経営多角化で現状を打破 -新たな取り組みを商工会がアシストする-
企業名:株式会社ミニモ 取材先ご担当者様:代表取締役社長 五十嵐 治 様
工場の閉鎖・売却、従業員の解雇というリストラを行って、売上・従業員数ともに最盛期の約10分の1になりながらも、何とか企業を維持することができたが…
企業概要
株式会社ミニモ様には、平成22年にも事例紹介にご協力をいただきました。
企業診断をきっかけにしてどの様な取り組みをされたか、前回の記事とあわせて是非ご覧ください。
<事例10 受注ゼロ・大規模リストラ実施から這い上がる -社員とともに新たな活路を->
企業の悩み
ニッチな分野の小さな案件に数多く対応するためには、販路の開拓が欠かせない。単に待つだけではなく「積極的に打って出る」必要性を感じる一方で、過去に経験した大規模なリストラの痛みを思い起こすと、営業人材を新たに採用することには慎重にならざるを得なかった。2009年、「現有のスタッフを有効活用しながら、販路を開拓する方法はないものか?」と悩んだ五十嵐氏は、以前から支援を受けてきた商工会の経営指導員に相談を持ちかけた。経営指導員は、まず当事業の経営診断を利用し、課題と解決策を見極めてから取り組むよう勧めたうえ、販路開拓の支援経験が豊富な中小企業診断士を紹介した。
導き出された課題
営業担当者を採用せずに販路拡大を図るには、人手に頼らない営業方法が必要である。まずは、ホームページやブログなどのインターネットツールを積極的に活用し、自社のホームページを24時間365日稼働できる営業担当者として育て上げることが課題とされた。具体的な取り組みとして、すぐに行うのは検索エンジン対策(SEO・SEM)の実施である。SEO対策などによるホームページ上での集客も大切であるが、現実世界でも自社の認知度向上を図らなければならない。そのために既存の人員体制であっても、積極的に展示会に出展して販路開拓を図ることも、あわせて課題とされた。
提案した中小企業支援施策
上記の課題を解決するために利用できる中小企業支援施策として、以下の提案がおこなわれた。
- 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。
その後の状況
販路開拓の課題解決に向け、中小企業診断士と経営指導員が連携して、息の長い支援が続けられた。エキスパートバンク以外にも、「グループ戦略策定・展開支援事業」など他の施策も有効に活用された。五十嵐氏は、「同じ中小企業診断士の先生が継続して入ってくださり、自社の課題や今までの流れを分かったうえで、課題解決に向けて一緒に考えていただけたので、とても有り難かったです。そのように流れを作ってくださった商工会の経営指導員の方にも、大変感謝しています」と語る。
課題であるホームページの活用については、SEO対策の一環として社長ブログを始めることを勧められ、実際にブログに取り組むことで、アクセス数の伸びを数字で感じることができた。SEO対策を始めて2年余りが経過しているが、全く面識がなかった業者から、ホームページ経由でコンタクトが来るようになり、実際の受注にも繋がっている。
また、受注開拓緊急支援助成事業を利用することで、展示会への出展を積極的に行えた。2009年は「産業交流展2009」と「たま工業交流展」に出展。潜在顧客としての可能性が見出された企業が約20社あり、その後の営業活動で3社から受注を受けることができた。むやみに飛び込み営業を行うのではなく、展示会で面識をもったうえで営業を行うため、受け手の対応も大きく違い、展示会に出展したことは意義深かった。
当社は来年、設立から50年の節目を迎える。五十嵐氏は「自分が本当にやりたいことを、信念を持ってやる」というスタンスで、移動店舗事業とは別の新規事業を準備中である。それは、こだわりのある顧客に向けた「ギャラリースタジオ」。商業や芸術・美術の盛んな街・福生市に、アートギャラリーとカフェを併設し、なおかつバイク「ハーレー・ダビットソン」のファンやペット愛好家などのニーズに応えるべく写真館を計画中だ。これからも、資料・情報の入手や相談などで商工会を活用しながら、地域に根付いた企業として発展を図っていきたいと考えている。
企業様の声
販路開拓といっても、こちらから仕事を下さいと頭を下げて回るのではなく、向こうから探して問い合わせが来るようにしないと、交渉上の主導権は握れません。「積極的に打って出る」必要性を感じながらも躊躇していた自分にとって、商工会への相談をきっかけに、展示会出展やホームページのSEO対策に取り組んだことは、大きな転機となりました。
ものづくりの世界では、何かしら問題は起こるものだと思って、やってみること、その結果からの気付きを活かし、どれだけ速く修正するかが鍵です。新規事業についても、この考え方で取り組みます。今どきあえて当社が量産設備を持っているように、世の中の流れに迎合せず、一歩引いて少し違うことをやることで、独自の地位を築いていきたいです。
施策に関しては、これからも特定の専門家に継続的に支援していただけると嬉しいです。また、製造業と商業の両方に携わる立場としては、商業の個店に対する支援策がもっと充実すると嬉しいです。
企業情報
企業名 | 株式会社ミニモ |
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代表者 | 五十嵐 治 |
創業年 | 1964年 |
業種 | 製造業(表面実装・部品加工) |
所在地 | 東京都羽村市神明台4-4-3 (関連事業 移動店舗「Harry's Garden」) |
事業PR | |
URL | http://www.minimo-group.com/ |
平成24年5月18日
松林 栄一