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季節ごとの果物と向き合った無添加の手作りジャム

企業名:Miジャム  取材先ご担当者様:代表:伊藤理子氏

「やりたいこと」に自信を持たせる理論と数字の裏付け

創業当初はイベントでの直接販売を主に行っており、売れ行きは好調であったが、コロナ禍によってイベントの中止や規模縮小が相次ぎ、売上が大きく低下した。売上回復のために通信販売に挑んだが…

企業概要

Miジャム(代表:伊藤理子氏)は三鷹駅南口から徒歩10分、中央通り沿いに工房を構えるジャムの製造販売事業者である。
伊藤氏が趣味で製作したジャムを家族や友人に贈る等していたところ、そのジャムの評判が非常に高く、イベント等で広く販売することを勧められた。しかし、食品の販売には営業許可等の手続きが必要であることや、より多くのジャムを製造するためには自宅の設備では限界を感じはじめていたことから、工房としてマンションの一室を契約し、2019年に創業した。
主な販売方法は、朝市やフリーマーケット、マルシェ等のイベント販売と、ネットショップによる販売、飲食店や販売店への卸売である。
同社の無添加の手作りジャムは、季節の果物と砂糖だけを使用し、特に果肉感を味わえる作りにこだわっている。同じ果物でも品種の違いや熟し具合によって製造工程を変える等の豊富な知識と高い技術、なによりも伊藤氏の豊かな探究心から生み出される商品の品質は高く、一度購入した顧客の多くはリピーターとなっている。近年では地元三鷹の生産者とのつながりが増えてきたことで、三鷹産の果物を使用した商品を増やしており、地産地消へも積極的に取り組んでいる。
環境問題への取組として、使用したジャムの瓶を返却すると特典がもらえるキャンペーンを行っている。返却された瓶はひとつひとつ洗浄・煮沸が必要で手間がかかるが、顧客の高い共感も得られ、イベント時には販売した数を超えて集まることもあるという。

企業の悩み

創業当初はイベントでの直接販売を主に行っており、売れ行きは好調であったが、コロナ禍によってイベントの中止や規模縮小が相次ぎ、売上が大きく低下した。また、イベントを通じて知り合った縁から企業への卸売の話が進んでいたが、これもコロナ禍で白紙となってしまった。売上回復のために通信販売に活路を見いだし、ホームページの作成やネット通販体制の構築に取り組んだが、そのような経験のない伊藤氏一人の力では限界を感じていた。
そのような折、武蔵野商工会議所の補助金説明会に参加し、個別相談の席で現在の悩みを打ち明けたところ、専門家による経営分析を受けることができる本プロジェクトを紹介された。

導き出された課題

経営分析の結果、指摘された課題は、①販売と生産力のバランス、②ネット販売の強化、③事業計画書の作成の3 点である。
今後も安定的に事業を継続していくためには、伊藤氏が基本は一人で対応している販売と生産の工程について、計画的なバランス配分が必要であるとの助言を受けた。また、販売面では、伊藤氏の肉体的・時間的負担の軽減を考慮し、かつ、コロナ禍に対応するためにもイベント販売の比率を減らし、ネット販売のチャネルを強化したほうがよいとの提案を受けた。さらに、これらの課題を一度客観的に整理し、「見える化」するために事業計画書を作成し、それに基づいた運用を行うことも課題として挙げられた。伊藤氏は、これらの課題を解決するため、本プロジェクトのアシストコースを受けることにした。

提案された解決策

実行支援では、専門家から単に助言を受けるだけでなく、相互に意見交換しながら最適な方向性を探る形で行われた。
まずは、販売と生産力のバランス設定である。これまではどちらかというと手に入った果物の量に合わせてジャムを製造・販売しており、必ずしも計画的な生産ではなかった。そこで、専門家による客観的な視点を加えて、1回のイベントでどれくらいの数が売れるのか、どの商品が売れ筋なのか、サイズや組み合わせはどれが最適なのか、等を精査することにより、生産を計画的に行えるように改善した。
次に、ネット販売を強化するため、効果的なプロモーション戦略を検討し、メールマガジンの配信やSNSへの投稿を行った。また専門家から、ネットで不特定多数の顧客に販売するためには第三者からの評価があったほうが信頼性を高められると助言を受け、「世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会」へ応募し、2022年4月に「ローズ香るベルガモット」が金賞を受賞した。他に応募した2品も入賞し、このことは伊藤氏の大きな自信につながり、イベント販売と比較してやや及び腰であったネット販売へ注力するきっかけにもなった。現在は、色とりどりの季節の果物を使用したジャムを組み合わせ、地元の紅茶店から仕入れた紅茶を加えた贈答用セットを企画して販売を開始する等、意欲的に運営を行っている。
事業計画書の作成においては、まずは損益分岐点を意識して目標売上高を設定し、それを達成するために必要な生産量を、イベントの日程やネット販売の売上予測を考慮して計画するよう助言を受けた。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

支援を受けることで、伊藤氏は何よりも「不安が確実に減った」という。普段は生産から販売まですべて一人で対応しているため、一時的な売上の低下等があると、自分の進んでいる方向が正しいのかと迷ってしまうことが多々あった。しかし、専門家に理論や数字に裏付けられた助言を受け、話し合いの中で自分の方針を肯定してもらうことで、自信を持って日々の仕事に取り組むことができるようになった。
イベントも少しずつ再開し、顧客と対面販売ができる機会も増えてきたことで、売上の回復とともに伊藤氏のモチベーションも高まってきている。今後は、コロナ禍で行えなかったジャムの試食会を自社工房で開催することを検討している。「ジャムバー」と称して、少人数を招き、様々な種類のジャムを少しずつ楽しめる場にしたいという。
また、将来的には、現在は繁忙期にだけ限定的に手伝いを依頼している外部スタッフへの委託業務を増やし、伊藤氏は空いた時間をネット販売の強化や新たな戦略にあてることを計画している。

企業様の声

武蔵野商工会議所さんに相談をして、本当に良かったと思っています。これまで感覚でやっていたことに理論や数字で裏付けをしていただいたことは自信につながっています。特に、「こうしたい」と頭の中で考えていることが、話し合いの場で一緒に考えてもらうことで具体的になり、やるべき課題や期限を明確にしてもらうことは私にとって非常にありがたいことでした。
特に個人事業主は、日々の事で頭がいっぱいなことが多いと思いますが、「誰かに相談すること」、「いつもとは違う時間を持つこと」が大切だということを教えていただきました。
これからもいろいろなことで相談させていただき、心の支えになっていただけると嬉しいです。
(代表:伊藤理子氏)

支援者の声

我々支援チームは、「伊藤様が好きなこと、やりたいことは否定せずに応援して、それが良い方向に進むような助言を行う」、「伊藤様が苦手なところは積極的にお手伝いをする」という方針でご支援を行ってきました。
伊藤様は我々の助言をただ聞くだけでなく、しっかりと考えたうえで、「自分はこう思う」とご自身の意見をしっかりと伝えていただけるので、我々もご支援のしがいがあり、結果が出た時には自分の事のように嬉しく思います。
今後も決して無理はせず、伊藤様のペースで、お人柄のよさを最大限に活かせるご支援をさせていただければと思っています。
(武蔵野商工会議所:櫻井秀平氏)

企業情報

企業名 Miジャム
代表者 代表:伊藤理子氏
創業年 2019
業種 製造販売業(ジャムの製造販売)
所在地 東京都三鷹市下連雀4-15-39-202
事業PR
URL https://mijam.base.shop/


中小企業診断士 玉川 信

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