「全ての子どもたちが正しいタッチで育つ地域社会の実現」を目指して
企業名:かみぃずるーむ 取材先ご担当者様:代表:上島浩子氏

創業以来新規プログラムの開発により順調に売上を伸ばしてきた一方で、やりたいことはすぐに行動するタイプであることから、提供しているサービスがどんどん多くなり、多忙のわりには利益が思うようにあがらない状況に・・・
企業概要

かみぃずるーむ(代表:上島浩子氏)は、八王子市上川町および西八王子駅南口近くでベビーマッサージ教室を運営している。また、子育て広場や保育園等に訪問しての講座実施や、育児相談の対応も行っている。2024年10月に一般社団法人日本タッチ育児協会を設立し、2025年4月にはタッチ育児インストラクター講座(ベビーマッサージ資格講座)の新規
開講を予定しており、地域の赤ちゃんとママへのサービスを展開している。
2012年に創業してから順調に売上を伸ばしてきた。ひとえに上島氏の子育て支援に対する揺るぎない思いや、理論的なベビーマッサージの効果の裏付け、コミュニケーション力の高さ等の魅力が大きな要因と思われる。
企業の悩み
前述の通り、創業以来新規プログラムの開発により順調に売上を伸ばしてきた。一方で、やりたいことはすぐに行動するタイプであることから、提供しているサービスがどんどん多くなり、多忙のわりには利益が思うようにあがらない状況に陥った。
そのような中、現在の事業を第三者に相談して整理したいと考えていたところ、自分とは別のコンテンツで子育て支援に携わっている方とSNSで知り合い、その方から八王子商工会議所を紹介された。経営指導員と面談の結果、本プロジェクトで専門家による経営分析と実行支援を受けることをすすめられた。
導き出された課題
経営分析の結果、指摘された課題は、①サービス内容を整理し優先順位をつけること、②経営方針の明確化と事業計画書作成、③経営理念の確立、の3 点であった。
今後も成長していくためには、現在提供しているサービスについて、それぞれ多方面から価値を洗い出し、今後の経営方針にあわせて優先順位を付けていくことが大切である。
また、提供サービスを整理するにしても、目指したいゴールに合わせることが欠かせない。まずは将来どうなりたいのか等、事業の3年後や5年後の理想の姿を洗い出し、事業計画を立てることが必要とされた。
そのためには経営理念の確立が重要であった。子育て支援にかける思いは一貫している一方で、組織化を進めるための経営理念の確立には至っていない。経営理念は、経営に関わるすべての方にその思いを共通認識として根付かせる役割を持っている。
上島氏はこれらの課題を解決するため、本プロジェクトのアシストコースとアドバンスコースを活用することにした。
提案された解決策
2023年9月からアシストコース、2024年4月からアドバンスコースを利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、課題解決に向けて取り組んだ。
まずは、サービス内容を整理し優先順位をつけることである。現在提供しているサービスを洗い出したところ、20ものサービスを提供していることが分かった。それぞれにつき提供時間・利益率・集客手段・習熟度等の観点でマトリックス表により客観的に評価し、整理・優先順位付けをした。一般的には利益率で仕事の優先度を決めることが多いが、仕事のやりがいも大切なので、仕事の好きな度合い、やりたい度合いも考慮するようにした。
次に、整理・優先順位付けしたマトリックス表に基づき、今後どんなビジネスに注力するのか、3年後や5年後にどのような事業体にしていきたいのかを考察した。将来の理想の姿を描いたうえで、現在の状況を客観的に見つめると、そこに辿り着くために何が不足し、何が必要なのかが見えてくる。また、今後の経営方針を明確にすることで、取り組むべき課題も明確になる。また、上島氏が育成してきた受講生を組織化していくといった、新たな課題も見えてきた。
事業計画書作成にあたり、経営理念の確立も図った。経営者が考えている思いを言葉にして伝えるのは意外と難しいが、それをきちんと発信しないとビジネスに関わる方たちと思いが共有できない。「何のために経営しているのか」「どのような会社にしたいのか」等、経営に対し考えていることをいろいろな角度から整理し、揺るぎない言葉として経営理念を確立させていった。
その後の状況
実行支援を受けて一番の変化は「自覚」だと上島氏は感じている。子育て支援は社会的意義のある立派な事業であると、専門家に認めてもらったことがとても嬉しく、絶対に社会を変えていくという思いが、より強くなった。
また、計画を立てて進めていくことの大切さを実感できたのも大きな変化である。実際に事業計画書を策定したことで、限られた経営資源をどのサービスに投入していくべきかが明確になった。今までは行動力に任せて対応する傾向もあったが、現在は先々を見据え
て計画的に必要な準備を丁寧に行うことで、サービスのさらなる充実に努めている。
そのような取り組みを自分一人ですべてやろうとするのではなく、他人の力も借りながらより良いものを作りあげていこう、といった意識に変えられたことも大きな成果である。そのためには経営理念を整理・共有することが必要となる。経営理念を確立したことで事業に対する思いがより明確になり、経営の軸もできたと上島氏は感じている。
企業様の声
本プロジェクトを利用して一番の気づきは、他人の力を借りることがいかに有効であるかです。今までは自己流で感覚的にやってきたことを、こういった枠に整理して考えればもっと動きやすくなると教えていただいたのは、すごく大きかったです。経営者として必
要なことに気づかせていただけたことに、とても感謝しています。
今後は、子育てをきちんとスキルとして伝えていくことが、絶対に必要な時代になっていくと考えています。子育てする方たちが、身近で赤ちゃんとの関わり方・触れ合い方をモデルとして見る機会が少なくなっているからです。これからも赤ちゃんとの触れ合いを、誰もが安全に再現性高く実行できるスキルとして伝えていくことに、覚悟をもって取り組んでいきたいと思います。
(代表:上島浩子氏)
支援者の声
上島代表は独立後、市内を中心に数多くのサービスを提供される一方で、限られた経営資源をどのサービスに注力して行うべきか悩んでいらっしゃいました。そこで本プロジェクトを活用し、徹底的に提供サービスの洗い出しと優先順位付けを行い、今後も伸ばしていくサービスと縮小していくサービスを明確に区別しました。
結果として、将来的に何をするべきか明確になったところで、専門家の伴走支援を受けながら事業計画書を策定しました。また、事業計画書を策定することで、上島代表が育成してきたベビーマッサージ講師たちを組織化していくといった、新たな課題も見えてきました。
上島代表が掲げる「全ての子どもたちが正しいタッチで育つ地域社会の実現」を、今後も全力で支援してまいります。
(八王子商工会議所:﨑井寛仁氏)
企業情報
企業名 | かみぃずるーむ |
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代表者 | 代表:上島浩子氏 |
創業年 | 2012 |
業種 | サービス業(育児教室・講座の運営) |
所在地 | 東京都八王子市上川町1953-2 |
事業PR | |
URL | https://www.kamiesroom.com/ |
中小企業診断士 加藤裕之