083Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 顧客満足データは、アンケートをとるなど定期的に収集されている 顧客の満足度は定期的に調査をして、現状の満足度の水準を把握するとともに、時系列的な変化を把握することが大切です。 顧客満足度は、アンケートを利用することが一般的です。アンケートにおいて、満足度は、5段階のスケールで把握することが多いようです。5段階のスケールには、以下の2つのパターンがあります。1つは「とても満足5」「満足4」「どちらともいえない3」「不満2」「とても不満1」というタイプ、もう1つは「満足5」「やや満足4」「どちらともいえない3」「やや不満2」「不満1」というタイプです。 どちらのタイプがよい、悪いということはありませんので、自社に適したタイプを選択すればよいでしょう。いずれにしても、最も左の選択肢(トップボックスと呼ばれます)に○をつける人数(割合)が、真の顧客満足度を図るための指標になるといわれています。2 顧客満足度を向上させるための対策を講じている 顧客満足度を向上させるためには、「満足度の規定要因」(顧客満足度に影響を及ぼす要因)を把握することが大切です。そのためには、自社のマーケティング項目(例えば、製品の品質、価格、接客など)と満足度の因果関係を把握することが有効です。もし、「接客」が満足度を高める要因であるならば、より接客を重視したマーケティングを行うことによって顧客満足度の向上が期待できます。 「重要度(インパクト)-満足度(パフォーマンス)分析」も、顧客満足度の向上に役立ちます。これは自社のマーケティング項目について、顧客が考える「重要度」と現状の「満足度」の関係をみるものです。ポイントは、「重要度」は高いものの、「満足度」が低い項目です。こういった項目を改善することによって、顧客満足度の向上が期待できます。声を聞くことから始まる 顧客満足 Case1 J社には試作や開発の相談案件は大手企業などから毎日やってくる。しかし試作を引き受けるのは、開発予算を用意している企業に限っている。こうして優良顧客と取引することで、むしろリピート率は高いという。年に2回行うアンケートも顧客の満足度を高めている。また同社は、ターゲットにした産業におけるトップクラスの企業との取引を重視している。当該分野でのスペックは、トップ企業がリードするためだ。(めっき技術開発・92人) Case2 K社では、ある取引先から「生地の性質」などの問題提起がくると、他社からも同様の問題提起をされる可能性があるので、その件に関して社内の関係者全員に周知させておくようにしている。売れ行きの急な変化についても情報の共有を徹底している。(帯/着物の縫製・10人)██顧客満足度の向上は、顧客維持率を高めるポイント3年前に利用していた店に対する満足度3年前と違う店の利用者比率食料品店衣料品店不満やや不満どちらともやや満足満足100(%)806040200出所:岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」 中央経済社(2004年)
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