077Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up商品・サービスの提供に加えて、 顧客に喜ばれる情報提供や提案を行っている 物があふれかえる今日、大半の消費者はとりあえず必要な物は持っています。消費者調査で欲しい商品をあげてもらうと、「とくにない」という回答が多いのです。 とはいえ、顧客にも本質的な欲求はあります。ただ、買いたい物がはっきりみえないのです。従って、これからの企業は、顕在化した顧客ニーズへの「後対応」ではなく、顧客自身には特定できない潜在ニーズに「前対応」することが求められています。 「前対応」とは、すなわち顧客への「提案」「アドバイス」のことです。 顧客は、さまざまな問題・課題を抱えていますが、必ずしも解決方法を知っているわけではありません。また、ニーズそのものが顕在化していないこともあります。「当社の商品・サービスを利用すれば、このような問題が解決できますよ。」と、顧客の一歩先を行き、顧客の問題・課題や、潜在的なニーズに対応していくことが、「前対応」の本質です。 企業は、商品・サービスの提供のみならず、情報提供、提案、アドバイスなどによって、消費者をリードしていくことが重要なのです。価格以外の 大事なところも磨く Case1 D社はこれまで、価格競争に乗らないようにしてきた。低価格競争の結果、加工技術を一旦落とすともとに戻らないためだ。一時的に売上は半分近くまで落ち込んだが、その対策として無駄な経費の大幅なカットに取り組み、販売管理費の最適化に努めた。経費削減の効果で余った資金をもとに、最新型のミシンを導入し、生産性の向上を図っている。(帯/着物の縫製等・10人) Case2 E社は物品の扱いだけにとどまらず、情報提供などを行って顧客への付加的なサービスとしている。例えば秋葉原の再開発計画について顧客から問合せがあると、メンバーになっているシンクタンクからただちに関連情報を取り寄せ、社内で保有している情報も追加して、顧客に伝えるようにしている。さらに小売店や問屋、メーカーといった企業間の取引を結び付けることも行っている。同社の顧客は4,800社余りあるため、新たな取引先を探していると相談を受けた場合、自社の取引先のなかから相応しい企業を選んで紹介している。(包装資材紙工品総合卸売・40人)██価格で引きつけた顧客は価格で逃げていく出所:岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」中央経済社(2004年)食料品の買物4.02.72.53.7衣料品の買物重視しないその通り違う重視「価格の安さ」の重視度いろいろな店を使いたい██売上拡大に向け今後注力していきたい取り組み資料:東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果」(2017年)顧客ニーズに対するきめ細やかな対応(ロット、納期、品揃え、アフターサービスなど)55.3営業・販売体制の見直し・強化53.3既存製品・サービスの高付加価値化51.3新製品・新サービスの開発43.4新分野への進出30.8価格競争力の強化25.3海外需要の開拓14.5その他4.36040503020010(%)n=1,445
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