初めてのホームページで新規顧客獲得 -専門家派遣でホームページが形になる-
企業名:五洋ハウス工業有限会社 取材先ご担当者様:代表取締役 坂本 秀夫 様
経営を安定させていくためには、どうしても適切な販売促進活動が欠かせない。坂本氏は、カタログやホームページの制作や活用のしかたについてヒントを得たいと思い、商工会議所の相談窓口へ
企業概要
五洋ハウス工業有限会社(代表取締役:坂本 秀夫 社長)は、同業他社で設計・施工・営業を経験した坂本氏が、平成14年に独立して設立した会社である。当社の主力事業は、プレハブ建築請負業である。通常、当社が顧客の要望に沿って図面作成と建築確認申請を行い、外注によって必要な部品の製造と施工を賄い、当社が現地での施工管理を行う、という流れで業務が行われている。
設立当初はまだ施工事例がなかったため、使用許可を得た他社の施工写真をクリアファイルに入れて見込み客に見せたり、事例のないチラシを作成したりはしていたが、それらは販売促進ツールとしては不十分であった。
苦労しながらも、西多摩地区を中心とする営業活動により、徐々に売上を伸ばしてきた当社ではあったが、予期しにくい外部環境変化の影響を何度となく受けたため、順風満帆とはいかなかった。主な環境変化の1つは、平成19年の建築基準法改正である。その前々年に発覚した構造計算書偽造事件を受けて、建築確認申請の審査方法が厳格化されたことにより、設備投資を考える事業者にとって、プレハブ建築の発注は非常にハードルの高いものとなった。もう1つは、平成20年秋のリーマンショックである。事務所・店舗・工場・倉庫などに対する事業者の設備投資意欲は一気に減退し、当社も少なからぬ影響を受けることになった。
こうした環境変化を乗り越え、経営を安定させていくためには、どうしても適切な販売促進活動が欠かせない。坂本氏は、カタログやホームページの制作や活用のしかたについてヒントを得たいと思い、商工会議所の相談窓口へ足を運んだのである。
企業の悩み
お会いした見込み客に信頼感を持ってもらうには、きちんとしたカタログが必要である。10年間の事業活動の中で、自社の施工事例は蓄積されており、素材面では問題はなさそうだが、問題はコスト。クオリティを考えると、それなりのお金をかけたいところだが、費用の捻出は頭の痛いところだった。また、ホームページについては、そもそもこれまで一度も持ったことがなく、どんな内容にすればよいか検討もつかなかった。そのため、制作業者を選定するうえでの判断基準もよく分からなかった。
坂本氏は、対応した経営指導員に、上記の現状と「カタログやホームページを作って新たな顧客を取り込みたい」という要望を伝えた。経営指導員からは、まずは「経営力向上TOKYOプロジェクト」の企業診断によって、取り組みの方向性を見極めて課題解決に取り組もうという提案とともに、ホームページを通じた新規顧客獲得に長けた中小企業診断士の紹介を受けた。
導き出された課題
紹介された中小企業診断士からは、「仕入先・販売先を巻き込んだ環境ビジネスへの進出」などの将来を見据えた課題に加えて、坂本氏の要望である販売促進活動についても、詳しく言及がなされた。ホームページについては、まずは自社の訴求点を他人に伝わりやすい言葉に整理したうえ、制作業者はデザイン面・SEO対策・更新の容易さなどを総合的に見て選ぶこと、さらにはドメイン取得、サーバレンタル業者の選定、制作後の更新などについても、必要な事項の説明を受けた。
提案した中小企業支援施策
経営指導員からは、上記の要素を勘案したホームページの具体化に向けてサポートを受けるため、「専門家派遣」を活用するよう勧められた。また、当社のできることや実績が一目で分かってもらえるカタログを作成して営業に役立てるため、「展示会等出展支援助成事業」についても紹介された。
- 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。
その後の状況
「経営力向上TOKYOプロジェクト」で2回、さらに専門家派遣で3回、合わせて5回にわたり、同じ中小企業診断士のサポートを受けた。この中で、ホームページの枠組みと初期のコンテンツを煮詰めることができ、ドメイン取得などの手続きについても支援を得て、当社初の公式ホームページは、無事完成にこぎ着けた。
また、「展示会等出展支援助成事業」を活用して、発注側のニーズに沿って自社のできることや事例をアピールできるカタログを作成した。このカタログは現在も、重要な販促ツールとしての役割を担っている。面会した顧客企業の担当者が上司に報告する際、当社のサービス内容が適確に可視化されたカタログを見せてくれるメリットは、非常に大きいという。
坂本氏はホームページについて、必要だと思ってはいたが、実は必ずしもキーワード検索で上位に挙がることを求めていたわけではない。名刺やカタログにアドレスを刷ることで、後で見込み客にもっと詳しく自社のことを知ってもらいたいという、いわば営業のサポートツール的に考えていた。しかし、実際に開設してみると、ホームページからの問い合わせもそれなりの件数はあり、実際に受注に結びついた例も出てきている。ホームページからの顧客は、比較的若くて価格面に厳しい、ドライな方が多い面はあるが、今後は文章・写真等の更新を通じて、当社の付加価値を伝えることで対応を図っていきたいと考えている。
企業様の声
ホームページの構築をサポートしてくださった中小企業診断士の先生と、紹介してくださった経営指導員の方に感謝しています。リーマンショック以降も、震災影響による原材料費や人件費の高騰など、業界を取り巻く環境には厳しいものがありますが、今後は関東一円への展開を目指して、積極的に活動していきます。ホームページについても、アクセス履歴や顧客からの取材内容を踏まえてSEO対策のキーワードを工夫したり、リスティング広告にも挑戦したりして、新規顧客の獲得を図っていきたいと思います。商工会議所には、事業者向けのセミナーなどで今でもお世話になっていますが、今後もマッチングなどの機会があれば積極的に活用していきたいです。
企業情報
企業名 | 五洋ハウス工業有限会社 |
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代表者 | 坂本 秀夫 |
創業年 | 2002年 |
業種 | プレハブ建築請負業 |
所在地 | 東京都青梅市野上町4-3-23 |
事業PR | |
URL | http://goyohouse.com/ |
平成24年5月18日
松林 栄一