054Chapter1Business Methods経営者の心の支えとなるメンター 1-14(52ページ)では、税理士、経営コンサルタント(中小企業診断士)、公的試験場や研究機関の技術者など、外部の専門家の重要性を説明しました。ここでいう外部の助言者(mentor, メンター)は、こうした専門家とは少しニュアンスの異なる存在です。 メンターは、辞書では師匠、相談相手、指導者などと翻訳されていますが、米国やカナダなどで中小企業支援を行っている公的機関では、無償または少額の報酬によるボランティアで経営上の悩みの相談に乗る先輩経営者を、メンターとして新しく事業をスタートした経営者(mentee, メンティー)に引き合わせています(下表参照)。会計や法律といった相談もありますが、それよりはむしろ、経営者としての経営判断のストレスを受け止めてもらう存在となっているようです。 経営者は、自己責任で意思決定をすることが求められる、ある意味、孤独な存在です。いくら信頼できる家族であっても、経営者独特の悩みを聞いてもらうには十分ではないかもしれません。経営上の悩みを率直に相談できるメンターの存在は、経営者の心の支えともなります。特に、新たに事業を始めた人や、後継者として経営者になったばかりの人は、初めて体験するさまざまな問題に直面するため、なおさらです。経営者自身で異業種などからメンターを探す 日本では、先輩経営者をメンターとして紹介するような体制はあまり構築されていないため、そうした人は経営者自身が探す必要があります。その場合、むしろ異業種のほうが、利害関係があまりない分、本音で相談に乗ってもらえるかもしれません。信頼できるメンターの存在は、経営者として活躍していくうえでも大きな影響を与えることになるでしょう。外部の助言者(メンター)がいて、経営者としての悩みをいつでも相談できる1-15██カナダの中小企業支援機関SADCにおけるメンター紹介制度メンター活用の目的● 経営者の経営知識の向上と経営力の強化● 事業の成功確率の向上と致命的失敗の回避● 経営者の孤立感の除去メンティーの条件● 営業を開始している新規開業者紹介の手順● SADCへの登録● SADC担当者、メンター候補者との三者面談● 機密保持契約締結● 300カナダドルの手数料支払い● メンターの開始メンターとメンティーの関係● お互いの信頼関係に基づく関係● メンターは助言を行うが最終的な意思決定には関与しない● 1年更新● SADC担当者がフォロー資料:SADC du Suroît-Sudのホームページより抜粋・翻訳
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