専門家派遣を利用し社員研修に取り組む 社員研修で意識改革に目覚める
企業名:紙製品製造販売業 取材先ご担当者様:
紙製品部門と外国書籍部門は創業以来からの事業で、組織内部にマンネリムードが漂っていた。また、特に紙製品部門は市場の低迷、低価格要請もあり売上向上が難しい状況で、この売上不振にいかに対応するか…
企業概要
当社は紙製品の製造販売を中心に、外国語書籍販売、精密小型モーター卸売の3つの異なる分野の事業を展開している。リスク分散を図るため、事業部制組織としての多角化展開を行っている。創業は昭和26年。戦後、進駐軍で利用されていたコースターを紹介され、事業化を図ったのが当社の始まりである。同時にこれからは英語の時代であるとの先見から外国語書籍の輸入販売も手掛けた。精密小型モーターに関しては先々代の2代目社長の時代から縁あって取り扱うことになった。従業員は79名。創業当初から経営と所有の分離が明確になっていることが株式会社としての「あるべき姿」として考えられてきている。そのため多くの中小企業で見られる創業者一族による経営ではない。
企業の悩み
紙製品部門と外国書籍部門は創業以来からの事業で、組織内部にマンネリムードが漂っていた。また、特に紙製品部門は市場の低迷、低価格要請もあり売上向上が難しい状況で、この売上不振にいかに対応するかが悩みであった。
導き出された課題
中小企業診断士によるヒアリングの結果、紙製品部門は長い間、前社長(現会長)の直轄していた部門であったことが判明した。現社長としては当該部門の営業力強化、そのための社内のマンネリムードの打破など意識改革の必要性を感じているにもかかわらず、自ら指導しづらい状況にあった。当該部門の営業は4名、内2名が中途採用をした若手社員であるため、まだスキルアップが必要であり、社員に対する教育研修が重要であることが指摘された。また、同時に部長と課長のような幹部には強いリーダーシップを発揮することが意識改革のうえでも求められることから、社内において課題解決型の研修を行うことが提案された。
その他、売上拡大を図るためにも、提案型営業の実施、マーケティングへの積極的な取り組みも課題としてあげられた。
提案した中小企業支援施策
上記の課題を解決するために利用できる中小企業支援施策として、以下の提案がおこなわれた。
- 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。
その後の状況
上記の制度を活用し、専門家による「課題解決型研修会」を実施した。業務時間中の研修は困難なため、夜間を利用して計3回実施した。講師を担当した中小企業診断士の熱心さが受講した営業担当者にも伝わり、少しずつではあるが意識に変化が現れ出した。
また、研修の中で提案型営業について具体的な提案書の書き方について指導が行われた。これについては、自社で取り組める範囲から実施を始めている段階である。
企業様の声
当社では、今まで外部のコンサルタントを利用する機会がなかったが、今回はとても良い機会となった。提案から社員研修実施までの熱のこもった対応により、従業員の意識改革という課題に対する良い成果が得られたと感じている。これからも社員教育は継続して行っていかなければならず、引き続きサポートを受けたいと思うが、いつまでも行政の支援に甘えることは民間企業の姿勢として避けたいと思っている。今回の経営力向上TOKYOプロジェクトのように、最初のきっかけづくりには支援が必要で、その後は民間企業自らの努力で取り組んでいくことが望ましいのではないかと感じている。そのためにも、今回の事業については広く世間に認知される必要があり、事務局にはPRやパブリシティー、MXTVなどの活用により認知度向上に取り組むことを期待する。
企業情報
企業名 | 紙製品製造販売業 |
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代表者 | |
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事業PR | |
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取材日:平成22年2月15日
記事:山口 亨