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090Chapter2Business MethodsSNSの時代において、口コミは最良のコミュニケーション手段 中小企業にとっては、口コミは最高のコミュニケーション手段となります。 第1の理由は、口コミは、広告に比べ、コストがかからないことです。広告予算やマーケティング予算が、大企業と比較して、相対的に乏しい中小企業にとって、口コミは最良のコミュニケーション手段といえるでしょう。 第2が、地域市場においては、口コミで評判が伝わりやすいことです。地域密着は、中小企業の武器のひとつです。人は、近くにいるほどよく話をします。物理的な近接性は口コミが広まるうえで重要な要素となります。 第3は、口コミで獲得した顧客は、リピーターになる可能性が高いことです。いうまでもなく、中小企業にとってはリピーターの確保が不可欠です。紹介(すなわち、口コミ)による顧客は、企業との付き合いが長くなる傾向があります。類は友を呼ぶというように、推薦を受けた顧客も、その企業と相性がよい公算が大きいのです。 第4に、口コミの発信者は伝える相手を選び、聞き手にあわせた情報を伝えます。例えば、あなたは、パソコンとはまったく無縁の生活を送っている友人に、自分が使っているパソコンの使い勝手のよさを伝えることはないでしょう。口コミは、伝える時点で取捨選択されているので、聞き手もその話を受け入れる可能性が高いのです。「人がメディア」となる口コミのポイント とはいえ、口コミは、広告のようにお金を出せばできるというものではありません。では、口コミは企業にとってコントロール不可能でしょうか。 たしかに、一旦発生した口コミを統制することは難しいかもしれませんが、口コミの発生を促進することは可能です。 口コミの発生を促進するためのポイントとなるのは、口コミにおいては“消費者自身(すなわち、人)がメディア”であるということです。従って、口コミの発生と連鎖には、メディアである人間が「記憶しやすく、伝えやすい」ことと、「伝えたくなる」ことがカギとなります。資料:岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」中央経済社、2004年 以下、この方程式の“左辺”を大きくするためのポイントをいくつかみてみましょう。 まず、「伝えやすい」に関しては、以下のような要件が考えられます。  ❶店名や商品名が短く、覚えやすい  ❷特徴が絞り込まれていて、言語化しやすい  ❸語るための材料がある「口コミの発生」=「伝えやすい」×「伝えたくなる」口コミの発生促進やSNSの活用、紹介制度など、客が客を呼ぶ工夫をしている2-10

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