報の管理や活用を行うことにより、さらなる顧客満足度の向上が図られ、売上を生み出す。

(2)ホームページでの販売促進。現在のホームページでメディア紹介や催事の告知、商品紹介や通信販売の案内等がなされている。今後は、さらにコンテンツを充実、改良することで、インターネット上の認知度を向上させ、売上の拡大が見込まれる。

(3)財務状況把握及び資金管理。売上や経費、資金繰り表等の管理にITを適宜取り入れることにより、業務効率を上げることができる。

提案した中小企業支援施策

上記の課題を解決するにあたり活用できる中小企業施策として、以下の3つが提案された。経営の状況をみて、有効に活用していくことを検討している。

ビジネスサポートサービス 大田区産業振興協会
大田区内中小企業及び区内在住者の経営改善や新規事業開拓・創業等への取り組みについて、協会に登録している各分野の専門知識を有する人材を派遣し、問題解決をサポートする。

  • 専門家派遣(エキスパートバンク)
    小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。
  • 専門家派遣事業
    企業経営上の様々な課題を解決するために、専門家が企業の現場へ出向いて支援致します。

その後の状況

当プロジェクトを活用し、中小企業診断士の方のアドバイスを受けることによって、もう一度、経営を見直す機会となった。製品については、自信と誇りを持っており、これからもよりよい物をお客様に提供して喜んでもらうように探究をしていく。それと共に、今回受けたアドバイスをもとに、経営全般についても細部にわたって改善をしていこうと決意を新たにした。

催事等の出展先も、以前はとにかくたくさんのところに出展するようにしていた。しかし、「本物を真心こめて売る」という当社の方針と出展先のコンセプトが合致し、お客様が心から喜んでくれ、売上・利益が出せる催事を見極め絞り込んで出展をしていく方向に舵をきった。最近は売上・経営状況が上向いてきている。現在は直営店舗での売上と催事での売上割合は5対5ぐらいである。徐々に直営店舗の売上割合が上がってきているが、今後は店舗売上を6割~6割5分と高めていく。そのためにも、中小企業診断士の方にアドバイスをもとに店舗のディスプレイ等に統一感をもたせ、店舗の見せ方も工夫をしていく。ホームページもリニューアルに向けて動き出している。

助言を受けたことをもとに、一歩一歩だが改善をしている。

企業様の声

個人で経営をしていると、情報を得る機会が少なくなってしまう。そういったときに当プロジェクトを活用させていただき、いろいろなアドバイスや情報を得ることができ、非常に有意義であった。自分なりに考え、進んでいることに対して、助言を受けたことで再度見つめ直し、のりしろを出してもらえた。いただいた報告書が今後の経営の土台となる。

お客様、従業員や家族、豆等の原料の取引先、催事の担当者の方、そして、信用金庫や商工会議所の方等、周りの方が応援してくれていることが非常にありがたい。応援してくれる人が増えることで売上も増えていると実感している。これからも、「本物の美味しい甘納豆」を皆さんの日常の中に届けていけるように飛躍していきたいと思う。

企業情報

企業名 有限会社 谷口商店
代表者 谷口 中
創業年 1927年
業種 菓子製造業
所在地 東京都大田区蒲田3-17-16
事業PR
URL http://www.kamata-taniguchi-shoten.com

平成26年12月19日
中小企業診断士 川名 麻衣

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