展示会とネットの相乗効果で販路拡大 -支援施策の連携で課題を着実に克服する-
企業名:有限会社ジィー 取材先ご担当者様:取締役 下地あけみ 様
OEMの売上が30%近く減少し資金繰りも厳しくなった。金融機関に融資の相談をしたが、「銀行だけの意見ではなく第三者の客観的なアドバイスも必要ではないか」と危機感も…
企業概要
有限会社ジィー(取締役:下地あけみ氏)は、姉妹2名で革製品小物の企画製造販売業として2005年5月に設立された。雑貨業界での長年の経験を活かし、「日本製にこだわりながら他社にはない面白いものを世に送り出したい」と、コルク素材を中心とした新しいジャンルの革小物を製造している。コルクは軽量で通気性が良く、弾力感があってなじみやすい。革同様に使いこむと味わいが出てくる。ありそうでなかったもので特徴づけ、多くの人に「日本の職人の技術と製品の良さを知ってもらおう」との思いで事業を運営している。
創業当初、OEMにて製造販売を手掛けてきたが、リーマンショック以降はオリジナル商品の展開による新たな収益源の確立を目指し、当社ブランド「Jie」の普及に努めている。
企業の悩み
リーマンショック以降、OEMの売上が30%近く減少し資金繰りも厳しくなった。金融機関に融資の相談をしたところ、区のあっせん融資を紹介され区役所に相談に向かった。その際、ふと目にとまった区の行政情報誌を手に取り商工会議所の存在を知った。
「銀行だけの意見ではなく第三者の客観的なアドバイスも必要ではないか」と危機感を感じていたところ、商工会議所で取り扱っている「マル経融資」を知り、一度商工会議所に相談をすることにした。
導き出された課題
経営指導員は企業から相談を受ける中で、企業の課題を抽出し、その課題解決にピンポイントで対応できる中小企業診断士を選定、資金繰りとインターネットの双方の観点から企業診断がおこなわれた。
その結果、売上高をあげるための「魅せる商品づくり」と、「ネット販売とホームページの改善による総合的な売上拡大」が、当社の課題として導き出された。
提案した中小企業支援施策
経営指導員から以下の中小企業支援施策の提案を受けた。
資金調達について、ただ単に資金使途を述べるのではなく、事業計画の妥当性や売上拡大の算出根拠の必要性を述べることをアドバイスされた。その根拠を「展示会とネット活用の相乗効果による売上拡大」に求め、そのためのフォローアップとして、他の制度の活用を提案された。
そのため、専門家派遣制度を活用し、ネット活用、特にホームページの改善に向けた総合的なアドバイスを、検索エンジン対策やツイッター等のソーシャルネットワークの活用に長けた中小企業診断士に求めた。
また、待っていても受注は増えないので、当社でも販路拡大を期待し、積極的に展示会に出展することで新たな取引先の開拓を狙った。そのための助成金についてご紹介いただいた。
- 小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)
小規模事業者は、経営改善のための資金を無担保・無保証人・低利で融資を受けることができます。 - 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。
その後の状況
中小企業診断士のアドバイスを受けて、「魅せる商品づくり」を意識しながら、高価格帯商品も取り扱うことを実施した。コルクと革を使用したハンドバッグは価格帯が高くなり、その商品自体の購入はなかなか実現されない。しかしそのバッグという「魅せる商品」が、他の比較的安価な価格帯の商品に対する値ごろ感を生みだし、その他多くの商品の購入促進に結び付いた。
また、中小企業診断士のアドバイスを受けてホームページの改善に取り組んだ。具体的に検索エンジンを意識したキーワードを設定、写真とキャプションの関連付けやブログ等からの外部リンクを意識的に貼り付けることなどを実施。その結果、ターゲットキーワードで上位表示を実現できた。
経営指導員のサポートのもと、展示会等出展支援助成金の申請書を作成し、助成が確定したことを受け展示会にも出展した。対外的に当社の露出が増えたことでホームページへのアクセスも増加、事前に検索キーワードを意識していたことによって、検索エンジンから当社のホームページへの誘導を円滑におこなえた。
展示会とネットの相乗効果により、地方からの問い合わせや、大手百貨店からの引き合いが増え、新たな販路の開拓につながった。今では百貨店の催事の引き合いによって、リーマンショック後、30%近く落ち込んだ売上高を、前期10%、今期20%増の見込みで売上を回復させている。今後はネット販売にも注力し、更なる売上拡大を狙っている。
企業様の声
商工会議所は堅いイメージがあり小規模事業者にとっては敷居が高かった。しかし実際に接した経営指導員は、企業の意見に対して親身に耳を傾けてくれ、非常に親しみやすく相談しやすかった。
企業の困りごとに先回りして、適宜必要な支援策を紹介してくれることで、具体的な取り組みの支援にまで結び付けてもらえる。支援策を活用して紹介していただいた専門家の先生からは、具体的な取り組み方法について整理してアドバイスをいただけた。その結果、やるべきことが明確になり着実に前へ向けて取り組むことができた。
今までは、経営についてのアドバイスといえば金融機関からの情報しかなかったが、金融機関以外の外部の第三者に客観的な視点から相談にのってもらえることは非常に心強い。自身だけで悩むのではなく、商工会議所に相談を持ちかければ、顧客目線の対応で、課題解決に向けた提案をおこなってもらえる。助成金をはじめとして、都民なのに利用していない制度、知らない制度が多々あるが、そういった情報の提供もしてもらえる。商工会議所は「悩み多き経営者の良き相談相手」である。より多くの小規模事業者に商工会議所が積極的に活用されることを期待する。
企業情報
企業名 | 有限会社ジィー |
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代表者 | 下地 あけみ |
創業年 | 2005年 |
業種 | 革製品製造業 |
所在地 | 東京都渋谷区恵比寿2-27-14-703 |
事業PR | |
URL | http://www.jie-co.jp/ |
平成24年5月23日
山口 亨