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自然なバストを再現した装着式人工乳房で、乳がん手術後の体とこころをサポート

企業名:株式会社カノアクルー  取材先ご担当者様:代表取締役:鈴木万紀子氏

事業計画の改訂と補助金・助成金の活用による販売促進

創業直後にコロナ禍となり、免疫力低下に不安をかかえる顧客との面談が激減した。創業時に計画していた営業活動の機会損失により、2年連続で売上目標未達・営業赤字となった。そこで、経営の立て直しが喫緊の課題となっていたが・・・

企業概要

株式会社カノアクルー(代表取締役:鈴木万紀子氏)は、三鷹駅から徒歩約10分の場所にサロンを持つ、装着式人工乳房「ルアナブレスト®」の販売をメインとする企業である。
当社は、2019年12月、「女性のQOL(生活の質)の向上に寄与する」という企業理念に基づき、鈴木氏と、友人の秋沢氏・北堀氏の女性3人により設立された。社名のカノアクルーは、ハワイ語で「自由」「仲間たち」の意味である。
乳がん手術で乳房を切除した女性向けの装着式人工乳房「ルアナブレスト®」は、100%シリコンの日本製であり、接着剤なしで簡単に装着と取り外しができる製品である。肌の色に合わせ、製造委託先の熟練職人が着色を施すため、質感が実物に近く手術前の自然なバストを再現している。
専用の装着剤「ルアナフィット®」を塗布することで水に濡れても剥がれ落ちず、温泉に入浴可能で人目に触れても気づかれにくいという特徴がある。
また、サロンでのカウンセリングに約3時間をかけて一人ひとりの気持ちに丁寧に寄り添い、満足度向上に努めている。
製品の販売以外にも「三鷹まちゼミ」での「今の私を見つめ直すセルフコーチング」開催などにより、女性のQOL向上に寄与する取り組みを実践している。

企業の悩み

創業直後にコロナ禍となり、免疫力低下に不安をかかえる顧客との面談が激減した。創業時に計画していた営業活動の機会損失により、2年連続で売上目標未達・営業赤字となった。そこで、経営の立て直しが喫緊の課題となった。
売上向上のためには、乳がんの手術を行う病院と連携して、病院から患者に製品を勧めてもらうことが理想的だが、当社は医療関係者とのコネクションは少なく、病院への営業ノウハウを保有していない。また、2020年の診療報酬改定において、乳房切除後の再建手術に保険が適用となり、病院は乳房再建手術だけを提案するケースが多く、装着式人工乳房という選択肢があることがほとんど知られていない。
また、近年では、がんの発病や治療にともなう外見の変化による患者の気持ちの落ち込みを和らげる外見ケア(アピアランスケア)が注目されているが、その機会を活かすことができていない。
そのような中で、日ごろから支援を受けていた三鷹商工会の経営指導員から、本プロジェクトでの専門家による経営分析と実行支援を受けることを勧められた。

導き出された課題

経営分析の結果、指摘された課題は、①事業計画書の改訂、②補助金・助成金の活用による販売促進の2点である。
創業時に計画していた販売促進のための取り組みを計画通りに行うことができず、売上実績が計画を大きく下回っていたため、それに対応した事業計画の改訂が必要とされた。
また、販売促進のために、展示会への出展や広告宣伝などの取り組みを積極的に行うことで、知名度とブランド力の向上が可能となる。その取り組みについては、補助金や助成金を活用できれば、より有利に行うことができると助言を受けた。
鈴木氏は、これらの課題を解決するため、本プロジェクトのアシストコースとアドバンスコースを活用することにした。

提案された解決策

2023年1月からアシストコース、6月からアドバンスコースを利用して、ほぼ毎月、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、課題解決に向けて取り組んでいる。
まずは、事業計画書の改訂である。①コロナ禍の影響を考慮した事業計画への改訂、②販売促進の方針と具体的な対応策の策定、③財務管理体制の強化と資金繰りの安定化策の策定を行った。事業計画は2025年9月期まで、1年毎の計画とした。
次に、補助金・助成金の活用による販売促進である。費用の支出を最小限に抑え資金繰りを良好にするため、①小規模事業者持続化補助金、②展示会出展助成事業(東京都)の活用を提案され、申請に取り組んだ。
①小規模事業者持続化補助金の交付決定を受け、装着式人工乳房のサンプルを製作し、2023年7月20日~8月31日に『装着式人工乳房「ルアナブレスト®」無料お試しキャンペーン』を実施した。
②展示会については、具体的な展示会の選定、展示会における営業活動の注意点、展示会終了後の受注までの活動についてアドバイスを受けた。展示会出展助成事業の交付決定を受け、展示会への出展を決めた。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

事業計画書の改訂内容に沿って営業活動などを実践した。具体的には、多摩地域の産学官コミュニティへの参画による人脈構築、プレスリリースによる新聞等メディアの取材喚起とその対応(日本経済新聞・産経新聞・毎日新聞などのべ15紙に掲載)、多摩総合医療センターへの「ルアナブレスト®」サンプル設置、などである。それらの成果として、経営状態は順調に回復しつつあり、2023年9月期は、前年度比で売上が3百万円以上増加した。
また、補助金・助成金の活用に関して、①小規模事業者持続化補助金を活用した『装着式人工乳房「ルアナブレスト®」無料お試しキャンペーン』では、北は北海道から南は熊本までの地域から応募があり、サンプルを送付して着実に売上につなげている。
②展示会については、展示会出展助成事業を活用し、2024年1月『たま未来・産業フェア』、2月『健康博覧会 ジェンダード イノベーションEXPO』へ出展予定である。これらによる販売促進により、更なるブランド認知度向上とコネクション構築を図っていく。

企業様の声

今回、プロジェクトを利用して本当に良かったと思っています。企業理念の「女性のQOLの向上に寄与する」という思いは強いものの、コロナ禍の影響もあり経営面に不安がありました。今回、専門家の視点で客観的に当社を診てもらいアドバイスをいただくことで、たいへん多くの「気付き」と「メリット」が得られました。
三鷹商工会の経営指導員の尾賀さんには、2022年から定期的に相談にのっていただいており、今回のプロジェクトについてもご提案をいただき感謝しております。これからも商工会や専門家の方々のご支援をいただきながら、お客様の満足度向上に寄与していきたいと思います。
(代表取締役:鈴木万紀子氏)

支援者の声

当社の強みは「心のこもった企業理念に基づく、顧客のお悩みに寄り添った丁寧な対応、高品質な製品と、何事にも前向きに取り組み、事業を通じて人や社会への貢献も目指す姿勢」と考えます。その強みを、コロナ禍で落ち込んでいた売上・利益のV字回復にどうつなげるかをテーマに、事業計画書の改訂や、補助金・助成金の活用による販売促進について支援いたしました。業績回復に貢献でき、お手伝いのしがいがあります。今後も伴走支援を行い精一杯サポートさせていただきます。
(三鷹商工会 尾賀正敏氏)

企業情報

企業名 株式会社カノアクルー
代表者 代表取締役:鈴木万紀子氏
創業年 2019
業種 小売業(装着式人工乳房・装着剤の販売)
所在地 東京都三鷹市下連雀
事業PR
URL https://kanoacrew.co.jp/


中小企業診断士 刈谷 力

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