「ものづくり」の原点に返り下請け脱却 -社員一同「つくる喜び」を思い出す-
企業名:株式会社丸和製作所 取材先ご担当者様:代表取締役 中野 健太郎様
技術力や現場の業務は問題ないが、経営的な取り組みができていないことを危惧していた。現社長は積極的にセミナー等に参加をして経営の勉強をしていたが……
企業概要
株式会社丸和製作所(代表取締役:中野健太郎 社長)は昭和33年創業で、戦前より地元の航空機メーカーに勤めていた先代社長が、戦後の復興期に自動車、通信機器メーカーを中心に金属加工業を営んできた企業である。大手企業の下請けを中心に活動してきたが、6年程前に主要取引先が倒産し大きな痛手を負った。蓄積されていた内部留保も不良債権のためにほとんどなくなってしまう。そのような状況下で先代の社長が他界し、孫の現社長が代表取締役となった。
主要取引先の倒産後、下請け依存体質の脱却の必要性を強く感じ、営業方針を「広く浅い受注を目指す」ことに切り替える。現社長を中心に小さな仕事でも進んで引き受けていくことで取引先企業の幅も広がり、リーマンショックにも持ちこたえる企業体質となった。
現在は、BtoB(対企業)だけではなくBtoC(対消費者)向けの製品も開発し、新たな事業分野への進出に取り組んでいる。
企業の悩み
技術力や現場の業務は問題ないが、経営的な取り組みができていないことを危惧していた。現社長は積極的にセミナー等に参加をして経営の勉強をしていたが、同時に企業外部からの視点も必要であった。そのようなときに商工会の経営指導員から本プロジェクトの企業診断事業を紹介され、まずは企業診断を受けてみることとなった。
導き出された課題
戦略的な取り組みができておらず経営管理体制の構築に課題があることが、中小企業診断士の企業診断によってわかった。中小企業診断士のアドバイスのもと、経営戦略・計画を策定していくことの重要性を改めて感じた。
提案した中小企業支援施策
上記の課題を解決するために利用できる中小企業支援施策として、以下の提案がおこなわれた。
- 専門家派遣(エキスパートバンク)
小規模事業者の皆さんがお持ちの経営課題に対応する登録エキスパート(専門家)を直接事業所に派遣し、具体的・実践的なアドバイスによって問題の解決に役立てていただくものです。 - 経営革新計画の承認
新たな事業活動を行う経営革新計画の承認を受けると、日本政策金融公庫の特別貸付制度など多様な支援を受けられます。
その後の状況
本プロジェクトの企業診断をきっかけに様々な支援施策を活用しながら、新規事業分野への取り組みが実現しはじめた。経営革新の承認取得に向けて経営戦略を明確にしたところからはじまり、販路拡大を図り展示会出展も計画した。出展にあたり新規事業分野となり得るオブジェを制作した。従業員でいくつかのチームをつくり企画から製作までを任せた。従業員は作品をつくることで「ものづくり職人」本来の喜びを思い出し、モチベーションの向上につながった。これを「たま交流展」に出展したことで、一般消費者からの反響はもちろんのこと、その加工技術の高さに既存事業の顧客にも好評を得ることができた。さらに地元昭島の「くじら祭り」に参加し、これらオブジェを実際に販売する機会を得た。販売活動には無縁であった従業員たちは、自身が製作した商品を自らの手で販売することで「作る喜び」の他に「売る喜び」も体験することができた。
下請け依存体質から営業方針を切り替え、新規事業にも取り組んでいったことで社内に活気が戻り、明るい未来へと歩み始めたところである。
企業様の声
世代交代をした後、経営への取り組みをどうしていったらよいかを考えていた。その時に本プロジェクトに出合い様々な気づきを得ることができた。自身でチェックシートに答えていく中で自社の足りない点を知り、そのための具体的な取り組み方法を中小企業診断士からアドバイス頂けたことは大変ありがたい。また地元商工会の経営指導員も頻繁に足を運んでいただき、様々な施策の提案や催し物の紹介を当社の取り込みの進捗に応じておこなっていただいた。まさに地域に根付いた商工会の経営支援であると感じた。
企業情報
企業名 | 株式会社丸和製作所 |
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代表者 | 中野 健太郎 |
創業年 | 昭和33年 |
業種 | 金属加工業 |
所在地 | 東京都昭島市美堀町4-8-2 |
事業PR | |
URL | http://www.maruwa-ss.net/ |
平成22年9月27日
山口 亨