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084Chapter2Business Methods不満や苦情はチャンスになり得る 顧客の声は、企業を映し出す「鑑」です。顧客を話し手に回らせることによって、顧客の真のニーズを把握することができます。顧客の声のなかでも、特に不満や苦情(クレーム)は、中小企業にとってチャンスとなり得ます。不満や苦情が聞かれる時は、イノベーションの機会を示す兆候といってよいかもしれません。決して、その場しのぎの対応をしてはなりません。 多くの顧客は、不満があっても、苦情をいいません。苦情をいわず、その企業から去っていくのです。逆に、苦情をいう顧客は、今後ともその企業を利用し続けようと考えている顧客であることが少なくありません。 顧客の不満は、苦情というかたちで顕在化させることが有効です。そのためには、普段から、顧客満足保証の姿勢や交換、返金、修理などに対する方針を顧客に周知しておき、顧客が不満や苦情をできるだけいいやすくしておくことが重要です。また、コメントカード、フリーダイヤル、アンケート、Webページなどを活用して、苦情を聞く仕組みを構築しておくことも有効でしょう。苦情への対処法 ただし、単に苦情を聞くだけでは不十分です。苦情への対応が不適切であれば、顧客の不満を増幅させ、悪い口コミの発生が促進されてしまいます。 一方、苦情へ適切に対処することができれば、それをきっかけとして、顧客との絆が、今まで以上に太くなります。苦情は、優良顧客を創造するチャンスにも、よい口コミを生み出すきっかけにもなり得るのです(下図参照)。クレーム対応の方法を定め、迅速、適切に記録に残し処理している2-7よい口コミリピート意向・優良顧客化悪い口コミ██苦情への対応と消費者の苦情後の行動対応(取引・接遇)は適切・公正か苦情行動・救済行動YESNO出所:岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」 中央経済社(2004年)

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