時代を先読み外部環境の変化に迅速に対応 ~頭の中が整理され、前に進み始める~
企業名:有馬ベルト工業株式会社 取材先ご担当者様:専務取締役 有馬 正剛 様
やらなきゃいけないことが山積みで、何から手をつけたらよいかわからなかったが、見えないものが見え、頭のなかで悩んでいたものが、具体的な解決に向けて整理できた。忙しいことを理由になかなか動き出せなかったが・・・
企業概要
有馬ベルト工業株式会社(代表取締役:有馬一成 社長)は、昭和25年に現社長の父が個人商店として創業し、工場内のメインシャフトに接続されるベルトや農機具用ベルトの販売を手がけたところから始まる。
昭和43年に法人成りをし、当時27歳の現社長による新しい特殊ベルトの営業が始まった。その取り組みが功を奏し、日立、キヤノン、ミノルタなどの大手企業の受注を獲得するに至った。事業形態も単なるベルトの販売から、組み込みベルトの設計にまで幅を広げた。
海外展開にも積極的に取り組んできた。国内メーカーが中国へ進出し始めたころに、いち早く香港に支店を設立。香港が中国の玄関として機能していた時代に、流通機能も手がけたことで、順調に成長を重ねることができた。
しかし、中国国内へ直接投資が行えるようになってくると、香港を経由する意味が薄れてきた。そうなった際には「撤退する」と当初より決めていたため、平成19年には在庫を全部引き取ってもらって撤退を完了した。
同時に大手企業の海外生産が本格化してくると、部品メーカーも海外進出し、最終製品のメーカーは海外で直接部品を購入した方が効率的になってきた。顧客のことを考え、あえて当社の方から、部品メーカーからの直接購入を当社顧客に対して勧めた。その結果、当社の売上は大きく激減することとなった。時代の流れに沿った対応ではあるが、売上減により従業員規模50人から10人弱へと規模の縮小が迫られた。
並行して、時代の流れを先読みし、部品の販売会社から食品機械メーカーへと、事業形態の大きなシフトを経営戦略として打ち立てた。現在、その取組の成果が、徐々に実り始めた段階である。
企業の悩み
食品機械メーカーとして、製品を作るといっても食品機械の業界知識、ノウハウはない。業界出身者を顧問として採用したが、設計者、製作者、営業担当など、人材面での補充、資金手当をどうすればよいか悩んでいた。
また、新規事業は後継者である専務を中心に取り組んでいたが、やることは盛りだくさんで、何から手をつけていけばよいか整理ができずにいた。日々の忙しさの中で、新規事業への取り組みは停滞しがちであった。
導き出された課題
中小企業診断士による企業診断の結果、「ヒトとカネを確保する道筋を明らかにするための経営革新計画書の作成」「新生ARIMAブランドの構築に向けたホームページのリニューアル」「事業承継にかかる資本政策への取り組み」が当社の課題として導きだされた。
担当した中小企業診断士と経営指導員による情報の整理、ヒントの提示により、やるべきことの優先度、スケジュールが見えてきた。
提案した中小企業支援施策
第二創業を視野に入れて、補助金の活用を紹介された。また、食品関連企業へ積極的に営業を仕掛けるため、営業戦略の組み立てに専門家派遣の制度を活用した。新生ARIMAブランドの構築を図るために、エキスパートバンクの利用と、事業承継への取り組みとして、企業変革アシストプログラムについて紹介を受け活用した。
創業補助金 中小企業基盤整備機構
後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに業態転換や新事業・新分野に進出する[第二創業]を行う者に経費の2/3(限度額500万円)が補助される制度。
専門家派遣制度 東京都中小企業振興公社
8回まで半額負担で専門家を派遣できる制度。営業担当のマンパワー不足、営業ツールの作成、具体的な営業展開の方法について、専門家と共に具体的に取り組んでいった。
エキスパートバンク(専門家派遣) 東京商工会議所
無料で3回まで専門家の支援を得られる制度。今回の場合は、ホームページのリニューアルに向けた「検索エンジン対策(SEO)」や「ブランディング」についてのアドバイスで利用した。
企業変革アシストプログラム 東京商工会議所
企業を変革する取り組みにあたり、10回まで無料で専門家の派遣を受けられる制度。社長から専務へ事業承継をおこなうにあたり、株式の移動などの資本政策と、相続・贈与に関する税務面などの取り組み等、事業承継を円滑に進めていくための計画づくりに利用。
その後の状況
頭のなかで悩んでいたものが、具体的な解決に向けて整理できたことで、具体的に前に動き出した。専門家の支援のもと、あれこれと状況を整理できたことにより、今年11月には、新会社を立ち上げることが最善だという結論に到達できた。その結果、無事に後継者である専務をオーナー社長とした製造会社を設立することができた。また、新会社の運転資金として、金融機関より3000万円の融資も得られた。資金面での体制づくりは着々と進んでいる。
一方で、商工会議所の経営指導員のアドバイスなども受け、展示会へ出展したことも功を奏し、新規事業の受注も順調に伸ばしている。新生ARIMAブランドの構築については現在取り組んでいるところであるが、当社の更なる発展が期待できるであろう。
企業様の声
やらなきゃいけないことが山積みで、何から手をつけたらよいかわからなかったが、見えないものが見え、頭のなかで悩んでいたものが、具体的な解決に向けて整理できた。忙しいことを理由になかなか動き出せなかったが、考えていただけのものが、実際に動き出したことは本当によかった。自分ひとりで考えていると、「本当にこれでよいのか?」と、確信がもてなかったが、モヤモヤとしていたものが、相談を進めていく中で、ひとつの重要な芯(当社の理念)として固まってきたことは、今後の取り組みの中でも大きな自信にもなるし、重要な成果だと感じた。
企業情報
企業名 | 有馬ベルト工業株式会社 |
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代表者 | 有馬一成 |
創業年 | 昭和25年 |
業種 | 工業用各種ベルト等販売業 |
所在地 | 東京都北区神谷1丁目11番11号 |
事業PR | |
URL | http://arimabelt.com/ |
平成25年11月21日
山口 亨