子育ての醍醐味を伝えるベビーマッサージ教室

企業概要

ひめ風堂（代表：小松麻子氏）は、神奈川県横浜市でベビーマッサージ教室とカフェを営んでいる。経営理念は、赤ちゃんを育てる母親に寄り添い、子育てのやりがいや楽しみを伝えていくことである。
ベビーマッサージとは、生後2か月以降の赤ちゃんを相手に、親がマッサージを行うものである。赤ちゃんの心身の発達を促し、マッサージを施す親の精神面にも良い効果があると言われている。小松氏が開催する教室では、オリジナルの絵本を使って読み聞かせをしながらベビーマッサージをする独自の方法を受講者に教えている。
2021年春、横浜市瀬谷区に自身のスタジオをオープンする際、一角をカフェとして営業を開始した。カフェの主なターゲット顧客は子育て中の母親であり、ベビーマッサージ教室とのシナジーを見込んで運営を始めた。

企業の悩み

小松氏は、ベビーマッサージが事業になるか不安だったが、潜在ニーズを掘り起こしたいという使命感を持って2015年に開業し、保険会社が開催するベビーマッサージ講座でアシスタントを務める中で手応えを感じた。
その後、小松氏は、プライベートでは子育てをしながら、会場を借りてベビーマッサージ教室を主催するほか、アシスタント業や各地の児童館等でも講師を務めた。やがて、自身のベビーマッサージ教室にもっと注力したいという思いが強まり、固定のスタジオを構えての本格的な事業展開を考えるようになった。
そこで、アシスタント業を辞めて自身の教室に充てる時間を増やすとともに、スタジオの開設に向けた準備をスタートした。本格的な展開を控えて、事業計画をしっかりと立てなければと思い、商工会議所へ定期的に相談に行くようになった。その中で2019年秋に本プロジェクトを紹介され、利用することになった。

導き出された課題

専門家による経営診断の結果、主な課題として、①新ベビーマッサージ教室事業の目的やターゲットの明確化、②新プログラムのコンテンツや立地の選定、③サービスメニューの充実と価格戦略の策定の3点が導き出された。
当時、ベビーマッサージ教室は不定期開催であったため、売上の見込みが立ちづらかった。先行きは不明瞭であり、事業の将来像が描けていない状態であった。事業を成功させるためには、教室のコンセプト、ターゲット、プログラム、立地、価格設定等を明確にしたうえで、教室の独自の価値をターゲットとするお母さんへいかに効果的にアピールするかが重要になってくる。そこで、引き続きアシストコースで支援を受け、事業計画を練り上げていくことになった。

提案された解決策

アシストコースの前半では、ビジネスプランの検討と事業計画書の作成支援、および新規顧客の獲得に向けた集客の強化支援が行われた。ビジネスプランを一緒に練り上げ、事業計画書を作成することで、ゴール設定と実行すべき活動が明確になった。取り組み内容を取捨選択して優先順位付けし、時系列で整理して、事業全体を体系的に“見える化”することができた。集客については、特にSNS、ブログ、メールマガジン等の活用が奏功した。
2020年に入って、新型コロナウイルスの影響による売上減少が深刻な状況になり、新たなビジネス展開としてオンライン開催をスタートする際にもアドバイスを受けた。オンライン開催は顧客から歓迎され、コロナ禍での集客の安定化に繋がった。
一方で、他者が制作した絵本を使って読み聞かせをする様子をネット配信するには、著作権者の許諾が必要であるという制約があった。この制約を解消するために、小松氏はオリジナルの絵本を複数制作することにした。自費出版の絵本となるので費用は高額である。そこで、専門家から小規模事業者持続化補助金を活用して資金を賄うよう助言を受けた。支援を受けて作成した事業計画書を活用して申請し、採択に至った。

提案した中小企業支援施策

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その後の状況

「変化は数多くありました」と小松氏は語る。客観的に事業を俯瞰できるようになり、利益確保についても改めて考える機会になった。専門家のアドバイスを受けながら作成した事業計画書は、2021年春のスタジオ兼カフェの開設にも活かされた。
オンライン開催対策として制作した自作の絵本は、ひめ風堂にとって独自の付加価値となった。絵本に描くことで、子育てのアプローチ方法や小松氏のメッセージを顧客に伝えることもできる。さらに、絵本制作を通じて、出版関係者やアーティストなど、人的なネットワークを広げることもできた。ネットワークによって絵本や子育てに関する新しい情報が入り、顧客に耳寄りな情報を伝えられるようになった。
今後は、カフェを活用したシナジーを強化していく予定である。赤ちゃんが大きくなると顧客はベビーマッサージ教室を受講しなくなるが、大きくなってもカフェには子連れで来店してもらえる。カフェの新規顧客には、自作の絵本を紹介してベビーマッサージの魅力について訴求することもできる。将来的には、ビジョンを共有できるパートナーを見つけて事業を拡大していきたいと考えている。

企業様の声

専門家や商工会議所の方々には、まず「感謝」の一言です。初めて相談に伺った時は、男性のご担当ということもあり、ベビーマッサージについてご理解いただけないかもしれないという不安がありましたが、親身になって後押ししてくださいました。今回のプロジェクトでも、いつもカウンセリングを受けるような気持ちでお話を伺っていたと思います。ご相談をして、フィードバックをいただき、そのフィードバックの中から新しい閃きが生まれることもありました。
小規模事業者持続化補助金については、専門家の方に勧められて取り組み、無事に採択されたことは、事業としての自信にも繋がっています。
新しい課題も出てきていますが、引き続き、相談させていただき、乗り越えていければと思います。いつもありがとうございます。
（代表：小松麻子氏）

支援者の声

小松様は、情熱があってモチベーションが非常に高い方です。チャレンジ精神も豊富で、アシストコースにおいても、前向きになって事業計画書の作成や、補助金申請に取り組んでいただけました。支援のしがいがあるというのが正直な印象です。先々のポテンシャルも感じています。得手不得手はあると思いますので、不得手な部分については、商工会議所で引き続き支援させていただければと思っています。
（町田商工会議所：三堀陽平氏）

企業情報

中小企業診断士　町中 悟