新たな事業シーズを再成長の糧に ~客観的アドバイスを活かし計画的に取り組む~
企業名:株式会社東京ドアーズ 取材先ご担当者様:代表取締役 村山 哲治 様
ITバブル崩壊等の余波を受けた体制縮小の影響によって、プランの実現に必要な人的資源や先行する開発費の確保については不安な面もあった。社内にはアドバイスを求められるブレーン的存在がいないため、社長が一人で思い悩むことが多かった…
企業概要
株式会社東京ドアーズは、社会人対象の教育研修会社で経験を積んだ現社長が、教育コンサルタントとして独立して始めた事業を起源とする企業である。パソコン通信の時代からコンピュータネットワークの可能性に着目していた社長は、Windows95が登場してインターネットの普及が進む中、インターネットを通じたマーケティングに本格的に取り組むため、1998年にネット部門を立ち上げた。
以来、インターネットのマーケティングへの活用に関するコンサルティング、ホームページの制作、ソフトウェアの開発等を手がけ、最盛期には従業員10名強を抱える企業に成長した。しかし、ネットバブルの崩壊やリーマンショック等の経済状況の変化を経て、現在では 社長を含めて3名のスタッフで運営されている。
長年の経験の中でインターネットを通じたマーケティングの勘所を押さえた企画提案やソフトウェア・ホームページ制作には定評があり、大手企業との直接取引を継続する等、高い信頼を獲得している。
当社は、リピーターの増加を図るグリーティング・カードサービス「POST DOOR」や月額料金制のホームページ「Valueプラン」など、誰もが簡単に使えるシステムの具現化を得意としている。さらに今後の成長に資する事業のアイデアを複数持っており、来たるべき再成長に向けて着々と必要な準備を進めている。
企業の悩み
上記の「POST DOOR」や「Valueプラン」以外にも、コンピュータネットワークを活用したメーカーとエンドユーザのコミュニケーションツール、建設現場等の特殊な環境で用いるサイト等、多数の事業上のアイデアがあり、その中のいくつかは既に動き出している。しかし、ITバブル崩壊等の余波を受けた体制縮小の影響によって、プランの実現に必要な人的資源や先行する開発費の確保については不安な面もあった。
一方、社内にはアドバイスを求められるブレーン的存在がいないため、社長が一人で思い悩むことが多かった。一度専門家から客観的に自社を診断してもらうことで、自社の方向性を見据えて、順次必要な課題に取り組んでいけるのではないか。そう考えた社長は、商工会議所を通じて当事業の経営診断を申し込むに至った。
導き出された課題
中小企業診断士による企業診断の結果、①経営計画の策定と優先順位を付けた新規事業への取り組み、②人材の採用と動機付け、③助成金の積極的活用による事業展開の3点について改善が必要という診断がなされた。
①経営計画の策定と優先順位を付けた新規事業への取り組みについては、人的資源が不足する中で事業展開を進めるため、短期に確実にキャッシュが期待できる事業と2~3年のスパンで中長期的に取り組んで大きなキャッシュを獲得する事業に区分けし、どの時期に何に中心的に取り組むかを明らかにした中期計画を策定することを勧められた。また、②人材の採用と動機付けについては、売上の増加を睨みつつ人員体制を拡充したうえ、常日頃から社長のビジョン・目標・事業計画やその達成状況を共有して、会社として目指す方向へ向けた協働を喚起すること等を勧められた。さらに、③助成金の積極的活用による事業展開については、開発費の先行支出による財務的なひっ迫を回避しながら製品・サービスを開発するため、自社に合った助成金等を見つけてタイミングを逃さず利用していくことを勧められた。
提案した中小企業支援施策
中小企業診断士からは以下の支援施策の紹介を受けた。エキスパート(専門家派遣)によって必要な取り組み内容を整理しながら、助成金の活用などを計画的に進めていこうという趣旨である。商工会議所の経営相談員と協議した結果、定期的に専門家の訪問を受け、各取り組みに関する優先順位づけや計画づくり、進捗状況に応じた計画修正などについてサポートを受けることとなった。
エキスパートバンク(専門家派遣) 東京商工会議所
年度内に3回まで無料で専門家の支援を得られる。当社の場合、本プロジェクトの企業診断を担当した中小企業診断士に、引き続きサポートを受けることとなった。
地域資源活用イノベーション創出助成事業 東京都中小企業振興公社
単身高齢者の生活支援、環境・省エネルギーに関する取り組み等、東京都の課題解決に向けた中小企業の試作品・新サービス開発・販路開拓・市場化に要する経費の一部を助成する事業。
目黒区のものづくり産業支援制度 目黒区
「販路拡大(展示会出展)支援事業」、「国際規格(ISO)取得支援事業」など、ものづくり企業を支援するため、多様な切り口の支援策が整っている。
その後の状況
エキスパートバンク(専門家派遣)を通じて、当初は自社の事業領域の見直しや新規事業の優先順位付けを中心として話を整理していった。その後は、具体的に各事業について進め方を検討していき、それぞれについて内在する問題点や予想される障害、それらの解消方法について、活発なやりとりが行われた。
こうした話し合いを通じて、自社のやりたいことやその進め方が次第に明確化されていった。守秘義務契約等のため、現時点ではまだ対外的に詳細を公表はできないが、大手企業やデバイスに強い技術者の協力を得て、新規事業の準備が着々と進められている。
一方、専門家が例示した助成金については、当年度の募集には間に合わなかったため、今のところ実際には申請していないものの、次年度に向けてテーマやステージごとに適した助成金等をリストアップし、活用していこうとしている。
企業様の声
当社ではかつてよりも体制を縮小したこともあって、今のところ客観的なアドバイスを求められるブレーン的な存在が社内にはいません。様々な新しい事業のアイデアが頭の中に浮かんでくるのですが、どこからどのように手を付けてよいものか、私一人で「これでよいのだろうか?」と思い悩むことが多かったです。
今回、企業診断で当社の課題を指摘していただいたうえで、取り組む事業の優先順位付けや具体的な進め方について、専門家から客観的にアドバイスしていただいたことで、頭の中が整理でき、見通しができたことで経営者としてのモチベーションが高まりました。
今後も、専門家派遣や企業診断の際に勧められた各種助成金・補助金などを積極的に活用しながら、自社の進むべき方向を見据えて、着実に前進していこうと考えています。
企業情報
企業名 | 株式会社東京ドアーズ |
---|---|
代表者 | 村山 哲治 |
創業年 | 平成10年 |
業種 | 情報通信業(コンテンツ制作・教育事業) |
所在地 | 東京都目黒区自由が丘1-19-18 マナーハウス自由が丘201号 |
事業PR | |
URL | http://www.tokyodoors.co.jp/ |
平成25年11月22日
松林 栄一