有名大手企業を顧客に持つ「チャットボット」開発企業の飛躍
企業名:チャットプラス株式会社 取材先ご担当者様:代表取締役 西田省人氏
会社の規模が急速に拡大していく中、社長の日常的な業務負担も増加し、社内体制構築や資金調達にも課題を抱えて、なかなか前に進めなかったが…
企業概要
チャットプラス株式会社(代表取締役:西田省人氏)は、企業ホームページに自動応答のチャット機能などを埋め込むことのできるチャットボットを開発・提供している。2016年に創業し、創業当初は赤字が続き資金繰りに苦戦するも、顧客の要望を収集、優先度の高い機能から順次実装し、顧客ニーズに対応した優れたチャットボットを開発した。そして、まずはマーケットシェアを確保するために、多機能なツールであるにもかかわらず低価格戦略を採用した。その結果、3期目から黒字化を達成するとともに、2020年時点で、大手企業から中小企業まで7,500社以上の企業で利用されるまでに成長している。
企業の悩み
順調に売り上げを伸ばしている当社であるが、顧客数が増え、業務量も増加するなかで、いくつかの悩みがでてきた。1点目は、社長の日常的な業務負担についてである。経理業務、従業員教育、営業活動、システム開発までを社長が担っており、社長の日常業務の負担が大きい状況であった。西田社長は経営管理や高度な業務に集中したいと考えていたが、それらの業務に多くの力を注げない状態であった。2点目は、社内体制についてである。企業を成長させるためには、従業員にとってより働きやすい職場環境や組織的な従業員教育体制の構築が必要であったが、急速に規模が拡大しており、なかなか進めることができなかった。3点目は、資金調達についてである。新規事業のシステム開発に取り組むには、追加資金が必要であった。かつて中小企業であるが故に資金繰りに苦戦した経験があることから、適切な資金調達方法を専門家に相談するとともに、将来の目標としていた上場に関する相談相手も探していた。このような悩みを抱えていた西田社長は、東京商工会議所に相談したところ、本プロジェクトを紹介され、経営指導員による経営診断を受けることとなった。
導き出された課題
「中小企業活力向上チェックシート」によるセルフチェックの後、経営指導員と中小企業診断士が訪問し、チェックシートをもとにヒアリングを実施して、以下のような課題を導き出した。①社長がより高度な業務に集中できる体制にするとともに、従来の簡易的な売上管理を改善すること、②従業員を定着させられるような社内規程や教育体制を整備すること、③融資の際に財務健全性を示すために資金繰り管理を強化すること、および④目標達成に向けて経営計画を作成すること、の4点である。特に、資金繰り管理の強化に関しては、従業員を増員したことで固定費も増加しており、財務的な安全性や事業継続性を高めるうえで、重点課題と位置付けた。
提案された解決策
当プロジェクトのアシストコースでは、課題解決をするために専門家による継続的な実行支援が行われる。当社においては、以下のような実行支援が行われた。まず、社長が担っている日常業務の一部を従業員に任せるための具体的な手順を決めていった。その後、部門の新設や各部門への権限委譲を実行した。売上管理に関しては、サービス内容・支払方法などの詳細な項目に分けて売上を分析し、精度の高い予実管理が実行できるように改善した。次に、必要最低限の整備しかしていなかった社内規程に関しては、新たな規程を作成するためのTODOリストを作って、規程整備を進めた。また、営業担当者のWEB会議システムを利用したオンライン商談を録画し、その後に営業担当者が集まり、お互いに良かった点や悪かった点をフィードバックする組織的な教育体制を構築した。そして、重点課題であった資金繰り管理に関しては、資金繰り表を作成し、数か月先の資金状態を把握できるようにした。経営計画に関しては、大目標達成に向けて小目標を踏まえた具体的な行動計画が作成された。
提案した中小企業支援施策
- アシストコース(中小企業活力向上プロジェクトネクスト)
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その後の状況
実行支援の結果、日常業務の負荷が軽減され、社長は高度な業務に専念できるようになった。また、精度の高い予実管理により従業員に現実的な売上目標を共有できたことと、組織的な教育体制の整備ができ従業員の営業スキルが向上したことにより、売上の増加率が高まった。そして、資金繰り管理の強化によって財務健全性を示すことができたため、金融機関から新たに融資を得られた。その調達した資金により、新たなサービスを提供するための新規システム開発を進めている。
企業様の声
現在は順調に売上が伸びている状況ですが、創業当初は資金確保に苦戦し、規模拡大のスピードが制約される状況でした。規模拡大に伴う社内体制整備の仕方や資金調達方法などについて専門家の意見が聞きたく、東京商工会議所に相談いたしました。当プロジェクトのアシストコースでは、専門家に複数回にわたってフォローしてもらえました。各フォローの際に、経営計画の作成・販路開拓・社内規程の整備・資金繰り管理・予実管理・補助金申請など様々な支援をしていただき、大変助かりました。また、コーディネーターの方には上場に関する相談に乗っていただけたため、頭の中が整理できて良かったです。
(代表取締役:西田省人氏)
チャットボット分野で7,500社以上の顧客を獲得し、今や上場も視野に入れている貴社も、創業当初は資金繰り、成長段階においては社内体制上の課題に直面したことを語っていただきました。各段階における課題に対し、地道な行動を続けてきた結果が、今に繋がっていることを改めて確認いたしました。東京商工会議所としても、貴社の次の成長へ向けて、専門家とともに引き続きお力添えができれば幸いです。
(東京商工会議所:武田宗太郎氏)
企業情報
企業名 | チャットプラス株式会社 |
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代表者 | 代表取締役 西田省人氏 |
創業年 | 2016年 |
業種 | 情報通信業 |
所在地 | 東京都千代田区神田神保町1丁目7-1 NSEビル8階 |
事業PR | |
URL | https://chatplus.jp/ |
中小企業診断士 河野祐輝