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087Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要顧客維持の手法とタイミング 継続的接触の具体的な手段としては、顧客訪問、電話の利用、ダイレクトメール、Eメールの送付などが考えられます。情報紙を接触手段として利用するのも効果的でしょう。 接触そのものが顧客維持には有効ですが、以下のようにタイミングよく顧客と接触することで、さらにその効果を高めることができます。資料:‌岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」中央経済社(2004年) このほか、顧客維持の手法としては、ポイントカードなどのフリークエント・ショッパーズ・プログラムや、DMなどのパーソナル・メディアによる販売後の継続的接触・定期的接触、さらには顧客の組織化、次回購入予約サービスなど、さまざまな手法があります。Step Up1 取引量に応じた割引やポイントカードなど、 顧客に特典を与えて囲い込みを図っている 顧客の維持には、そのための仕組みを設けることが有効です。顧客を維持するための仕組みのことを「ロイヤルティ・プログラム」と呼びます。ロイヤルティ・プログラムは、自社との関係を強化するような顧客の購買行動に対して、金銭的報酬や特別扱いなどで報いるための仕組みです。その代表は、ポイントカードやスタンプカードです。 ポイントカードの効果は、顧客の維持だけではありません。ポイントカードを利用することによって、顧客の購買履歴(購入品、購買日、利用頻度、平均購買金額など)などを把握することが可能になります。すなわち、“個客”(一人ひとりの顧客)の顔が見えるようになるのです。このような顧客データを蓄積し、分析することによってマーケティング効率を向上させていくことも重要です。2 いつどんな商談を進めたかを記録し、参照することができる 企業が顧客に対して、効果的な接触活動を行うためには、個々の顧客との取引状況を記録し、適宜参照することができるようにしておくことが重要です。そのためには、顧客データベースを構築することが有効です。 取引状況にあわせた顧客接触の事例として、米穀専門店の「米びつ管理」をあげることができます。顧客の購買サイクル、前回の購入日時がわかれば、いつ頃に顧客の米びつが空(から)になるのかが予測できます。 米びつが、空になる少し前に顧客に接触することができれば、顧客が継続的に自店を利用してくれる可能性は高まるでしょう。逆に、米びつが空になってしばらくして接触した場合は、その間に顧客は別の店から米を購入してしまうかもしれません。❶顧客の個人的イベント:誕生日、記念日など❷商品のサイクル:購買後まもなく、購入後Xカ月目、保証期間終了前など❸顧客の購買サイクル:買い替え時期、在庫がなくなる直前など❹変化:季節の変わり目、新アイテムの導入など❺顧客の変化:購買頻度の変化、住所変更、特定商品の購入など長期継続的な関係から 多くのメリットを引き出せ Case O社は、試作の仕事は原価でもよいと割り切っている。試作品のうち5分の3は量産品につながるので、それを受注して収益を確保している。 試作の仕事は手間の割に利益率が高くないため、試作品を引き受けている同業者は少ないという。しかし、試作を発注する企業の開発部門との付き合いは3~5年先の情報が入ってくるため、同社にとっては貴重な情報源となっている。また、試作品を仕上げる過程でのさまざまな問題解決の経験が社内にノウハウとして残り、他の仕事への応用として生かせるメリットもある。(プラスチック金型製作/射出成形・13人)顧客とより多く接触し、 商機につなげろ Case P社では、ある顧客の要求に応えることで同じ業界のなかに製品が広がっていくことがよくある。また、顧客のところへまめに出入りしていると、その顧客の社内でも製品が広がっていく。例えばこれができるならこっちはどうだ、といった具合だ。そして、複数の顧客に販売すると、次のステップとして全国展開のために広告を打つ、というかたちで着実に販売経路を拡げてきた。(振動計測装置等製造・23人)

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