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075Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 新製品発売時や新規顧客の開拓時など、 必要に応じて思い切った価格設定を検討している 新製品の価格決定には、大きく2つの類型があります。1つが、「初期高価格政策」です。比較的高い価格を設定し、余裕のある顧客層、価格に敏感ではない顧客層をターゲットとする価格戦略です。もう1つが、「初期低価格政策」です。比較的低い価格を設定し、急速に市場を拡大するための戦略です。いわゆる薄利多売方式です。 自社製品に独創性がある時には、「初期高価格政策」がベターでしょう。一方、「❶その製品に対する需要の価格弾力性(価格が1%変化した時、需要量が何%変化するのか)が大きい時」や、「❷競争企業がその製品を模倣する可能性が大きい時」、「❸その製品を大量生産するメリットが大きい時」などは、思い切って「初期低価格政策」をとることも有効です。2 価格に関する市場調査を行っている 効果的な価格決定を行うためには、顧客(買い手)の知覚、すなわち、値ごろ感を把握することが必要です。顧客の値ごろ感を把握するための手法としては、❶消費者モニターの利用❷アンケート調査の実施❸実験(複数の価格で販売してみる) などの手法があります。 また、競合他社の価格も、定期的に把握していくことが欠かせません。基本的に「価格」は製造方法などと異なり、公開されるものであるため、意欲さえあれば、定期的に把握することは困難ではありません。欲しければきちんとした 値段で買うもの Case1 B社の販売システムはシンプルで明快だ。独自のサーモスタットは「数量別価格表」に基づいて、1~2個から10,000個まで16段階で販売単価が設定されている。この販売方式にしてから、価格を値切ろうとする顧客は1社もいないという。これが自社独自のサーモスタットは従来、世の中になかった高付加価値の製品だという何よりの励みになっている。小さな市場、少量の顧客が同社のターゲットであり、そうした顧客は喜んで同社の提示した価格で買っていく。(各種サーモスタット製造・36人) Case2  C社の化学薬品は、ものによっては生産量が50リットルくらいの少量なものもある。少量であってもその製品を扱って利益が出るかどうかを見極めなければならない。顧客が本当に困っていれば値段が高くても買ってもらえる。それゆえ同社は付加価値が高いものを売っている。(化学工業薬品製造・84人)顧客競争コスト██価格決定で考慮すべき3つのC

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