これまでの経営の盲点に“気づく” -全員参加型で新規事業確立と効率的なマーケティング体制構築に向けて動く-
企業名:株式会社海光社 取材先ご担当者様:代表取締役社長 林 幸雄様、専務取締役 林 宏至様
長年にわたり、好業績を維持してきたこともあり、危機意識の不足が従業員に若干感じられる。会社としての全社目標」を共有し、全員が目的意識をもって確実な成果につなげるにはどうすればよいか?
企業概要
株式会社海光社(代表者:林 幸雄)は、1946年に創業し、漁業用資材の製造、販売を行っている。
近年は、鳥害対策用ネットやインテリア・照明関係資材の製造、販売などにも取扱製品の幅を広げている。
また、沈子コードやリングウェイトなど、漁業に欠かせない資材を漁業者向けに直送しており、長年の信頼関係を築いている。さらに、過去には多数の特許を取得している実績がある。
従業員は12名で、事業所は日本橋浜町の本社のほか、千葉県白井市に工場がある。
企業の悩み
もともと日本人は魚好きであり、魚は日本の食卓に欠かせないものであったが、ここへきて、近年の原油価格の高騰や円高の影響などにより、漁業および漁業者向けの産業が縮小してきている。そのため、当社では、漁業者向けの商売に特化してきたこともあり、大きな影響を受けている。
そこで、当社の売上の大部分を占める漁業用資材の製造・販売を継続しつつも、新たな収益の柱を構築するべく、「新規事業開発プロジェクト」の立ち上げを検討している。
また、当社では、長年にわたり、好業績を維持してきたこともあり、危機意識の不足が従業員に若干感じられるため、「新規事業開発プロジェクト」に従業員が一丸となって取り組むことで、「会社としての全社目標」を共有し、全員が目的意識をもって確実な成果につなげたいと考えている。
導き出された課題
他社が簡単には真似できない「特殊な技術」を持ち、長年にわたって「独自性」を発揮してきたものの、一方では、営業体制やマーケティングの面で弱みを持っている。今後、新規事業の展開を図るうえでは、効率的な営業活動を実現し、組織を活性化するための体制が必要である。
こうした課題の解決方法を見出したいという理由から、本プロジェクトを受診した。
提案された解決策
中小企業診断士からは、「経営目標・計画」は、現在進めている「新規事業開発プロジェクト」の進捗状況を加味したうえで、全社一丸となって取り組むべき「経営計画」として位置づけ、経営者だけでなく従業員も一緒になって検討することが有益だと指摘がなされた。
また、経営計画を部門別・担当者別にブレイクダウンし、全社でPDCAを回すことを通じて、全員で共通の意識付けを行うことが重要であると示された。
次に、マーケティング面については、これまでの「受動型の顧客対応」を脱却するために「マーケティング要員の増員」が必要とされ、新規事業を積極的にPRするために、「ホームページの積極活用、新製品の見本市への出展、異業種交流会への参加」などが提案された。
さらに、「鉛=環境汚染物質」という誤解が広く世の中に浸透していると思われるため、今後はマーケティングの一環として、「ホームページや見本市、異業種交流会」の場を通じて継続的な広報活動を行うことが提案された。
提案した中小企業支援施策
上記であげられた点やその他の課題を解決できる中小企業支援施策として、以下の施策の活用が提案された。
- 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。 - 専門家派遣事業
企業経営上の様々な課題を解決するために、専門家が企業の現場へ出向いて支援致します。
企業様の声
「経営力向上チェックシート」を使って、チェックしている段階で、経営上の盲点に気づいた。その気づきを全社研修のときに活かし、全社員から新製品について各自、意見や提案を出したり、社員との意識の共有化を図ることができたことに、本プロジェクトの効果を感じるとともに、企業診断を受けて「良かった」と考えている。
企業情報
企業名 | 株式会社海光社 |
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代表者 | 林 幸雄 |
創業年 | 1946年 |
業種 | 漁業用資材製造業 |
所在地 | 〒103-0007 本社:東京都中央区浜町2-29-1 白井工場:千葉県白井市平塚2668 白井第2工業団地内 |
事業PR | 株式会社海光社では、海と光の技術で、以下の4つの事業分野に新しい提案をしてまいります。 •漁業(高比重漁網・綱) •インテリア(カーテンウエイト・組紐) •鳥害対策(カラスネット・ハト対策資材) •照明(無機EL・高効率蛍光灯照明) |
URL | http://www.kaikosha.co.jp/ |
取材日:平成22年1月26日
記事:西浦美智子