079Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 本社、店舗、工場など、拠点の立地の特性が自社の強みになっている SWOT分析を行った場合に、それぞれの拠点の立地特性は必ず自社の「強み」となっているべきです。なぜなら、従業員の雇用確保や資金制約といった課題は大きいとはいえ、拠点の立地変更は経営者が自らの判断で行うことが可能なものだからです。前段の通り、同じ場所であっても、そこが店舗に適しているのか、工場に適しているのかといった諸条件は時代とともに変わってきます。もし立地が「弱み」となっている場合には、ただちに拠点の最適化を検討すべきでしょう。2 本社、店舗、工場など、拠点の立地が最適になるよう検討している 拠点の最適化には、いくつか方法が考えられます。 まず、既存の拠点間での調整です。例えば、都心に店舗と本社が、郊外に工場がある場合、本社機能の一部を工場に移転して店舗面積を広げれば、売上の増加につながるかもしれません。 次に、新たな拠点の設置です。この際、新拠点による既存拠点への影響も考慮する必要があります。 最後に、拠点の廃止や統合です。住宅に囲まれてしまった工場など、「弱み」の解消が困難である拠点は、思い切って廃止するのも選択肢のひとつです。 こうした想定されるケースごとにコストやメリット・デメリットを比較検討し、海外も含めた拠点の最適化を進めていくことが求められています。立地を地の利に変えればリッチに Case1 一番の得意先である石油メーカーのある製油所では、稼働しているポンプ6,000台はほとんどF社のシールが使用されている。さらにその石油メーカーの国内の各拠点にサービスステーションを設置したので重宝がられている。 メカニカルシールは使い方によっていつ漏れ出すかわからない。そのまま放っておくと製品のせいになって「あそこの製品はよくない」と噂されるため、石油コンビナートごとにサービスステーションをおいて、すぐに顧客のもとへ飛んでいくようにした。工場は、茅ケ崎と諏訪の近くの辰野にあり、金属加工部門は上越にある。この工場配置は地震対策でもある。(機械用カーボン等製造・175人) Case2 G社の社長は、京浜工業地帯に立地することで、多数の工場の製造現場を見ることができ、とても勉強になっているという。町工場に行ってもただ見ているだけでは何も教えてくれないが、そこの社長と仲よくなるとあれこれ教えてくれるようになる。(表面チップ実装機製造・12人)██立地に求められる機能製造拠点●仕入先●外注先、下請企業本社(本部機能)●情報収集●他拠点との連携●金融取引店舗(支社)●顧客、販売先●ライバル●他の自社店舗内部環境(既存社員、資産状況、歴史など)外部環境(人材確保、法律、環境問題、交通など)
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