技術レベルの高いインディバ施術をより多くのお客様へ提供するために
企業名:株式会社阿南 取材先ご担当者様:代表取締役 阿南明日香氏
事業は順調だが、社長一人で施術からサロンの運営、施術者養成スクール、開業支援まで行うには限界がある。より多くのお客様に満足できる施術を提供するために店舗を増やしたいが…
企業概要
株式会社阿南(代表取締役:阿南明日香氏、以下社長という)は、銀座駅から徒歩4分というアクセス抜群の場所で、インディバ専門サロン「インディバラボGINZA」を運営している。
「インディバ」とはスペインのインディバ社が開発した高周波温熱器の総称であり、この機器を用いた施術を一般的に「インディバ施術」、あるいは「インディバトリートメント」という。「インディバ」が発する高周波が体内の細胞を活性化し、身体が本来持っている力を取り戻す効果がある。もともとはプロアスリートの骨折や肉離れ等の治療に使用されていたが、昨今は美容整形の術後に生じる腫れや痛み等を緩和・軽減し、早く自然な状態に回復するために使われるようにもなってきている。
2008年創業の当社は、インディバ専門サロンとして先駆け的な存在である。また、施術者養成スクールの運営、さらには、その受講生が独立してサロンを開業するための支援を行う等、他社とは差別化された事業を展開している。
企業の悩み
インディバは施術者の技量によって効果が大きく変わる。高周波の出力を上げれば身体の深部の細胞までその効果を届けることができるが、間違った機器のあて方をするとやけど等の危険が生じる。低い出力であれば危険は少ないが効果も小さい。お客様にいかに満足いただけるかは、安全かつ効果的に施術を行う技術力にかかっている。しかしながら、昨今の美容整形ブームに乗じ、技術レベルの低いインディバサロンが乱立するようになってきた。
当社では、SNS の活用やWebサイトへの積極的な情報発信と、高い技術力による施術により着実にお客様を増やしてきた。事業は順調だが、社長一人で施術からサロンの運営、施術者養成スクール、開業支援まで行うには限界がある。より多くのお客様に満足できるインディバ施術を提供するために店舗を増やしたいが、コロナ禍に直営での新規出店はリスクも高い。
一方、エステサロンは営業許可が不要で、個人でもマンションの一室で開業しやすい。当社のスタッフも将来的な独立開業を目指して入社してくるケースが多く、このスタッフが開業するサロンをフランチャイズ(以下、FCという)方式で支援すれば、当社の高い技術、ノウハウを受け継ぐインディバサロンを拡げていくことができる。
しかしながらFC方式についての専門知識も乏しく、実現のための具体的な進め方についての助言が必要であった。そこで知り合いに紹介された中小企業診断士に相談したところ、本プロジェクトの利用を勧められた。
導き出された課題
経営分析では、社長が目指す「技術レベルの高いインディバサロンをFC方式で増やすこと」は、当社が持つ技術と今までの事業の実績から十分に実現可能なものと判断された。また、その実現に向けた課題は以下の通りであった。
①FC展開に向けた事業計画策定
FCの理念・ビジョンを明確化し、達成に向けた課題を抽出・整理すること。またそれを具体的なアクションプランとして事業計画書に落とし込むこと。
② 人材募集情報のブラッシュアップ、社長自身による情報発信の強化
社長の理念やビジョン、経営方針を共有できる加盟店やスタッフを集め、高い技術レベルを維持すること。例えば人材募集にあたっては、求める人物像を明確にし「働く場として当社を選ぶ理由」を重点的に発信し、また、「経営者ブログ」やSNS等、社長自身による情報発信を行うことで、情報の受け手に共感を引き起こすこと。社長は、これらの課題に取り組むためにアシストコースを利用することとした。
提案された解決策
まず、FC加盟店を①本部の指導は受けたいが、屋号は統一したくない人(コミュニティモデル)と、②本部の指導も受けたいし、屋号も統一したい人(FCモデル)の2つのグループに分け、本部として提供するサービス内容を検討した。FC加盟店の募集方法等については、ホームページにFCの魅力や概要を伝えるページを作成し、PR 力の強化を図った。
これらの支援にあたっては、指導員から提示された他社事例を参考にしながら、社長が考える「技術レベルの高いインディバサロンを広めるためのFC方式」が検討された。また、事業計画の策定もひな形をベースに進められ、社長の考え・想いを専門家が引き出し、具体化していく形で進められた。
提案した中小企業支援施策
その後の状況
FC展開を見据えたサロンのリニューアルが2022年10月に行われた。
このリニューアルに伴い、サロンでは養成スクールを受講し、徹底した教育を受けているスタッフのみが施術を行うこととなった。インディバのプロフェッショナルとなったスタッフたちが主役のサロン。それが「インディバラボGINZA」である。
サロンのクオリティは豪華な内装等ではなく、施術者で決まる。お客様にとって必要な場所、時間と思っていただけるサロンであり続けるため、日本一教育に力を入れているインディバサロンであり、日本一スタッフレベルの高いサロンとなることを明確にした。
一方、社長はスタッフの育成、独立開業支援へとその役割をシフトしていき、技術レベルの高いインディバサロンのFC展開につなげていく。
リニューアルに合わせホームページも一新した。インディバラボGINZAのコンセプト「わたしのたいせつなサロン」をトップページに配し、施術者養成スクールや開業支援についての情報も充実させた。また、社長ブログやSNSでもリニューアルに込めた社長の考えが積極的に発信され、スクールへの入会や、インディバ機器の購入等についての具体的な問合せが日々増えてきている。なお、FC方式での独立開業も、来年に向けて数件見込まれている。
実行支援は最後の詰めの段階にあるが、取り組みの成果は着実に出始めている。
企業様の声
指導員の方には本当に親身に相談に乗っていただき、また、こちらのペースに合わせてプロジェクトを進めていただけたことは非常にありがたく思います。FCの専門知識がないため、どのような形で進めるのがいいのか迷いましたが、指導員の方から他社の導入事例を多数紹介していただき、参考にしながら自分の考えに合う方法を見つけることができました。またWEBサイトの構築や事業計画の策定でも、ひな形をベースにヒアリングしていただきながら進めたことで、わかりやすく自分の考えを落とし込むことができました。これからはFC展開により技術レベルの高いインディバサロンを広げ、全国にインディバ施術の認知度を上げていきたいと思います。
(代表取締役:阿南明日香氏)
支援者の声
今回はもともとFCの仕組みづくりがテーマでしたので、初めからFCに特化した形で支援させていただきました。支援はまだ継続中ですが、すでに数件のFC方式での開業見込みもあり、取り組みが成果につながりつつあります。
今後は商工会議所としても、スタッフの方々が独立開業する際の創業支援や、融資、補助金のご紹介等を通じて、阿南様の進められるFC展開のお役に立たせていただきたいと思います。
(東京商工会議所:坂田和也氏)
企業情報
企業名 | 株式会社阿南 |
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代表者 | 代表取締役 阿南明日香氏 |
創業年 | 2008 |
業種 | サービス業(エステティックサロン運営、施術スクール運営、開業支援他) |
所在地 | 東京都中央区銀座2-11-13 銀座歌茶屋ビル3階 |
事業PR | |
URL | https://indiba-labo.com/ |
中小企業診断士 竹澤雅樹