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076Chapter2Business Methods過度の価格競争を避ける 過度な価格競争を避けることは、中小企業のマーケティングの基本です。なぜ、中小企業は価格競争を避けなければならないのでしょうか? 第1に、価格で引きつけた顧客は価格で逃げていくということです。このことは、右図からも明らかです。これは小売業の例ですが、価格の安さを重視する人ほど、特定の店でなく、いろいろな店を使いたがることがわかります。価格競争では、短期的な“売上”をつくることができても、“顧客”をつくることはできません。 第2に、価格競争は、体力勝負の消耗戦になるため、豊富な経営資源を蓄積し、幅広い商品の取り扱いをする大企業が有利です。 第3が、模倣されやすく、持続的競争優位性につながらないことです。価格での優位性を一時的につくれても、競争相手がその気になればすぐに反撃されてしまいます。 第4が、多数の「敗者」を生み出す点です。価格は消費者にとって、最も比較が容易なモノサシであるため、勝ち負けがはっきりします。 第5に、安売りを続けることは、消費者の価格感応度を高めます。顧客が来るのは、安売りの時だけということにもなりかねません。安売りせずにすむ方法を考える スモールビジネスは「いかに安く売るか」ではなく、「いかに、安く売らずにすむか」を考えるべきです。 過度な価格競争を回避するためには、  ❶顧客が感じる品質(知覚品質)を高める  ❷ブランド力を高める  ❸商品の独自性を高める  ❹代替品の少ない商品を扱うなどがポイントになるでしょう。 東京商工会議所が2017年に実施した調査によれば、既に多くの中小企業が、「価格競争力の強化」以上に、上記のような取り組みを重視するようになっていることが明らかになりました。価格競争に巻き込まれないために、価格以外の魅力や独自性を顧客にアピールできている2-3

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