057Case Study057戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up研究開発や営業活動でのトラブル対応に従業員を積極的に参画させている 従業員の育成では、OJTが最も効果があるということは改めていうまでもないでしょう。OJTをうまく機能させるには、「❶上司や先輩との時間や空間をできるだけ共有すること」、「❷やさしい仕事から難しい仕事へと仕事経験の階段を用意すること」、「❸従業員自らが考えてさらに高度な勉強を自主的に進められるように、つないでいくこと」が重要です。とはいえ、仕事のなかでの修羅場経験が一皮むける体験となり、鍛えることになるのはいうまでもありません。そのような機会を有効に機能させることが、従業員を育てることになります。失敗が許されない現場で緊張感を持ちながらトラブルを解決する経験が自分を鍛え、その後の自分自身の能力開発への取り組みも大きく変質させるのです。 トップが時に最前線に立つことで企業に勢いがつく Case1 JJ社の製品開発はテーマごとの担当者と社長の二人三脚で進める。途中、営業と開発の両部門間でのキャッチボールが始まり、先へ進まなくなることがある。その場合、自らも開発の最前線に立つ社長は「社長も従業員もスタートラインは同じ、後でいいとこ取りすればいい」と技術者のやる気を刺激する。そして開発がやりやすいように予算の自由度を高め、机上でアイディアが6~7割固まったら、すぐに試作してみろという。(ケミカルポンプ製造・70人) Case2 KK社の社長はもともと技術系だが、今は技術営業の第一線で頑張っている。とはいえ、いわゆるトップセールスとは異なる。社長も他の営業担当者と同様の販売目標があり、客先では営業部の名刺を持ち歩く。(振動計測装置製造・23人) Case3 全従業員の約3分の1に当たる35人が技術者というLL社は、技術部長を兼務する社長が技術者の指導に当たる。社長の毎朝は、技術者全員から提出されたレポートの添削で始まる。入念にチェックし、内線電話でもやり取りするため、まる1時間はかかる。(めっき技術開発・92人)██「技術開発を担う最も重要な人物」の割合出所:東京商工会議所「東京発・挑戦する中小ものづくり企業のすがた」(2008年)東京23区内で製造業に属する中小企業が対象。有効回答数は299社。社長自らが対応 30%社内で育成した新規学卒出身の技術者 26%技術系以外の社員だが社内で技術者として育成された者 14%社内のコンサルタントや技術顧問、技術センターの研究員など 2%取引先企業からの技術指導に依存 2%その他 2%無回答 2%社長の親類/縁者が担当 5%外部から採用した経験者(技術者) 17%中小企業では、社長自らが技術開発を担う中心人物になっているケースがもっとも多いキーパーソンの強みとする能力は、経営者に求められる能力に近いが、相対的に知識や技術力を強みとしている30.913.438.732.741.474.042.683.148.370.3キーパーソンの能力(強み)経営者に求められる能力30.243.626.532.420.843.116.134.815.023.29.015.11.10.1技術力知識リーダーシップ判断力実行力コミュニケーション能力態度・意欲計画力創造力課題発見力ストレス耐性その他100100505000(%)(%) 経営者の能力とキーパーソンの能力資料:中小企業庁「雇用環境および人材の育成・採用に関する実態調査」(2006年12月)出所:「2007年版中小企業白書」
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